父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書
父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書
書籍情報
- スコット・ハーショヴィッツ 著/御立 英史 訳
- 定価:2420円(本体2200円+税10%)
- 発行年月:2023年11月
- 判型/造本:46並
- 頁数:600
- ISBN:9784478109908
内容紹介
「自分とは何か」から「宇宙の終わり」まで、哲学の最重要問題を一気読み。イェール×オックスフォード卒の異才教授が渾身の力で解きほぐした、史上最強の哲学書! 権利/罰/復讐/真実/無限……「最もシンプルでわかりやすい言葉」で、哲学がするする頭に入る前代未聞の哲学書。
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目次
Introduction 考える技術
哲学者求む/哲学者の自己紹介/哲学? 何だそれは?/
哲学をやめることで大人になる?/ママの赤はどんな赤?/
幼稚園児が考える「逆転スペクトル」/
ランチの選択をめぐる哲学的な問い/どこかに「第一のノミ」がいるはずだ/
一人より三人のほうがわがままが言えるか?/世界は不思議に満ちた場所/
哲学は「考える技術」/日常の中の「哲学パズル」を探究する/
本書の構成と各章のテーマ/ほかの本とは「違う読み方」をしてください/
この世界は「思っているような世界」ではないかもしれない/
意地悪で、残酷で、短い
第 1 部 道徳を理解する
Chapter 1 権利 「わがまま」を言う権利はないのか?
毎日が騒乱状態/「ぼくにはけんりがない」/「できない」けど「できる」/
「権利」とは何か?/「同じ言葉」なのに意味が変わる/
権利は手で持てない/権利は「関係性」の中にある/
権利より「幸福の最大化」のほうが大事か?/
暴走するトロッコをめぐる難問/
「太った男」を突き落として五人を救うか?/
カントを使って考える/もし線路が「ループ」していたら?/
自分で突き落とさなければ問題ない?/「鉄道のプロ」はこう考える/
「トロッコ問題」は何を考えるためにあるのか?/
子どもへの果てしないレッスン/「ファンタを飲む権利」はハンクにあるか?
Chapter 2 復讐 「やられたらやり返す」は平等か?
謎の悪口/悪に悪を返せば善が生まれることもある/
復讐はセックスより気持ちいい?/人間関係の「帳尻」/
「分配的正義」と「矯正的正義」/「目には目を」という天才的な方法/
「切られた腕」の補償金額はいくらか?/「他人の腕」と「自分の腕」/
「共感」は「同情」より強い/現代は「命の値段」が安くなっている/
「目には目を」は平等に見えて平等ではない/
いじめられることに慣れてはいけない/
「怒る」ことは重要である/「最初の悪」と「二度目の悪」は違う/
「いつでも別の方法がある」は楽観的すぎる/
失ったものは取り戻せない。では、何ができるのか?/
嫌なヤツに言い返せる「強力なひと言」
Chapter 3 罰 「おしおき」は哲学的に正当か?
初めてのタイムアウト/親はなぜ子どもを罰するのか?/
犬をしつける「プロの方法」とは?/夫を調教師の方法で手なずける?/
他者と向き合うときの二つの態度/罰の定義 ── 子どもバージョン/
罰は、責任ある者への怒り/理性があるから、行為に責任がある/
パートナーを動物扱いしてはならない/子どもは「動物」である/
親の仕事は「怒られる子ども」を育てること/
叱るときは「行動を叱る」だけではいけない/
「気をつけようとしていた」は言い訳にならない/
犯罪に対する刑罰の意味/罰は「言葉だけ」では十分ではない/
罰を与えなくてもいいときとは?/いちばん大切なメッセージ
Chapter 4 権威 親は子どもに命令できるか?
言うことを聞かないという「信念」/親は子どもの「ボス」か?/
あらゆる権威を疑う「哲学的アナーキズム」/
「だれも命令できない」vs.「自分の判断で従うときもある」/
「言うとおりにしなさい」と言ってしまうわけ/
「サービスを提供する」から権威が成立する/
「自分だけでやる」よりうまくできるように助ける/
次々と間違いの指摘が飛んでくる学問/
三つ星シェフは、二流の料理人に命令できるか?/
王の権威を疑う7歳の政治哲学者/権威は「役割」に付随する/
上司が命令できるのは「当たり前」ではない/
もっとも抑圧的な統治者は「会社のボス」/
「孤独で、貧しく、意地悪」な人生から脱却する/
「民主主義擁護論」を考える/7歳の独立宣言
Chapter 5 言葉 言ってはいけない言葉は言ってはいけないか?
