ファイナンス学者の思考法
どこまで理屈で仕事ができるか?
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ファイナンス学者の思考法
どこまで理屈で仕事ができるか?
書籍情報
- 宮川 壽夫 著
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2025年02月
- 判型/造本:46並
- 頁数:288
- ISBN:9784478121825
内容紹介
「コーポレート・ファイナンス」というビジネスパーソンに必須の学問を専門とする大学教授は、どのように物事を考えているのか? 大好評、『新解釈 コーポレートファイナンス理論』の著者が、ファイナンス理論をモチーフにプロの学者が身につけている「科学的な思考法」の概要とその身につけ方を解説する。
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目次
プロローグ
「やらなければならないこと」と「やったほうがいいこと」の混同が起きている
「セール(帆)を張る」か、「オール(櫂)を握る」か?
しょせん最後は、意気と度胸と勘の勝負
本書の構成とあらまし
第1話 セールを張ってばかりの世界からオールを握る世界へ ── 博士課程のプレリュード
大きな傘の中から外へ飛び出す無謀な勇気
理論の塊のような師匠との邂逅
大事なのは「檻の中にいる」と自覚すること
喉もと過ぎれば熱さも忘れて
思いもよらぬ事態はいつも唐突に訪れる
針の穴を象がくぐり抜けるような奇跡
第2話 オールを握ることはこうして始まった ── 探究のジェネシス
「探究」よりも「作業」を優先してしまう
単純化しても本質には迫ることができない
小さなチームの大きな野望を支えた科学的な思考プロセス
科学者の仕事は、世の中に説明できる範囲を拡げること
探究のプロセスの出発点
初期の大学の意外な看板学部
探究する自由が保障されている理由
経済学が探究する根本的な問い
経営学が探究する根本的な問い
サイドストーリー① ── 理由は聞くな、本を読め!
ビジネスパーソンに求められた三つのスキル
それぞれのスキルは並列せず階層化する
オールを握るためのテクニカルスキル
本で読んだことが現場で役立つ瞬間
この講義を受講するとなにができるようになるんですか?
学べばなにものかに変貌できる
第3話 セールは衝動的に張られ、オールは冷静に握られる ── 煩悩のヒューリスティック
大阪城公園殺人事件のナゾ
人間が持つ思考の二面性
あの人の話には説得力があると感じるのはなぜか?
この人だけには太刀打ちできないと感じるのはなぜか?
思考が散乱するメンタルショットガンの罠
「ヒューリスティック」という思考のクセ
サイドストーリー② ── セールを張るための勉強とオールを握るための学び
まったく勉強しない人がいなくなった世の中
ジョブ型システムを前提にしたリスキリング
社内研修という機能を持たない外資系企業
自分は一体なにがわかっていないのか?
第4話 オールを握るための型はこうして作られる ── 推論と観察のためのオルガノン
思考のための三つの道すじ
むずかしい話も構造は同じ
思考のクオリティは観察力で勝負がつく
人間にできてAIにはできない洞察的推論
サイドストーリー③ ── デキる人のしゃべり方
仕事がデキる人よりデキそうに見える人
思考はボトムアップ、しゃべりはトップダウン
マジックナンバー、それは「3」
第5話 セールを張ると行き先を間違える理由 ── 因果関係のピットフォール
自分の頭で考えている、という錯覚
因果関係が存在するとはどういうことか?
相関関係はあるが、時間的な順序が逆?
相関関係はあるが、交絡因子が排除できない?
美しいストーリーには要注意
経営者の能力が企業業績に与える影響は誇張されている?
原因と結果の帰属錯誤がもたらす大きな社会コスト
こんな話を安易に信じていませんか?
われわれがバイアスから逃れられない理由
サイドストーリー④ ── 問題解決型では価値が生まれない?
作業として答えが出せる問題解決型アプローチ
世の中はなぜか単純化を求めてしまう
圧倒的に思考力を必要とするポジティブアプローチ
第6話 疑問を持たないとオールは握れない ── 科学的な実証というオブセッション
配当が高い企業の株価は本当に高いのか?
「科学的に実証されている」ことの意義
「理論と実証」とはいうけれど……
まずはデータを記述する、それはとても大事な技術です
記述ができたら推測する、それは当然の流れです
だからと言って因果関係があるか、それは別の話です
因果関係の存在自体に疑念を呈する論者たち
それでは、優秀な研究者とはどういう人のことを言うのですか?
サイドストーリー⑤ ── 科学のお作法であなたの組織を振り返る
第7話 オールを握った先にしか得られないもの ── ひらめきと直感のファンタジー
アイデアのひらめきは幸運な偶然によるものか?
危険を察知する直感は神秘的な衝動によるものか?
専門家のひらめきや直感を信じてもいい条件
オールを握る勇気と情熱がもたらすもの
エピローグ
著者
宮川壽夫(みやがわ・ひさお)
大阪公立大学大学院経営学研究科・商学部 教授
博士(経営学)。筑波大学大学院博士後期課程修了。
1985年野村證券株式会社入社。2000年米国トムソンファイナンシャル・コンサルティンググループに移籍(アジア統括シニアディレクター)。2007年に再び野村證券株式会社に移籍(IBコンサルティング部上級専任職エグゼクティブディレクター)。2010年より大阪市立大学(現大阪公立大学)大学院に専任、同年准教授、2014年教授。2015年ワシントン大学(University of Washington)客員研究員、2020年一橋大学大学院客員研究員を兼任。上場企業の社外取締役・監査等委員を歴任。主な著書に『新解釈 コーポレートファイナンス理論「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?』(2022年、ダイヤモンド社)、『企業価値の神秘 コーポレートファイナンス理論の思考回路』(2016年、中央経済社)、『配当政策とコーポレート・ガバナンス 株主所有権の限界』(2013年、中央経済社)。他論文、メディア向け論稿多数。
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