データ・ドリブン・エコノミー
デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する
データ・ドリブン・エコノミー
デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する
書籍情報
- 森川博之 著
- 定価:1760円(本体1600円+税10%)
- 発行年月:2019年04月
- 判型/造本:46並製
- 頁数:292
- ISBN:978-4-478-10636-5
内容紹介
物的資産やアナログプロセスからデータを集める動きが活発化し、データ・ドリブン・エコノミーが到来しつつある。リアルデータが生産性を高めることで、ビジネスや社会はどう変わっていくのか。これからの時代に新たな価値を生み出す視点とは何か。東京大学教授の森川博之氏が事例を交えながら詳しく解説する。
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目次
はじめに データ・ドリブン・エコノミーとは何か
第1章 データ・ドリブン・エコノミーの本質
1 デジタルがあらゆる産業・社会を変革していく
実現し始めたネグロポンテの未来予測
過去20年間はデジタル革命の「助走期」
これからの「飛翔期」にはデジタルが社会の隅々に浸透していく
デジタルの浸透には長い時間がかかる
真のデジタル社会はいつ到来するのか
2 データがプラットフォームを構成する
情報爆発をもたらしたネット空間のデータ
グーグル、アマゾン、フェイスブックの強みは膨大な量のデータ
データを集めた者が勝機をつかむ時代
パーソナルデータの取引市場が活性化
オープンデータを利用したビジネス展開
データの価値を物語る「ゼンメルワイスの悲劇」
3 ウェブからリアルへの主役交代
主役はウェブデータからリアルデータへ
回収コストを7割削減した「スマートゴミ箱」
デジタル化で収益増をとげた欧米スポーツ業界
4 付加価値の創出こそデジタル変革の本質
デジタルはコスト削減ツールから価値創出ツールへ
OECDが提唱する「データ価値循環」
アナログプロセスへの気づきが価値創出の第一歩
アナログタスクを洗い出した「スマート建設生産システム」
生産性の低さはチャンスでもある
牛の発情期を検知する畜産業の試み
お笑い劇場が導入した「ペイ・パー・ラフ」
2030年にはデジタルが世界のGDPを15兆ドル押し上げる
第2章 デジタルがあらゆるビジネスを変革する
1 企業のデジタル化はどう進展してきたか
60年前に開発された航空機の座席予約システム
PLCから始まった製造業のデジタル化
Web2.0で加速したウェブデータの収集
大量のセンサが生み出すリアルデータ
2 デジタルが企業に「再定義」を促す
すべての企業に「事業領域の再定義」が求められる
企業がサブスクリプションに乗り出す理由
世界に広がる製造業のサービス業化
人々の移動手段を一変させるMaaS
新規市場や隣接市場への展開が期待できる
フィンテックでIT化が著しい金融業
デジタル化は「職の再定義」も迫る
3 製造業で加速するデジタル変革
ダイムラーの商用車購入者向け部品宅配サービス
作業マニュアルを3D化したPTCの拡張現実
建築現場を革新したコマツのスマートコンストラクション
理想形を現実化するドイツの「インダストリー4.0」
リアル世界をサイバー空間に再現する「デジタルツイン」
デジタル化の取り組みに壮大さは必須ではない
4 サービス業はデジタルでどう変わるのか
米小売業ターゲットの「妊娠スコア」分析
カーファックスが公開した中古車の詳細履歴データ
スーパーセンター「トライアル」のデジタル変革
宅配便の不便を解消するトランク宅配サービス
肌の状態に合わせて化粧品の中身を変える資生堂
農家の生産性を高めたモンサントのサービス
サービス業が価値を生み出すために必要なこと
第3章 デジタルが社会の生産性を飛躍的に高める
1 社会課題を解決する「社会基盤としてのIT」
新しい体験を提供する「エクスペリエンスとしてのIT」
地味だが影響の大きい「社会基盤としてのIT」
2 デジタルが医療・ヘルスケアを変える
医療は膨大なデータが活用されない非効率な分野
エビデンスに基づく質の高い医療の実現
医療・ヘルスケアでデータが果たす役割とは?