人生で初めて「ファック」を口にする/サマーキャンプで悪態を学ぶ/
「同じ意味」なのに、なぜ言ってはいけないのか?/
「侮辱のエスカレーション」でどんどん不快になる/
汚い言葉を使うのは悪いこと?/「場所」を侮辱していることになる/
悪態は「すべての子どもに必要なスキル」である/悪態は体にも心にもいい/
「ファック」の文法講座/悪態のレッスン/「使用する」と「言及する」は違う/
なぜ行儀の悪い言葉で哲学を論じるのか?/
口にしてはならない言葉がある/侮蔑語を差別者から奪い返す/
「その言葉」を使わず「その言葉の問題」を指摘する/
「善意の行動」が人を不快にする理由/いちばん意地悪な言葉
第 2 部 自分を理解する
Chapter 6 男女 性、ジェンダー、スポーツを考える
仲良し三人組の5キロマラソン/女子に負けた男子はどうなる?/
スポーツが苦手な少年が気づいた真実/男子は女子に負けてはいけない?/
スポーツを性別で分ける必要があるのか?/
分けなければ女子は大会に出られなくなる?/
スポーツにおいて性別分離が重要な理由/
スポーツにおいて男女平等が重要な理由/個人の権利ではなく共同の権利/
女性の運動能力は男性と「違う」だけ/
子どもたちが持ち出したさらに複雑な問題/
「性」と「ジェンダー」はどう違うか?/
「ジェンダー披露パーティ」で上がる歓声の意味/
かつて「男の子はピンク、女の子は青」だった/
トランス女性の出場資格をめぐる論争/
「平等な競争条件」にこだわることは正しいか?/
「女性」と宣言すれば女子スポーツに出場できる?/
どのような概念で「女性」を理解するか?/
「ノンバイナリー」のアスリートの参加資格は?/あらゆることに哲学はある
Chapter 7 差別 ほかの人がやったのに、責任を取らなきゃいけない?
ローザ・パークスのバスに座る/
「ぼくたち、そんなことしなければよかったのに」/
それは「私たち」に責任があるのだろうか?/人種は存在しない?/
すべてのヒトは「同じ家族」の一員である/人種は「社会的概念」である/
かつてイタリア系移民は「黒人」だった?/「惑星」と「借金」と「人種」/
「あの人、黒い」と言った子どもに教えた三つのこと/
黒人であることには喜びもある/他者の痛みの上に築かれた特権/
白人というだけで責任があるのか?/ボーイング社と「白人」の違い/
責任がなくても責任を取る/利益を享受する者は、その負担も負うべき/
親にできるのは子どもと話すこと/奴隷にとって7月4日は何の日か?/
賠償は「支払い」ではなく「プロジェクト」である/
ジャッキーとハンクが出会ったとき/特権と不安定さの奇妙な混合/
子どもたちに望むただ一つのこと
第 3 部 世界を理解する
Chapter 8 知識 この世界は本当に現実か?
人生はすべて「夢」かもしれない/「夢ではない」とわかる方法はあるか?/
あらゆることを限界まで疑う/荒唐無稽な懐疑論的仮説/
「自分は存在する」ことだけは知っている/
しかし、パスタの買い置きがあったかどうかも知っている/
どうすれば「知っている」と言えるのか?/
たった3ページの衝撃的論文/解決不可能な難問/
忘れ去られた哲学の業績に光を当てる/冷蔵庫が「空っぽ」とは?/
哲学と日常生活では「知っている」の基準が違う/
「確かなことはわからない」という巧妙な戦略/
「ダウトモンガー」に乗せられるな/
シミュレーション仮説 ── 私たちは仮想現実の世界にいる?/
「世界をシミュレートすること」は可能か?/
「シミュレーション仮説」の問題点/
コンピュータの中のあなたも「本物」である/
人間が何でできていても道徳は変わらない/「われ愛す、ゆえにわれあり」
Chapter 9 真実 ついていいウソと悪いウソはあるか?
「ふり」をして子どもと遊ぶ/「ウソをつくこと」と「ふりをすること」/
子どもが考えた「ゲティア問題」/いつも「正直」でなくてもかまわない/
なぜウソをついてはいけないのか?/相手を欺くから悪いのか?/
ウソは「相互理解」のためのツールを損う/
人殺しに本当のことを言う必要があるか?/
それも正しいが、これも正しい?/審判が決めなくても「真実」は存在する/
真実は人の数だけ存在するのか?/
「相対主義」ではジェノサイドを悪と言えない/
真実に到達するには考え抜くしかない/ハンクの相対主義を論破した夜/
「認識論的バブル」と「エコーチェンバー」/
右派にも左派にもあるエコーチェンバー/
エコーチェンバーの見分け方と脱し方/家庭という認識論的バブル/
「サンタ」を信じさせるのはウソをつくことか?/
望めば「本当のこと」を知らせてもらえるという安心
Chapter 10 心 赤ちゃんであるとはどういうことか?
