暴君誕生
私たちの民主主義が壊れるまでに起こったことのすべて
暴君誕生
私たちの民主主義が壊れるまでに起こったことのすべて
書籍情報
- マット・タイービ 著/神保 哲生 訳
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2017年12月
- 判型/造本:46並製
- 頁数:468
- ISBN:978-4-478-10294-7
内容紹介
ローリング・ストーン誌の超人気辛口コラムニスト&ベストセラー作家が、大嫌いな大統領候補の選挙活動にアメリカ全土をついて回って目撃した「私たちが本当に頭がカラッポのリーダーを選んでしまうこれだけの理由とアメリカの大切な民主主義が崩壊するまでの日々」である
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目次
訳者まえがき ジャーナリスト 神保哲生
第1章 大錯乱時代の予言ふたたび
『大いなる錯乱』「イントロダクション」より/何が事実かがわからなくなってきた
『大いなる錯乱』「第1章 人々は旅立とうとしている」より
第2章 見世物小屋と化した共和党の指名争い
喜劇としての大統領選挙/本当の要因は別のところにあった/暴言に次ぐ暴言
全候補者トランプ化現象/ののしり合いというパフォーマンス/You are fired!
最大の脅威と味方/2年のうちに世界は変わった/攻撃者
第3章 愚か者たちが一斉に檻から出てきた
人々がトランプの選挙戦を楽しめた理由/メディアに決して屈しない
エスカレートする移民問題/トランプの選挙戦のたった1つのメッセージ
第4章 共和党は被害妄想白人の党になった
黒人票に続き、ヒスパニック票も失う共和党
トランプの白人支持者は頼りにされていることがうれしかった
トランプの登場で震え上がる共和党のパトロンたち/異次元に突入した妄想
第5章 サンダース現象とは何か
非現実的だが、極めて妥当な政策/従来の候補者像の枠をはみ出す存在
信用できなくなった民主的プロセス/現実が見えなくなった私たち
第6章 共和党サーカス団の暴走は続く
トランプがまともに見えてくる狂気の選挙戦
ジェブ・ブッシュ ── ブッシュ家の栄光を台無しにした男
マルコ・ルビオ ── かつての選挙戦なら勝てていたかもしれない
ジョン・ケーシック ── トランプのおまけのような存在
カーリー・フィオリーナ ── 真っ赤なウソで一時気を吐く
ベン・カーソン ── 間違って大統領選に参入してしまった候補/トランプより頭のネジが外れている候補
第7章 バカなアメリカ人にはニュースがまともに理解できない
9.11を祝う人を見たか/すべてはメディアのせい
パニック・グーグリング/ニュースとショッピングの区別がつかなくなる
第8章 もはやトランプの爆進を止めるには手遅れだ
メディアが作り出した怪物/テレビを妄信する者同士
トランプはテレビ教の信者だ
第9章 アメリカ富裕層の愚民感情
サンダースは危険だ/ビル・クリントンの教え
ヒラリーは歩み寄る政治家/クリントン夫妻と私たち
第10章 アメリカはいかにしてトランプの暴走を助けたのか
絶好調男/集会でのある「指令」/詐欺師が大統領に?
ジェブ・ブッシュに狙いを定める/低い支持率でもトランプが選挙に勝てる理由
トランプを勝たせたくないメディア/ほかの候補たちの墓穴がトランプを助ける
メディアを嫌悪するトランプ支持者たち/過激な主張だけではない
「メキシコへの工場移転を阻止した」という勘違い/トランプはバカだがウソはつかない?
サンダースと一致するトランプの主張/大統領選挙はサーカス
第11章 バカの逆襲
兄ブッシュはただの前菜、メインコースはトランプ/役回りとしてのバカ、兄ブッシュ
ワシントンが恐れるトランプの能なし/兄ブッシュが開けたパンドラの箱
第12章 ヒラリーを見捨てた若者たちの判断は正しかった
ビル・クリントンの取引政治/インサイダー・ポリティクスの限界
政治ゲームの中で正しい感覚がマヒしている/若者たちは、なぜヒラリーを見限ったか
第13章 共和党よ、安らかに眠れ
打たれ強さが唯一の美点のクルーズ/殺人鬼呼ばわりされた大統領候補/突然の敗北宣言
共和党が乗っ取られた瞬間/2つの共和党/自分たちが作ったシステムで破滅したエリート
最低の裏切り者/トランプへのひざまずき方/トランプに理解を示す者も現れた
保守的知識人の背徳/クルーズは間が悪かっただけ/1つの時代の終わり
トランプ1人に振り回される共和党/民主党も同じ穴のムジナ
第14章 サンダースの躍進から学ばない民主党
サンダースの惜敗の意味/政治が有権者と正面から向き合わなくなっていた
サンダースの躍進は民主党にとって悲劇の予兆だった
第15章 民主主義の行き過ぎを主張する危険な人々
透明な政治は害悪なのか?/党の方針に反して立候補する候補はウイルスだ
「民主主義の行き過ぎ論」が火に油を注いだ
第16章 トランプの指名受諾
気味の悪い登壇者たち/トランプのハッピーデイズを彩る人々
共和党を世界の笑いものにした大会
メディアの関心はもっぱら下世話なネタに集中
デモ参加者1人につき記者10人
チーズバーガーを売る感覚でニュースを報じるメディア
なぜ「本物の政治家」は来なかったのか/共和党が逸したチャンス
最後まで盛り上がらない党大会/トランプのスピーチはすべてが盗用だった
トランプも共和党公認の単なる間抜け候補になった
第17章 トランプがメディアを崩壊の淵に追いやった
信頼できる報道機関など存在しない/FOXはオオカミ少年
既存メディアの敗北/トランプ大統領阻止のためなら、偏向報道もやむを得ない?