医療は「リアクティブ型」から「プロアクティブ型」へ
参入が相次ぐモバイルヘルス市場
プロアクティブ型医療を支えるオンラインコミュニティ
身体の一部となるウェアラブル機器
薬の飲み忘れを防ぐデジタル薬
医療データの活用には多くの課題がある
医療コンテスト「ヘリテージ・ヘルス・プライズ」
3 農業は生産性向上の宝庫
2050年までに日本人が住んでいる面積の22%が無人化
経験と勘に頼ってきた農業からの脱皮
水産業の未来を拓くノルウェーの取り組み
世界をリードするオランダ施設栽培の環境制御技術
不作の原因を特定する「農匠ナビ1000」
食品と健康の相関関係も明らかに
データ駆動型農業で食品ロスなき流通を実現
高度なリスク管理で自然環境の影響を抑える
データを共同活用するプラットフォームの実現
4 デジタルは地方再生の切り札となる
日本の社会資本の維持・更新費は今後30年間で200兆円弱
タイヤのセンサから路面状況を把握するシステム
2045年には世界人口の7割が都市で生活
リアルデータが「コンパクトシティ」実現のカギ
データを集めて地方都市の未来を予測
日本政府が運用する地域経済分析システム
地域密着型のサービス産業がカギを握る
地方の人間関係の近さが追い風になる
総務省が応援する「IoTデザインガール」
高等専門学校の「ワイヤレスIoT技術実証コンテスト」
第4章 データ・ドリブン・エコノミーで価値を創出する視点
1 何をデジタル化するかの視点を持つ
つながっていないもの、アナログな作業に注目する
収穫逓増を意識して柔軟に考える
グーグルがネストを32億ドルで買収した理由
2 フットワークの軽い組織をつくる
海兵隊として飛び込んでいくことが重要
デジタル推進に適した組織形態とは?
知の探索はオープンイノベーションが最適解
なぜオープンイノベーションが必要なのか
3 インベンションとイノベーションの違いを認識する
ICTの位置づけを再定義する
技術にしかお金をかけない日本企業
4 成熟したICTが求める「ストーリー」
ストーリーがなければ顧客に受け入れられない
ビジネスを売り込むためのストーリー
アマゾン「ダッシュボタン」の革新性
5 デジタル化に求められる「デザイン思考」
従来の思考法では問題や課題に気づけない
デザイン思考には「OODAループ」が最適
これからの技術者にはマーケティング発想が不可欠
無料配布されるライフストローのビジネスモデル
第5章 デジタル化を進展させるための課題
1 デジタル化を進めるために大事なこと
なぜPoCで終わってしまう企業が多いのか?
ICT技術者を競争力の源泉に据える
2 これからの技術面の課題
サイバーセキュリティへの投資が欠かせない
ネット上の交通整理が必要になる
膨大なデータをどこでどう管理するのか
さまざまな機器にSIMカードが入る
5Gがつくる新たなワイヤレス基盤
3 新しい情報通信技術といかに向き合うか
新技術との付き合い方を示唆する「赤旗法」
制度設計にも積極的に関与すべき
技術進歩を過小評価することの過ち
未来のことは誰にも予測できない
AI、IoTはあくまでもツールである
おわりに データ・ドリブン・エコノミーは、日本にとって大きなチャンス
参考文献一覧
著者
森川博之(もりかわ・ひろゆき)
東京大学大学院工学系研究科教授
1965年生まれ。1987年東京大学工学部電子工学科卒業。1992年同大学院博士課程修了。博士(工学)。2006年東京大学大学院工学系研究科教授。2007年東京大学先端科学技術研究センター教授。2017年4月より現職。
IoT(モノのインターネット)、M2M(機械間通信)、ビッグデータ、センサネットワーク、無線通信システム、情報社会デザインなどの研究に従事。ビッグデータ時代の情報ネットワーク社会はどうあるべきか、情報通信技術は将来の社会をどのように変えるのか、について明確な指針を与えることを目指す。
電子情報通信学会論文賞(3回)、情報処理学会論文賞、ドコモ・モバイル・サイエンス賞、総務大臣表彰、志田林三郎賞などを受賞。OECDデジタル経済政策委員会(CDEP)副議長、新世代IoT/M2Mコンソーシアム会長、電子情報通信学会副会長、総務省情報通信審議会委員、国土交通省国立研究開発法人審議会委員などを歴任。
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