元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術 [改訂第4版]
元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術 [改訂第4版]
書籍情報
- 吉田利宏 著
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2022年04月
- 判型/造本:A5並
- 頁数:352
- ISBN:9784478112519
内容紹介
法律の勉強法、理解のしかたをテーマにした法律入門書のベストセラーが、最新の法改正に対応してリニューアル。学生、資格試験受験者、公務員、ビジネスマンに幅広く対応。他の入門書では理解できなかった「法律のそもそも」がスラスラわかるので、法律の勉強が10倍効率アップ!
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目次
PART1 知識編
第1章 うこそ! 法律の世界へ
1 リーガルマインドを養おう
どうして法律を学ぶの?
法律を学ぶ意義はリーガルマインドを養うこと
「法律が実現しようとする価値」を知ろう
2 リーガルマインドの効用
弁護士のリーガルマインドの使い方
リーガルマインドの効用とは?
3 法律は考えるゲームです
法律は暗記科目であるという考えを捨てよう
法律の読み解きは一種の楽しいゲームです
4 さぁ、学習を始めよう
この本は3つのパーツ(編)でできています
①「知識編」で最小限のルールを知る
②「図解・読解編」でスキルを身につける
③「法律編」でセンスを磨く
「練習問題」で法律的思考を鍛える
第2章 法律の基本ルールを知ろう
1 法律のパーツを解剖しよう
民法を見てみよう
法律の、それぞれのパーツの名前を覚えよう
2 法律の構造にはルールがある
法律の構造は京都の町に似ています
法律は本則と附則でできている
本則はさらに4つのパートに分けられる
3 法律は改正法によって改正される
法律の改正は洋服の修繕に似ています
「お父さんのお小遣いに関する法律」を改正してみよう
改正法の構造を知っておこう
4 改正法附則から改正の歴史がわかる
改正法附則には施行期日と経過措置が書かれている
改正法附則はいわば法律の「年輪」です
行政不服審査法改正に見る経過措置の役割
第3章 法律学習の基礎知識
1 法律で使う漢字の基準を知っておこう
法律で使える漢字は決められている
ひらがなを漢字に直すだけでも立派な法律改正!
2 この法律用語の読み方を覚えよう
読み方がわからなければ辞書さえひけない
①憲法編
②民法編
③刑法編
④行政法編
3 この判例名を読めるようにしよう
悪魔の「サルバライ事件」!?
憲法で学習する読みにくい判例(判例事件名)を見てみよう
4 法律用語の公式① 基準点を示す用語
基準点を示す用語とは?
「以上」と「超える」、「以下」と「未満」
「以前」と「前」、「以後」と「後」
「〜から〜まで」
5 法律用語の公式② 条文の構造を見抜く用語
「又は」と「若しくは」
「及び」と「並びに」
6 法律用語の公式③ 繰り返しを避ける用語
法律は繰り返しを避けるもの
「適用」と「準用」
「みなす」と「推定する」
7 知らない法律用語を読む技術
用語の意味をすぐに調べてはいけない
読み下しを練習してみよう
8 よく効く法律用語集① 日常用語でも使われる用語
日常用語と同じでも意味が違う!
「善意」と「悪意」
「対抗する」
第三者
時効
法律行為
慰謝料
離縁
9 よく効く法律用語集② 日常では使わない用語
日常では使わない法律用語
瑕疵
要件
欠缺
意思表示
10 よく効く法律用語集③ セットで覚える用語
いっしょに覚えると理解しやすい用語がある
「違法」と「不当」
「無効」と「取消し」
「作為」と「不作為」
「自然人」と「法人」
「条件」と「期限」
「停止条件」と「解除条件」
「却下」と「棄却」
第4章 法律のヒエラルキーを知っておこう
1 法律、政令、省令ってどんなもの?
すべては憲法の上にある
法律は「国会」を通じて成立したもの
政令、省令は法律とは違う
政令は内閣が定めます
省令(内閣府令)は政令より細かいことを定めるもの
2 地方公共団体の法令ってどんなもの?
地方公共団体の法令
条例と首長が定めた規則との関係
法律と条例・規則との関係
3 法律を分類してみよう
法律にはいくつかのカテゴリーがある
実体法と手続法
公法と私法
一般法と特別法
4 一般法と特別法の理解が法律理解のカギ
一般法と特別法を見分ける「目印」とは?
