勘違いが人を動かす
教養としての行動経済学入門
勘違いが人を動かす
教養としての行動経済学入門
書籍情報
- エヴァ・ファン・デン・ブルック 著/ティム・デン・ハイヤー 著/児島 修 訳
- 定価:1870円(本体1700円+税10%)
- 発行年月:2023年10月
- 判型/造本:46並
- 頁数:432
- ISBN:9784478117033
内容紹介
人間の選択と行動に密かに影響を及ぼす科学的な方法71を紹介。行動経済学や心理学、脳科学の理論・実験と共に実際にバイアスが使われている世界のビジネスや政策の事例も豊富に掲載。読み物として面白いだけでなく、実際の日常生活や仕事でバイアスを活用する方法も解説。面白くてタメになる満足度120%の1冊。
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目次
訳者はじめに
はじめに
「論理」よりも「情熱」よりも、「人を動かす」もの
私たちの行動は「誰か」に誘導されている
人を動かす「ハウスフライ効果」と認知バイアス
「行動科学」を効果的に使うための注意点
なぜカジノは「現金」ではなく「コイン」を使わせるのか?
日常にあふれる無数の「仕掛け」を解き明かす
日本語版への序文
第1章 脳に騙される私たち
── 自分にとって都合のいいことばかり考えてしまう理由
「私だけに当てはまる!」と誰もが思っている
「頭で考えて動く人」と「直感的に動く人」は決定的に違うのか?
現代の生活にそぐわない「衝動性」が遺伝子に刻まれている理由
「自信過剰」なのは当たり前
無知な人より、知識が豊富な人のほうが自信を持てない理由
あなたを「勘違い」させる脳の仕組み
人間の意識は「脳がどう働いているのか」を把握できない
実験してみよう 人はなぜ自信過剰になるのか?
自分を過大評価するのは他人がいるとき
精神を鍛えるより環境を変えたほうがいい理由
選挙で利用された認知バイアス
失敗はおまえのせい、成功は私のおかげ
自己欺瞞の本質は、自分に嘘をついて自分を騙すこと
「何の効果もない偽薬」が、現実に有益な効果をもたらす
「役に立たない」押しボタンが人を守る
わざと「水っぽい味」にされたコーラ
「美味しいものは高い」のではなく、「高い」だけで美味しく感じる
「望ましくない情報」からは意図的に目を背けてしまう
頭ではわかっていても、脳に騙される
実験してみよう 子どもがたくさん食べるお皿はどっち?
握手の前には手を温めたほうがいい
第1章まとめ ── 私たちを騙す脳のクセ
第2章 なぜ人は怠けてしまうのか
──「面倒くさい」を脱し「すぐやる人」になる方法
「20ドルもらうために27ドル払う」人
広告費を使わず売上を倍にするシンプルな方法
ビジネスと公共機関で使われる「ナッジ」
キャッシュバック制度は意図的に「面倒くさく」されている
自殺者すら減らす「面倒くさい」の力
相手に「面倒くさい」と思わせたらダメ
意思決定の95パーセントは自動的に行われている
暴徒化した市民も、「順路に従って」大人しく行進してしまう
「大量の情報」より「わかりやすい」ほうが効果的
「なぜなら」と言うだけでうまくいく
ダイエットを成功させたいなら「数字のない」体重計を使うべき
「複雑な問題だ」と考えることが「シンプルな解決策」になる
選択肢は欲しいが、選びたくはない
選択肢を限定されると、他の選択肢を忘れてしまう
絶対に選べない「ダミー選択肢」のすごい力
「何もしなくていい」ならそれでいい
知らないうちに「デフォルト」を選んでいる
なぜ2位じゃだめなのか?
習慣を変えるのは難しい
ブランドのリニューアルが失敗しがちな理由
新しい習慣をつくるのは「途中でやめるのはもったいない」という気持ち
人を夢中にさせる4段階の「フック・モデル」
認知バイアスを使って良い習慣を身につける方法
ねらうべきは「ぜんぜん知らない」と「全部知っている」の間
第2章まとめ ──「シンプル」にして相手を動かす
第3章 「想像の痛み」から逃げたい
── 不安やストレスに振り回されない技術
「失う痛みを避ける」ためにどんなことでもする
「いらないモノ」を捨てられない理由
「お金を使う」のは身体的に痛い
「経済的な不満」を感じると、人は食べ過ぎてしまう
なぜプロのサッカー選手が「止められやすい」シュートを蹴ってしまうのか?
