野口悠紀雄の経済データ分析講座
企業の利益が増えても、なぜ賃金は上がらないのか?
野口悠紀雄の経済データ分析講座
企業の利益が増えても、なぜ賃金は上がらないのか?
書籍情報
- 野口 悠紀雄 著
- 定価:1760円(本体1600円+税10%)
- 発行年月:2019年11月
- 判型/造本:46並
- 頁数:264
- ISBN:9784478109403
内容紹介
日本経済の問題点を探りながら、経済を分析するための思考法が身につく。どこにどんなデータがあるのかといった初歩的なことから、実際にどのデータを使えば分析できるのかという具体的な手法まで学べる内容。本書を読めば、これまで政府の発表を鵜呑みにしていた人でも、その真偽を自分の目で検証できるようになる。
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目次
はじめに
ウェブに用意した「サポートページ」を活用して「能動的に」読もう
第1章 企業利益が増えたのはなぜか?
3つのステップで企業利益の動向を理解しよう
1 製造業の利益増加は輸出拡大によるものではない
2 原油価格下落が製造業の利益を増やした
3 人件費が圧縮されたので利益が増えた
4 労働分配率が低下した
第2章 新しい二重構造が発生している
3つのステップで日本企業の業績動向を理解しよう
1 企業業績は企業規模別で大きな差がある
2 業種別で企業業績に大きな差
3 小売業、飲食サービス業の惨状
4 景気拡大の中で「二重構造」が復活している
第3章 なぜ賃金が上がらないのか?
3つのステップで賃金が上がらないメカニズムを理解しよう
1 給料が上がらない真因は零細から大中企業へ供給された「低賃金労働力」
2 潜在的な「低賃金労働者」は働き手の「5人に1人」
第4章 低賃金にあえぐ家計の実態
3つのステップで賃金格差や非正規雇用の実態を理解しよう
1 低賃金部門の給与は生活保護に近い
2 「総雇用者所得」が増えたのは女性や非正規の就業者数が増えたから
3 家計消費の伸び悩みと売り上げ減の悪循環
4 高齢者世帯の生活保護が20年後に4倍になる可能性
第5章 日本の将来を担う産業は何か?
3つのステップで日米経済構造の違いを理解しよう
1 製造業は2010年代から「ゼロ成長産業」
2 日本の半導体産業が衰退した基本的原因は何か
3 日本の劣化が目立つ液晶産業
4 日本の自動車産業の強さは将来も続くか?
5 成長のカギ「高度サービス産業」は日本の将来を支えられるか?
6 日米の差を象徴するアメリカの高度サービス産業
第6章 金融政策を検証しよう
3つのステップで金融政策の効果を理解しよう
1 アメリカでは日本と違い消費者物価が上がる理由がある
2 「リバーサルレート」とは何か?
3 MMTとは何か? どこが問題か?
第7章 カネ余りのために金融緩和が効かなかった
3つのステップで「カネ余り現象」を理解しよう
1 アベノミクス下で「企業のカネ余り現象」が顕著に進行した
2 カネ余り現象が銀行の運用難と収益悪化をもたらした
3 民間設備投資の9割がカネ余りによる過剰投資の可能性
第8章 統計不正問題とは何だったのか?
3つのステップで「統計不正問題」を理解しよう
1 毎月勤労統計調査問題(その1)東京都を全数調査しなかった
2 本当に深刻な問題は賃金データの「消失」
3 毎月勤労統計調査問題(その2)抽出対象の入れ替えは問題か?
第9章 日本経済をデータで探る
1 経済分析のためのデータサイト活用法
2 データベース方式統計サイトの使い方
3 データがPDFでしか提供されていない場合の対処
図表一覧
索引
著者
野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書)、近著に『データ資本主義』(日本経済新聞出版社)、『「超」AI整理法』(KADOKAWA)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『平成はなぜ失敗したのか』(幻冬舎)、『仮想通貨はどうなるか』(ダイヤモンド社)など多数。
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