ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ
争い・裏切り・協力・繁栄の謎を追う
ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ
争い・裏切り・協力・繁栄の謎を追う
書籍情報
- アシュリー・ウォード 著/夏目 大 訳
- 定価:2200円(本体2000円+税10%)
- 発行年月:2024年03月
- 判型/造本:46並
- 頁数:736
- ISBN:9784478116289
内容紹介
生き物たちは、驚くほど人間に似ている。シドニー大学の「動物行動学」の教授でアフリカから南極まで世界中を旅する著者が、好奇心旺盛な視点とユーモアで、動物たちのさまざまな生態とその背景にある「社会性」に迫りながら、彼らの知られざる行動、自然の偉大な驚異の数々を紹介。あなたの「世界観」が変わる驚異の書!
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目次
はじめに
夜を翔ける吸血コウモリ◆血を分け与える◆知性の進化と社会生活◆会社員から動物研究者へ◆人生の成功に必要な能力◆動物を知り、人間を知る◆人間についての驚くべき事実
1章 氷と嵐の世界に棲む謎の生物
南極海を越える◆襲いかかる大波と猛烈な嵐◆ヒョウアザラシの恐ろしい歯◆南極海の「キーストーン種」◆オキアミは孤立を嫌う◆一〇〇メールを二秒で動く!?◆発光する体◆クジラの「糞」の大爆発◆「生物ポンプ」の役割◆オキアミの味◆地球温暖化を遅らせる力◆氷と嵐の世界に棲む謎の存在◆マッド・サイエンティストの研究室◆失われた十八ヶ月◆性行為と「駆け引き」◆英雄的な第一歩◆バッタの災厄◆なぜバッタは大群になるのか◆無害なバッタが略奪者に変貌する◆意外なスイッチ◆恐怖と共喰い◆地球を意のままにする昆虫◆地球で最も嫌われている動物?◆ゴキブリは学習する◆すさまじい繁殖スピード◆孤立がもたらす悲劇◆ゴキブリ爆弾◆慎重派と冒険家
2章 シロアリはコロニーを守るために自爆する
女王バチの大仕事◆極めて危険な状況◆女王バチと働きバチ◆昆虫が作る「超個体」◆ハナバチの多様性◆宝石のように美しい◆クマバチの生き残り戦略◆暑い午後の日のコハナバチ◆秘密の任務と最悪の居候◆ハチミツの奇跡的な特性◆女王からのメッセージ◆ハチの一刺しとフェロモン◆世界一ミツバチに刺された男◆南極遠征における自己犠牲◆コロニーを安定させるための「取り締まり」◆ハナバチの言語◆花は、ここにある◆年老いた女王と新たな女王◆ポジティブ・フィードバック◆神秘的な粘土の城◆シロアリの味◆子どもたちは王と女王のために◆社会性昆虫のカースト◆アリの戦争◆女王の部屋の決死の戦い◆ドバイの高層建築よりも……◆菌類を巧みに利用する◆コロニーの協調とニューロン◆グンタイアリの伝説◆標的にされる昆虫たち◆生きているアリの身体でできた巣◆運命の時◆空飛ぶ巨大な生殖器◆地球には常に一〇〇兆匹ものアリがいる◆アリの知恵◆巡回セールスマン問題◆食べ物のありかを伝える◆柔軟性とイノベーション◆迷路と最適経路◆コロニーに入り込むコオロギ◆奴隷になったアリ◆「プロパガンダ物質」とパニック◆密かな抵抗運動◆甘露を得るために◆アリと「酪農」◆社会性昆虫と人間
3章 イトヨが決断するとき
「いかれてるのか?」◆泥にまみれてイトヨを観察◆魚の群れに魅せられて◆自動運転車と魚の群れ◆「混乱効果」を利用して生き延びる◆「トラファルガー海戦」と情報拡散◆田舎道の実験◆群れの中の五パーセントが意思を決める◆「糞の川」で悪戦苦闘◆「レミングの死の行進」の真実◆クオラム反応◆コンドルセ侯爵の興味深い理論◆どちらのリーダーを選ぶのか?◆魚と人間の「脳」の基本的な部分はほぼ同じ◆タイセイヨウダラの巨大な群れ◆共有地の悲劇◆進化では追いつかない◆あまりにも派手なペット・ショップのグッピー◆結局はトレードオフ◆選択圧と進化◆生き物たちの「捕食者観察」◆ターコイズ・ブルーの楽園◆何千羽ものアジサシ◆夢のような環境◆両性具有のスズメダイ◆「サイロ化」する人間社会◆集団が動くための意思決定◆ピラニアとアメリカ大統領◆ピラニアが脅える時◆海のハンター・バショウカジキ◆イワシにまつわる噓のような本当の話