人はとにかく「確実で安心」が好き
決断を左右するのは「リスク回避」
病気にかかるよりもワクチンの副作用が怖い
保険は「割に合わない」とわかっていてもかけたくなる
決断を先延ばすより「すぐやる」ほうがいい
人は「選択の可能性が消える」のを嫌がる
「閉店セール」や「期間限定」を無視できないワケ
実験してみよう 「買うべきモノかどうか」を判断する方法
「合計金額」を把握しながら買い物するべきか?
「食べ放題」に行くのは心理的にも楽しい
「不確実性」は人に苦痛を与える
都合の悪い「正確な情報」は見たくない
第3章まとめ ── 不安に振り回されず、利用して相手を動かす
第4章 「人と同じ」じゃないと不安
──「同調」と「社会性」を使いこなす
不合理であっても「行列」には並びたくなる
「周りと同じこと」でリスクを回避したい
なぜ私たちは「限定」に弱いのか
「ベストセラー」は自動的に売れ続ける
「良くない行動」を指摘しても改善されない理由
「人を動かすメール」を書くときの工夫
「集団に帰属したい」欲求は非常に強い
「仲間外れ」を避けるためなら「自分の考え」も曲げてしまう
人材の多様性を確保したいときの方法
「社会規範」が集団の結束を強める
人は「自分の利益」と「社会の利益」の間で葛藤している
「他人が何を考えているか」がわかると自分の行動も変わる
「〇〇し始めた」と変化を強調したほうが人の行動は変わる
人は「一定の条件下では協力し合う」特性を持つ
オンラインサイトのレビューを巡る、ゲストとホストの駆け引き
真に社交的な人間は、他者のために行動する
「いいこと」を言う人は「いいこと」をしない
「他人の目」を気にして人は行動を変える
人は自分のことを「まともな人間」だと思いたがる
「権威」を前にすると論理的思考ができなくなる
広告はあらゆる方法で「権威付け」されている
「皆さんもご存じのように」で権威を高められる
自分よりも他人が気に入る投稿に「いいね」を押している
「優れた文学作品」を読むと戦略的思考が鍛えられる
「互恵関係」が人類の文明の基盤となっている
人に親切にするのは「お返し」が欲しいからではない
人は実際に「恩送り」をしているのだろうか?
直接的な見返りを求めないことで人類は発展してきた
職場で「小さな親切」をしてみよう
第4章まとめ ── 「同調」と「社会性」で人を動かす
第5章 「今すぐ欲しい」が「まだやりたくない」
──「時間」を効率的に使うコツ
「将来の自分の行動」を予測するのは困難
未来よりも「今、目の前」の報酬が大事
スーパーが「野菜売り場」から始まるのはなぜ?
誘惑に耐えるうちに「意志力」が尽きてしまう
「ギャンブルに負ける」と高いリスクを取りたくなる
女性は男性よりもリスクを取らない?
大切な決断は「朝のうち」にしたほうがいい
「終わりよければすべて良し」は科学的に正しい
人は「違う状況に置かれた自分」の予測が苦手
状況からどのような影響を受けるか認識する
「お金がない」ときに人は頭が悪くなる
米国人の「1時間の価値」は19ドル?
「時間不足」も思考力を低下させる
高金利ローンの警告文はほとんど役に立っていない
「先延ばし」をやめて「すぐやる人」になる方法
目標を達成したいなら「1色刷り」のスケジュール帳を使うべき
「人生の節目」すらマーケティングに利用される
5日も早く確定申告書を提出させた「1枚のメモ」
すぐやる人は「未来時制」を使わない
目の前の小さな報酬が将来のための行動を妨げる
「せっかち」と「先延ばし」はセットになっている
「ぜんぜん行かなくなっていた」スポーツジムに賢く通う方法
自主的な目標設定で「未来の自分」を動かす
実験してみよう 「コミットメント」で宿題への意欲を高める方法
自然と貯蓄を増やすなら企業年金を使うべき
第5章まとめ ──「すぐやる人」になって目標を達成する
第6章 知らぬ間に注目している
── 誘惑の仕組みを利用する
人を惹きつける「魅力」はテクニックで身につく
「注目してしまう」と好きになる
「カラフルで可愛いロゴ」を使ったデスメタルバンド
iPodに「白いイヤホン」をつけたアップルの戦略
「お人好し」が人を動かす
自己紹介の目的は「共通点」を探すこと
同じことでも「繰り返す」だけで魅力的になる
新しいデザインを受け入れてもらうコツ
フェイクニュースの拡散を防止する効果的な方法は?
「知らない悪魔より知っている悪魔」
「目新しさ」と「馴染みのあるもの」の組み合わせがベスト
「完璧」よりも「玉に瑕」のほうが好まれる
「95%脂肪カット」と「脂肪5%入り」どちらが欲しい?
