強い組織ほど正解を捨てる
10000人の経営者と対話してたどり着いた「きれいごと経営」
強い組織ほど正解を捨てる
10000人の経営者と対話してたどり着いた「きれいごと経営」
書籍情報
- 西坂勇人 著
- 定価:1870円(本体1700円+税10%)
- 発行年月:2022年05月
- 判型/造本:46並
- 頁数:296
- ISBN:9784478116074
内容紹介
真のボトルネックは、経営者の思考にある!稲盛和夫氏に理念経営を学び、ティールを取り入れ自律分散型組織へ——ホワイト企業大賞も受賞し、「高エンゲージメント/低ストレス」「キャリア自律」を実現した会社は、何を捨て、何を得たのか?経営者10000人と対話を繰り返してたどり着いた、強い組織をつくる方法とは?
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目次
序章 元ブラック企業経営者が、経営者1万人と対話して気づいたこと
「組織のための個人」から、「個人のための組織」へ
本当に「変わらなければならないこと」は何なのか?
職人をネットワークする ── 2000年生まれのネットベンチャー
数百人の経営者と会っても答えが出ない「迷いの時期」
稲盛和夫さんの「理念経営」との出会い
自律分散型の組織に変わるために「変えなかったこと」と「変えたこと」
勝手に始まった新規事業が、コロナ禍の会社を救った
「会社に行かない経営者」が始めた二つのこと
経営者を「守り」に追いやる二つの課題
「組織のための個人」から、「個人のための組織」へ
「ティール組織」にしさえすればいいのか?
組織も、テレビ型からユーチューブ型に変わっている
「ありたい姿」を持つ3人の経営者からの学び
「アリとキリギリス」を現代の文脈で理解すると
「正解は一つじゃない」と認めることが、分断を埋めるためのカギ
第1章 組織を弱くする「元凶」は、経営者の頭の中にある
「変化」と「成功」を手放す
1 私たちが経験している「変化」を因数分解する
子どもの頃に大事にしてきたことは何ですか?
25年前、私はどんなふうに仕事をしていたか ── 20年で変わったこと ①
スマホ世代は、どんなふうに仕事をしているか ── 20年で変わったこと ②
看板業界をIT化 ── 私の起業経験
パラダイムの変化についていける人、ついていけない人
歴史的な大変化を前に、どう動くべきなのか
力から知識へ ── 産業革命による変化
知識から知恵へ ── IT革命による変化
知恵から「?」へ ── AIによる変化
組織の中で迷いと苦しみを生み出している「3世代間のズレ」
コロナ禍とDXで問われる根本的価値観
「グレート・リセット」で、豊かさは多様化する
2 なぜ「組織」は変化で疲弊するのか?
疲弊した組織に現れる「症状」の数々とは
組織を疲弊させる「既得権益」と「成功体験」
「何を変えるか」を考えるときの落とし穴
「正解のない世界」で最も大切にしないといけないこと
変化を前にした人間の「心の動き」を観察する
第2章 「高エンゲージメント/低ストレス」な組織を実現してわかった「人」のこと
「評価」と「常識」を手放す
1 人の心の構造を知る
組織の「関係性」が人の心を蝕んでいる?
「硬直した心」が生み出す二つの害悪
変化を阻む「意識の構造」
社会の常識という名の「刷り込み」
見えない「評価」が生み出してしまう「恐怖」
「評価制度」こそが変わることを阻むもの
「自己正当化」は、評価に囚われた人の末路
あなたを縛る「不安」の正体を見極める
2 人はいかにして「囚われ」から脱するのか
私たちを縛るもの ① ── 学歴
私たちを縛るもの ② ── 比較という本能
有名中小企業の2代目社長の葛藤
「すごい自分」という評価で天国から地獄に落ちた起業家
友人と比較してばかりの若手社員が陥った「自己正当化」の罠
周囲の目を気にするあまり苦しみのループにはまった女性
SNSに囚われることで失ったもの
「嫌われたくない」心に縛られた経営者
3 自分なりの「軸」を持ち、越境しつづける
未来や過去を想像する力が持つ「負の影響力」
変化にストレスを感じるのは、自分の価値観が定まっていないから
東京のど真ん中から逗子へ移住した理由
考え方の軸を明確にすれば「自ずから変わる」
同質性の危険と、越境のススメ
第3章 理念経営からティール組織まで試してわかった「組織」のこと
「効率化」と「生産性向上」を手放す
1 組織の構造を知る
組織とは何か? ── 満たすべき3つの条件
株式会社の成り立ち
1000年企業に学ぶ、組織の存在理由
理念やミッションが大切な本当の理由
理念経営が通用しづらくなってきたのはなぜか?
2 組織のあり方に影響を与える要因とは
よい経営とは、「生産性向上」「効率化」「合理化」?
効率化でAIに勝てるか?