4章 渡り鳥は「群衆の叡智」で空を飛ぶ
ムクドリの大群◆黒い太陽◆注意を向けるのはたった七羽◆鳥の群れの隊形の秘密◆雪の上を歩く子どものように◆シュバシコウの喉に刺さった槍◆上昇気流は燃料補給基地◆みんなの意見は案外正しい?◆ハトは社会的な鳥◆渡り鳥と群衆の叡智◆ある鳥との友情◆牛乳瓶の蓋をこじ開ける鳥◆鳥たちの社会学習◆コウモリの脳を食べる◆オックスフォード大学の実験◆カレドニアガラスを探して◆道具を使う鳥◆カラスから人間が学べること◆鳥のさえずりと方言◆なぜ危険な崖に巣を作るのか◆集団に引きつけられる性質◆コロニーは情報センター◆ハタオリドリのとてつもなく巨大な巣◆空を埋め尽くす◆ねぐらがあることで結束が保たれる◆身を寄せ合うエンペラーペンギン◆フロリダカケスの拡大家族◆メロドラマの悪役のような父◆序列があることで争いが減る◆ニワトリを大集団で飼うことの問題点◆ワタリガラスと三〇種の鳴き声◆キスをして絆を確かめ合う◆なぜ、食料を独り占めしないのか?◆マツカケスは同じ相手と添い遂げる◆懸命な見張り番◆調印式のような儀式◆鳥たちの託児所◆私もあなたを助けます◆ホルモンと利他性
5章 ネズミ、都市の嫌われ者が私たちに生き方を教えてくれる
気がついたらネズミだらけ◆人間が繁栄を助ける◆ドブネズミはほとんど単独行動◆ピザを運ぶネズミ◆巧みに毒餌を避ける◆鉄よりも硬い歯◆ネズミの都市◆子育てを放棄する母親たち◆小説や映画にも大きな影響を与えた◆親切は伝染する◆互恵的利他主義◆飢えた仲間に食べ物を分ける◆「幼少期の体験」が影響をもたらす◆人間の場合◆仲間からの大いなる学び◆恐怖は伝染病のように◆感情の伝染を抑える方法◆興味深いストレス・テスト◆「仲間の存在」とストレスの関係◆ネズミは扉を開く◆感情の「進化的起源」を知る◆ハダカデバネズミの奇妙な見た目◆長生き、そしてガンにも強い耐性◆女王の糞を食べる意味◆少数派の重要な役割
6章 家族の死を悼むゾウ
家畜との出合い◆四大家畜の起源とは◆羊飼いという職業◆小型化した家畜の脳◆牛は仲間の顔を見分ける◆動物の知性にとって重要なこと◆牛の表情が乏しい理由◆母親と引き離された子牛は成長が遅れる◆習慣の動物◆象に追われる!◆「ビッグ5」の悲劇◆追い詰められる象◆あまりにも鋭い嗅覚◆歓喜の儀式◆一〇キロメートル離れた仲間との対話◆リーダーの条件◆後継者選びと派閥の分裂◆象は仲間を忘れない◆象が引き起こす大虐殺◆変貌する表情◆仲間に刺さった矢を抜く◆人間を助けた話◆象の葬儀◆人類が解決すべき問題
7章 ライオン、オオカミ、ハイエナが生き延びるための策
アフリカの夜、ライオンの鳴き声◆ほとんど類のない体験◆茂みから飛び出してきたもの◆トロフィー・ハンティング◆地球上で最も恐るべきハンター◆草食動物を育てる!?◆ライオンの群れの真実の姿◆たてがみは何のためにあるのか◆侵入者との戦い◆子殺しの理由◆チームプレーで象を殺す◆狩りを成功させる秘訣◆雄も実は狩りをする◆「嫌われ者」の真実◆ハイエナと牧夫◆ボーン・クラッシャー◆ハイエナのクラン◆ニセの陰茎の役割◆ハイエナの笑い声◆王朝は引き継がれる◆においで血縁を見分ける高度な能力◆すべては雌が決める◆攻撃性を司るホルモン◆ハイエナ・バター◆縄張りと侵入者◆スカベンジャーと「ただ飯」◆ライオンへの対抗策◆シマウマを三十分で食べ尽くす◆標的を選び抜く◆人間になついた「ソロモン」◆ハイエナの川遊び◆オオカミの群れ◆人間に慣れてしまったオオカミ◆オオカミは危険な動物なのか◆群れの序列◆アルファ・ベータ・オメガ◆縄張りをめぐる争い◆忠犬ハチの献身◆オオカミはどのように「犬」になったのか?◆注目すべき実験◆キツネに起こった信じがたい変化
8章 クジラ、イルカ、シャチ、最も謎めいた動物