実験してみよう フレーミングのすごい効果
「バレバレの噓」で議論をすりかえる
頭のいい人が「喩え」をうまく使う理由
実験してみよう 「喩え」を使って味方をつくる
「名前を変えた」だけで大人気になった魚
「絶対に選ばない選択肢」をわざわざ設ける理由
「韻を踏む」だけで説得力は高くなる
なぜ誰も頼まない「とびきり高いワイン」をメニューに載せるのか?
人は「まったく関係ない数字」にも影響を受ける
実験してみよう アンカリング・参照効果を体験する
実験してみよう 裁判官ですら参照効果から逃れられない
定価を下げるより「割引クーポン」を配ったほうがいい理由
実験してみよう 交渉を成功させる「逆言法」
「戦略的サバ読み」で評価を上げる
「物語」で5800倍高くなった古い腕時計
実験してみよう 物語をつければガラクタでも売れる
物語の力で人類は進歩した
人は「事実」ではなく「物語」で動く
実験してみよう 正確な数字よりも1つの物語
11万円で売れた「何の役にも立たないアプリ」
「金をかけている」と他人がわかるものが欲しい
日本で販売された「2玉300万円のメロン」
チケットを売りたいなら「価格を倍」にする
ポルノ女優の「セックスなし動画」に注目が集まる理由
第6章まとめ ──「誘惑」で人を動かす
第7章 報酬はどう与えるべきか
──「アメとムチ」をうまく使うために
報酬さえ与えれば簡単に人を動かせるのか?
報酬が「逆効果」になる場合もある
「ご褒美」が効果を発揮するのは、「改善の余地」があるときのみ
「教師の指導能力」に応じてボーナスを与えるのは効果的か?
事前にお金を受け取ったほうが、良い成果を出せる
ボーナスが多く与えられると、業績が下がる場合もある
「搾取された」と感じるだけで、心臓病につながる危険がある
男女の賃金格差を解消するための方法
「お金がもらえる」なら、やりたくない
「コーヒーが無料で飲めない」職場では、盗難やハラスメントが起こりやすい
お金のことを考えるだけで、人は不道徳になる
「お金が絡む職業の人」は、不正をしやすいのか?
倫理観の向上に必要なのは「報酬と環境」の変革
人の命を守るための課税もある
清涼飲料水から砂糖を消した英国の課税
「5分遅刻したら罰金」の制度で、爆発的に遅刻者が増えた
報奨金も罰金も条件次第では望ましくない効果を生む
お金よりも「いいね!」が欲しい
報酬よりも「目標設定」と「フィードバック」が、高いパフォーマンスを生む
「フィードバック」が、人により良い行動を促す
「数値測定」が本来の目的を逸らす罠になる
数字が人に与える影響は大きい
第7章まとめ ── 報酬で人を動かす
おわりに
「認知バイアスで人を動かす」ことは、倫理的に許されるのか
認知バイアスを使う権利は誰にでもある
認知バイアスはまだ社会で十分に活用されていない
「ハウスフライ効果」を自分で試してみよう
認知バイアスで人を動かす、7つの手順
私たちの日常は「行動実験」であふれている
まずは「4%の改善」を目指す
「選択と行動」は、あなたの自由となった
謝辞
エヴァからの私信
ティムからの私信
訳者あとがき
原注
付録 人を動かす71の認知バイアス
著者
エヴァ・ファン・デン・ブルック(Eva van den Broek)
行動経済学者。ユトレヒト大学講師。人工知能を研究し、行動経済学の博士号を取得。大学、政府、企業での応用行動研究において15年の経験を持つ。消費者がより持続可能な選択をすることができるよう、より良い行動インセンティブを設計する組織を支援している。オランダ政府のキャンペーンなどにも携わる。
ティム・デン・ハイヤー(Tim den Heijer)
クリエイティブ戦略家、行動デザイナー、コピーライター。広告代理店B.R.A.I.N. Creativesの創設者。ハイネケンやイケアなど、世界的に有名なブランドの広告に20年間携わる。ニューヨークからカンヌまで、数々の賞やノミネートを獲得してきた。ライデン大学オランダ語言語学修士号。マスコミュニケーション副専攻(ユトレヒト大学)。行動デザイン(BDA)、行動経済学(トロント大学)、神経マーケティング&消費者神経科学(コペンハーゲン・ビジネススクール)の修了証書を取得。
訳者
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。おもな翻訳書に『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(以上、ダイヤモンド社)などがある。
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