法定通貨の価値が下がっていることを自覚しているか
高まる「目に見えない価値」の重要性
「幸福かどうか」の基準が変わった ── ウェルビーイング経営へ
経営者はZ世代とどう向き合うべきか
3 組織のどこをどう変えるべきか
変えてはいけないこと ── 論語と算盤
ヒエラルキー組織から自律分散型の組織へ ── 何が変わったか
理念の捉え方の変化
フィロソフィと文化(コミュニケーション)
「管理会計」の本質は未来を創造すること
ティール組織を導入するときに最も気をつけるべきこと
「手段」と「目的」を取り違えない
自分はどんな経営をしたいのか? ── 3つのタイプ
重要なのは、頭のよし悪しではなく「Be」
人の成長は、「認識の広さ」で決まる
やりがい設計も4つのパラダイムで考える
組織変容は、トップの意識変容だけでは起こらない
経営者のあり方が、会社に跳ね返る
「俯瞰、内省、越境」の仕組みを取り込む
第4章 社員が自ら成長する「強い組織」をどうつくるか?
「管理」と「正解」を手放す
コロナ禍に急拡大した「社長が一度も見たことのない事業」
1 GCストーリーのすべては「組織計画」から始まる
事業ビジョンと組織ビジョン
GCの変遷 ① ── 創業期の体育会系ベンチャー
GCの変遷 ② ── 志に重点を置いた理念経営時代
GCの変遷 ③ ── 幸福を追求し、自律分散型組織へ
なぜ「組織計画」を設計すべきか
経営者が「あるべき姿」を描いてこそ
組織の現状を理解する ── メンバーとのビジョン合わせ
組織の羅針盤「やりがい」を設計する
GCストーリーの組織計画の見取り図
目的 ── 「幸福の最大化」「理想の社会を顕現する」
幸福の定義 ① ── 「幸福は環境変化よりも意識変容」
幸福の定義 ② ── 「認識の範囲を拡大すること」
一番幸福な時間は何ですか?
大切な考え方 ── 「正解はない」(囚われからの解放)
2 GCストーリーの組織はこうしてつくられた
一人ひとりの内発性、自律を促す組織への移行
1 目指す方向を決める
2 自分に問いかける
3 メンバーにミッション、ビジョンを伝える
4 社員を「人間性」と「能力」の掛け合わせで見る
5 人間的成長を軸にやりがいを設計する
6 「論語と算盤」の基本設計
7 採用、教育、評価の仕組みを整える
「組織計画」策定のためのマトリクス
移行のプロセス ── 摩擦をどう乗り越えるか
「最短距離」思考を見直す
「選択と集中」から、「分散と修繕」戦略への転換
父性と母性の最小公倍数
自律分散型組織特有のリスクは、対話で乗り越える
3 メンバーの成長のため、「学習」をどう支援すべきか
会社の使命は、一人ひとりの「人間的成長」を支援すること
「認識の範囲」をいかに広げられるか
認識の範囲 ① 自分、家族まで ── 自分(家族)の損得だけで判断する
認識の範囲 ② 認知できる周りの人まで ── 周囲に認められるかで判断する
認識の範囲 ③ 直接は認知できない人まで ── 自分の役割を果たせているかで判断する
認識の範囲 ④ 人類社会全体 ── 課題も含めて自分に統合し、今できる最善で生きる
認識を拡大すると、当事者意識、主体性、内発的動機が発露する
「心」は多重構造である
1 自己肯定感プログラムで成長の土台を
2 知識研修で「ゼロベース思考」を
自身の思考を「俯瞰する力」を身につける
認識拡大が起きれば自動的に能力開発の仕組みができる
認識の範囲が引き起こす「成長の行き詰まり」
認識の範囲拡大を妨げるエネルギーとベクトルの入れ子構造
人は違うパラダイムにいる人のことを理解できない
人は外から変化させられない
本人に必要な研修をリコメンドする
メンバーにも必要な「俯瞰、内省、越境」
パーソナルミッションの発掘研修
私たちが女川町で研修を続ける理由
おわりに ── MUSTの呪縛を解き、WILL溢れる世界へ
著者
西坂勇人(にしさか・はやと)
GCストーリー株式会社 代表取締役社長
1971年大分県生まれ。宮城教育大学卒業後、看板会社専門の材料商社に入社。在籍中、当時まだ主流ではなかったインターネットに可能性を感じて社内で事業を立ち上げる。2000年、その事業で独立し、「看板ナビ」を立ち上げ。日本全国の看板業者をネットワークし、会員組織化し、1万社あると言われる看板業界のうち、4800社(2022年2月現在)が登録するサービスへと成長。2005年、サイベイト株式会社を設立し、代表取締役社長に就任(その後、GCストーリー株式会社に社名変更)。
一方で、進化するテクノロジーと変わる環境のなかで「経営とはどうあるべきか」を常に考えつづけており、20年で1万人を超える経営者と対話を繰り返している。稲盛和夫氏が立ち上げた盛和塾で理念経営を学び、自律分散型組織であるティール組織を取り入れるなどした結果、「高エンゲージメント/低ストレス」な組織を実現。その成果は外部からも高く評価されており、2014年に「稲盛経営者賞」の非製造業第二グループ第1位に選出されたほか、2019年に「ホワイト企業大賞」大賞、2015〜2019年に「働きがいのある会社ランキング」5年連続ベストカンパニーを獲得している。
また、起業家の支援にも力を入れており、東日本大震災がきっかけで設立されたEO North Japanの理事も務めている。