荒れた海でクジラを探す◆水深二〇〇〇メートル、驚異の潜水能力◆巧みな「非常線」◆マッコウクジラ対巨大イカ◆クジラと暮らすイルカ◆なんのために「抱擁」するのか◆クジラにも方言がある◆カッテージ・チーズのようなクジラの乳◆多くの疑問◆「冥界からの魔物」◆凄惨な最期◆マッコウクジラの利他◆遠くから駆けつけた仲間◆エコタイプとニッチ◆サメを殺す◆シャチの高度な戦略◆失敗はたった二回◆四世代が共存する◆年老いた雌の知恵で集団が生き延びる◆不幸な個体への手助け◆ウォード博士、イルカに観察される◆イルカに意識はあるのか?◆シグネチャー・ホイッスル◆イルカのお仕置き◆人間よりも複雑な言語◆狩りの方法は継承される◆ザトウクジラの歌◆ハクジラとヒゲクジラ◆ヒットソングの革命◆泡のカーテン◆クジラは恨みを忘れない
9章 類人猿の戦争と平和
霊長類が人間を知る手がかりに◆サルの二日酔い◆チャクマヒヒの「犯罪」◆ヒョウがいる!◆警戒声を使い分ける◆言語は人間だけが使うのか?◆ベルベットモンキーの語彙力◆とにかく安全第一◆仲間を騙して得をする◆ヒヒの騙しのテクニック◆チンパンジーの澄まし顔◆罪を猫になすりつけたゴリラ◆「不公正」への怒り◆ヒヒのディスプレイ◆アルファをめぐる争い◆子殺し◆かくも短き在位◆身を寄せ合ってストレスを減らす◆保守的な社会◆石を投げ、木の枝を手に持つ◆毛皮の鎧で身を包んだ騎士◆個体を見分ける力とネットワークを作る力◆ケープ鉄道の「信号係」◆チンパンジーの暗い一面◆暴力的なのは「DNA」が原因か?◆集団をうまく調整する◆泣いている人間をなぐさめたジョニ◆人間社会との共通点◆毛づくろいと「外交戦略」◆槍を作る◆通貨としての肉◆技術を集団に伝える◆チンパンジーの権謀術数◆政権交代が起こる時◆地位を追われたリーダーの最期◆「排他的」になる理由◆選り好みと高度なゲーム◆雄はどういう相手を選ぶのか?◆チンパンジーの「インフルエンサー」◆裏切りの代償◆死者を悼む◆コンゴ川沿いのボノボ◆活発な性行動◆争いごとの少ない社会◆密猟者に母を殺された子ども◆親密な関係を築くコツ◆類人猿と人間の類似点◆男性ホルモンと攻撃性◆すぐに食べるチンパンジー、仲間を待つボノボ◆キャンベルモンキーの様々な鳴き声◆食べ物を分けて友達を作る◆環境によって行動は変わる◆類人猿を知り、人間を知る
エピローグ
人間も社会的生物である◆人間は孤独に耐えられない◆「集団で生きること」の効用◆遺伝子と社会的ネットワーク◆ホルモンと社会性の関係◆動物に「人間の言語」を教える意味◆ロブスターのご機嫌伺い◆リカオンのくしゃみ◆スイギュウやサルの投票行動◆集団の大きさと脳の大きさの関わり◆カタツムリに巨大な脳があったとしたら……◆脳と社会的知性の関係◆私たちの特徴の多くを生み出したもの
謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引
著者
アシュリー・ウォード(Ashley Ward )
英国ヨークシャー出身。シドニー大学の動物行動学の教授。ナンキョクオキアミから人類を含む哺乳類まで、動物行動の研究を積み重ねてきた。科学雑誌に100以上の論文を発表し、多くの学術書に引用されている。子どもの頃から動物に夢中になり、川で釣りをしたり、丸太の下を覗いたり、渓流で化石を探したりして過ごす。本書の元にもなったオーディブルオリジナル『THE SOCIAL LIVES OF ANIMALS』は、英国での宣伝が全くなかったにもかかわらず、2週間にわたってAudibleのチャートでトップを記録している。
訳者
夏目大(なつめ・だい)
出版翻訳家。同志社大学文学部卒。大手メーカーにSEとして勤務した後、現職。『タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源』(みすず書房)、『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』(文藝春秋)、『タイムトラベル「時間」の歴史を物語る』(柏書房)など訳書多数。
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