第18章 トランプが魔力を失った瞬間
トランプがトランプでなくなった/冷やかしで大統領選挙に参加している酔っぱらい
珍妙すぎたトランプの「まともな」演説/「まともすぎて」支持率が急落
目玉の移民政策でも軟化/メディアを遠ざけたことの弊害
トランプがマイノリティを支援する?/黒人の支持率は0%
選挙戦略を考えるのが遅すぎた/国境の壁をめぐる変わり身
政治家でないから支持された
第19章 不敗神話ふたたび
人種差別主義発言で支持率アップ?
神は一体、アメリカに何の恨みがあるのか?/トランプの数々の幸運
接戦になること自体が異常事態
第20章 トランプの失敗と怒り
瞬く間に暴落したトランプ人気/共和党の中の親トランプ対反トランプ
共和党員を代弁できる政治家がいなくなっていた/救う神/ヒラリーの秘密の暴露
なぜ隠すのか/トランプの足かせが外れた瞬間/大統領選挙の4つのウソ
本当にトランプ大統領でいいのですか?
第21章 あってはならないことが起きてしまった
陰謀論を本気で信じる大統領の誕生/トランプはアメリカを愚か者の国にした
メディアの使う言葉が理解できない有権者
市民の怒りが理解できなかったエリートたち/民主・共和両党が気づけなかった危険な主張
常識的ジャーナリズムの失敗
第22章 オバマの最後の抵抗
敗因はヒラリーの努力不足
自制の人、オバマ/オバマ・コメントの教訓
第23章 新政権では真実などどうでもよくなった
ビザ発給停止の衝撃/真実などどうでもいい
代替的事実?/ポスト・トゥルース時代を支配するもの
第24章 トランプ・ザ・デストロイヤー
まだ選挙運動が続いているかのようだ/現職大統領の敗れた候補者への中傷
メディアとトランプの皮肉な持ちつ持たれつ関係
まともな政治をしようとする気持ちがあると思い込んでいた
新しいタイプの大統領の組閣/おぞましい化け物のような閣僚たち
洞察力が欠如した民主党/陰謀論者の閣僚指名を次々と支持した民主党
「学校には、グリズリーに備えて銃がいる」という教育長官候補/覚醒した民主党
労働長官候補は辞退に追い込まれた/トランプ劇場の実害/科学的な議論はまったくできない
民主党にとっての劇薬「ロシアゲート追及」/トランプの負の力が民主党にも及び始めた
政権の数々の痛手/バカなのか、計画なのか/職務をリアリティショーに変貌させる
周囲を「トランプ化」させる不思議な力
第25章 それでもトランプはオルタナ右翼を切れない
今度こそ終わりだろう?/白人至上主義者たちが最後の支持基盤
問題を起こし続けることでメディアを出し抜く
トランプの失言を覆す手口/実際、彼は何者なのか?
ワシントン大統領だって奴隷を所有していたのだから?
犯罪を黙認し、議論を煽り、怒りを硬化させる暴君
解説
著者
マット・タイービ(Matt Taibbi)
1970年生まれ。アメリカ出身の作家、ジャーナリスト。政治、メディア、金融、スポーツなど幅広い分野で執筆を行う。2004年から雑誌『ローリングストーン』で人気のコラムを担当している。鋭い切り口と辛口な文体が持ち味で、2008年には、ナショナル・マガジン・アワードを受賞。2009年には同誌で、ゴールドマン・サックス社を「人間の顔にへばりついて血を吸う巨大な吸血イカ」と表現して ── 躍有名になり、シドニーアワード(社会派のジャーナリストに贈られる賞)も受賞。本書のほか、『The Divide』(2014)などのベストセラーを持つ。
訳者
神保哲生(じんぼう・てつお)
ジャーナリスト/『ビデオニュース・ドットコム』代表。1961年東京生まれ。15歳で渡米。国際基督教大学(ICU)教養学部社会科学科卒。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信、クリスチャン・サイエンス・モニター紙などアメリカ報道機関の記者を経て1994年独立、フリーのビデオジャーナリスト活動に入る。2000年、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』(http://www.videonews.com)を設立し代表に就任、現在に至る。著書に『PC遠隔操作事件』(光文社)、『ツバル ── 地球温暖化に沈む国』(春秋社)、『地雷リポート』(築地書館)など。訳書に『食の終焉』(ダイヤモンド社)、『衝動に支配される世界』(ダイヤモンド社)、『粉飾戦争 ── ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』(インフォバーン)などがある。
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