「犬の心」の謎/赤ちゃんであるとはどういうことか?/
「1分前のハンク」はもういない/「コウモリの実感」をめぐる哲学/
他者の頭の中には入り込めない/
「自分以外の人」には内的世界がないかもしれない?/
「哲学的なゾンビ」を考える/意識の難問 ── 人はなぜ「実感」できる?/
デカルトの「身心二元論」とは何か?/唯物論 ── 心とはつまり脳である/
「メアリーの部屋」── 唯物論に対する反論/
「三人の母」── 唯物論に対する反論/
「赤いリンゴ」と言って「青いリンゴ」を渡したら?/
私たちはみんなゾンビ!?/「見解を持つ」ことには危険がともなう/
物質と意識はどう結びつくのか?/意識の話はやめて、ひと休み
Chapter 11 無限 宇宙が無限なら人間の価値は?
「宇宙の端っこ」でパンチをしたらどうなるか?/
壁を突き抜けても突き抜けなくても宇宙は無限/
「退屈」はあなどれない/いちばん大きな数は?/風船の表面を歩くアリ/
殴りたくても殴れない/ゼノンのパラドックス/
数学と物理学による解決/「哲学の方法」と「科学の方法」/
宇宙が無限なら人間の行動はどう変わる?/「無限の客室」のあるホテル/
宇宙に功利主義を当てはめる/「1千億兆個の星たち」を想像する/
宇宙から自分を見ると?/「どうでもいいこと」なのに「とても重要」/
「大切に扱う」ことで意味を生む/
「自分は小さい、他者は大きい」と考える勇気/人生の「不条理」を飲み込む
Chapter 12 神 「神さま」はいるの? いないの?
カウボーイハットをかぶった「神さま」/
神はスーパーマン? それともジョージ・ワシントン?/
神は「どこかに立っている」わけではない/謎の庭師/反論不可能な主張/
「6」という数は存在しない?/「数」は人間がいなくても存在する?/
「神さまは本当にいるの?」に答える/4歳児の神学/
「虚構主義」という考え方/神についての虚構主義/
信じている「ふり」をする/信仰は「信念」ではなく「行為」/
「パスカルの賭け」の計算違い/「神さまは見せかけ」ならどうなる?/
自分の「疑い」を言う義務がある/奇妙な「存在論的証明」/
「別の物理法則」はありえなかったのか?/
「悪の問題」── 世界に悪がある理由/
「決まり文句」で片付けてはならない/
全体としてではなく、「一つずつ」の悪を考える/
全知全能の神と「交渉」する/より深く考えて寡黙になる
最後に 哲学者の育て方
板を何枚替えたら、同じ船ではなくなるのか?/
今日の私は「先週の私」と同じか?/「考える人」を育てる/
「対等な相手」として会話をする/真剣に話を聞き、自分の考えを伝える/
昨日より今日、少しでも深く理解する
謝辞
訳者あとがき
付録 もっと考えたい人のための本と情報源
参考文献/出典
事項索引
人名索引
著者
スコット・ハーショヴィッツ(Scott Hershovitz)
ミシガン大学の法学および哲学教授。また、同大学で「法と倫理プログラム」ディレクターを務める。ジョージア大学で哲学と政治学の学士号を取得、イェール大学ロースクールで法務博士号を取得、ローズ奨学生としてオックスフォード大学で哲学博士号を取得。連邦最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの法務書記官を務めた経験を持つ。主要な学術雑誌に法律と道徳に関する記事を多数発表。妻と二人の子どもとともに米国ミシガン州アナーバー在住。
訳者
御立英史(みたち・えいじ)
翻訳者。訳書に、ヨハン・ガルトゥング『日本人のための平和論』、デボラ・グルーンフェルド『スタンフォードの権力のレッスン』、トーマス・グリタ他『GE帝国盛衰史』(いずれもダイヤモンド社)、ブライアン・カプラン他『国境を開こう!—移民の倫理と経済学』(あけび書房)、ロナルド・J・サイダー『聖書の経済学』『イエスは戦争について何を教えたか』(ともにあおぞら書房)などがある。
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