THE ROBOT'S REBELLION ロボットの反逆
ヒトは生存機械(サバイバルマシン)にすぎないのか

THE ROBOT'S REBELLION ロボットの反逆
ヒトは生存機械(サバイバルマシン)にすぎないのか
書籍情報
- キース・E・スタノヴィッチ 著/藤田 美菜子 訳/木島 泰三 訳
- 定価:4840円(本体4400円+税10%)
- 発行年月:2025年03月 [予約受付中]
- 判型/造本:A5並
- 頁数:584
- ISBN:9784478116760
内容紹介
読書猿絶賛!『ファスト&スロー』『利己的な遺伝子』の原点となる、認知心理学の伝説の名著が復刊!私たち人間は本当に、遺伝子の乗り物=生存機械(サバイバルマシン)に過ぎないのか?『AIの時代にこそ読みたい一冊。
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目次
解説 ── 読書猿 ダーウィンのアビス(奈落)より
心の二重プロセス理論
「進化の支配」は完全か?
認識することによる自由
はじめに
第1章 ダーウィニズムの深淵を覗きこむ
原理主義者ジェリー・ファルウェルが「正しい」理由
「自己複製子」と「乗り物」
ヒトとはどんなロボットか?
私たちの行動は誰のためのもの?
乗り物たちよ、反逆せよ!
私たちと遺伝子のままならぬ関係
遺伝子の手から逃れるには
「人間ファースト」という大転換
第2章 自己自身と対立する脳
ひとつの脳のふたつの心
自律的システム群(TASS)── 主人の言うことを聞かない脳
「分析的システム」の特徴を理解する
一度にひとつずつ ── 世界のありようを「言葉」で理解する
仮説的思考と複雑な表象
意識外で行われる処理 ── 脳の中の火星人
2種類の心が衝突するとき ── 分析的システムの「制止」機能
脳を制御する長い引き綱と短い引き綱
読者への練習問題としての「4枚カード問題」と「リンダ問題」── あなたはTASSを制止できますか?
「アナバチ」になるなかれ
分析的システムを「運転席」に乗せる
第3章 ロボットの秘密兵器
道具的合理性と進化的適応の分岐点
合理的であるとはどういうことか
道具的合理性の具体的モデル
合理性を評価するには
第4章 「自律的な脳」のバイアス ── ショートリーシュ型の心が苦しみをもたらす理由
「ポジティブシンキング」に潜む危険性 ── TASSは反対事例を思考することができない
「フレーミング効果」が合理的人間像を損なう理由
進化心理学は人間の合理性という理想を救出できるか?
自律的な脳が避けられない「基本的演算バイアス」
基本的演算バイアスの進化的適応性
ヒューリスティクスとバイアス課題に対する反応についての、進化心理学的な再解釈
現代社会における「脱文脈化」の必要性
現代世界におけるTASSの罠
第5章 進化心理学はどこで間違ったのか
現代社会が提示する「新奇な状況」
乗り物より遺伝子が優先されるべき?
「本能的直感」は人間に優しくない
第6章 合理性障害 ── たくさんの賢い人が、たくさんの愚かなことをしでかす理由
脳には2種類の分析レベルがある
TASSの制止と、情報処理の2階層
合理性大論争 ── パングロス主義者vs. 弁明主義者vs. 改善主義者
合理性障害 ──「賢い人が愚かな行為におよぶ」という逆説を解決する
欲しいものをじっくり手に入れるか、欲しくないものをすばやく手に入れるか
「ユダヤ人嫌い」のジャック
愚かな人間が月に到達できた理由
第7章 遺伝子の奴隷からミームの奴隷に
ミームの来襲 ── 第2の自己複製子
合理性、科学、ミームの評価
ノイラート的ミーム評価プロセス
パーソナルレベルの自律とミームの反省的獲得
どのミームが私たちの役に立つのか?
ミームは遺伝子以上に「たちが悪い」
究極のミーム・トリック
自己観察ツールとしてのミーム
使えるミームプレックスとしての自己の構築 ── 認識の均衡を保つ装置としてのミーム学
進化心理学が「浮動性のミーム」を否定する理由
「共適応ミーム」のパラドックス
第8章 謎なき魂 ── ダーウィン時代に生きる意味を見いだす
巨大分子と謎のエキス
人の判断を決める「文脈と価値観」
人生にはお金よりも大事なものがあるが、「幸福」より大事なものもある ── ノージックの経験機械
ノージックの「象徴的効用」論
表現的合理性、倫理的選好、コミットメント
欲求を評価する方法
2階の欲求と選好
欲求を合理的に統合する方法
ネズミ、ハト、チンパンジーが、ヒトより合理的な理由
「厳しい制約下の合理性」から抜け出る
合理性を「2段階」で評価する
サブパーソナルな存在の気味悪さ
ドルに結びつけられた欲求
「メタ合理性」はなぜ必要か
「人間の自律」の条件を定式化する ── 多種多様なサブパーソナルな存在の脅威に抗して
私たちの手に負えるのか? ── 心的生活で大切にすべきこと
謝辞
著者
キース・E・スタノヴィッチ
カナダ・トロント大学応用心理学・人間発達部門名誉教授。認知心理学者として教育心理学、とりわけ読字能力の研究で多くの業績をあげ、この分野で多くの賞を受賞している。また、近年は本書の主題である「合理性」の心理学を主要な研究テーマとしている。邦訳された著書に『心理学をまじめに考える方法』『私たちを分断するバイアス』(共に誠信書房)、『現代世界における意思決定と合理性』(太田出版)などがある。本書は2008年にみすず書房より発行された『心は遺伝子の論理で決まるのか』の新訳による復刊。
訳者
木島泰三(きじま・たいぞう)
1969年生まれ。法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程満期退学。現在、法政大学ほかで非常勤講師。博士(文学)。専門はスピノザおよびホッブズを中心にした西洋近世哲学。著書に『自由意志の向こう側』ほか、翻訳書にキース・スタノヴィッチ『現代世界における意思決定と合理性』(太田出版)、ダニエル・デネット『心の進化を解明する』(青土社)、ブルース・ウォーラー『道徳的責任廃絶論』(平凡社)ほか。
藤田美菜子(ふじた・みなこ)
翻訳者・編集者。翻訳書にピーター・スコット-モーガン『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン』(東洋経済新報社)、カマラ・ハリス『私たちの真実』(共訳、光文社)、バラク・オバマ『約束の地 大統領回顧録』(共訳、集英社)、マイケル・ウォルフ『炎と怒り』(共訳、早川書房) ほか。