①一般法の「目印」
②特別法の「目印」
ある法律の一部が特別法になる場合もある
①初日不算入規定の特別法
②消滅時効の特別法
第5章 裁判の仕組みや判例のことを知ろう
1 判例ってどんなもの?
判例とは過去の裁判例のこと
判例は結果だけを見るものではない
どんな判例をどう学べばよいのか
2 判例(判決文)の読み方を知ろう
判決文の構造はどうなっているの?
注目すべきは「主文」を導く「理由」です
原告と被告、上告人と被上告人とは?
「最大判」と「最判」って?
「法廷意見」と「少数意見」
少数意見を読まないなんてもったいない!
3 裁判が扱う「法律上の争訟」とは?
裁判が扱うのは「法律上の争訟」だけ
4 裁判の仕組みはどうなっているの?
仏の顔と裁判は3度まで(三審制)
不服申立てと訴訟との関係
PART2 図解・読解編
第6章 法律の全体像をつかむコツ&図解術
1 目次から規定の流れを図解しよう
六法をひくときは目次を使うのが便利
目次から法律の全体像をイメージしよう
STEP1 法律の目次が載った六法を用意する
STEP2 目次を見つける
STEP3 目次の流れを考える
STEP4 法律全体の流れを図解してみる
STEP5 探している条文の位置がわかる
2 1条を図解するとその法律の全体像がわかる
1条はその法律の要約文になっている
行政不服審査法1条を図解してみよう
3 一部改正法の概要は提案理由からわかる
一部改正法には目的規定がない
一部改正法は提案理由を見てみよう
提案理由は衆・参議院のホームページから入手しよう
4 長い条文は( )を飛ばして読もう
まずは( )を飛ばしてシンプルに読む
「以下〜という」には要注意!
5 ( )が重なっている条文を簡単に読むには?
( )の深さを計りながら読む
STEP1 ( )に番号をつけよう
STEP1 1重目の( )を飛ばして読もう
STEP1 2重目の( )だけを飛ばして読もう
6 「原則と例外」の書き方を見抜こう
条文に「ただし書」が多い理由
例外を示すシグナルを探す
7 ややこしい手続規定は図解でスッキリ覚えよう
図解で手続や要件の規定がラクに暗記できる
法律が成立するまでの手続を図解してみよう
8 複雑な階層構造を図解で整理しよう
階層構造も図にすればわかりやすい
民法の親子関係を図解してみよう
9 入り組んだ事実関係をスッキリ図解しよう
事実関係も図解ができます
自分の好きな記号で図解すればOK
時間差のある事実関係をスッキリ図解しよう
10 論旨展開チャート図で論文試験を攻略しよう
論旨展開は論文試験の重要POINT
論旨展開の練習をしよう
STEP1 論文試験の解答の骨格をつかむ
STEP2 論旨展開チャート図を考える
答案例を書いてみると……
第7章 法律への理解を深める図解術
1 「比べる図解」で理解を深めよう
比べる図解の狙いは?
似た内容の微妙な違いを明らかにする
比べる図解で「要件」を理解する
2 似た仕組みを「違い」から理解する
似た法律用語を並べてみよう
「違っているところ」に注目しよう
「違い」が生じた理由を理解しよう
「普通養子」と「特別養子」を比べてみよう
2つの養子制度は目的が違っている
3 要件を図解発想で学習する① 「かつ」要件と「又は」要件
「要件」は法律学習の大きなポイント
「かつ」と「又は」に注意しよう
「又は」、「かつ」とはっきり書かれていない場合がある
「かつ」と書かれていない「かつ」要件
4 要件を図解発想で学習する② 要件を補う判例の読み方
条文に書かれた要件を覚えるだけでは不十分
判例と要件との関係をつかもう
法定地上権を例にとって要件を考えてみる
法定地上権の成立要件は?
法定地上権の成立要件を補充する判例
5 原則と例外を図解発想で学習する
原則を書いて例外を書くのが条文のパターンです
「ただし」を見つければ例外がある
各号でも例外を掲げる場合がある
6 テキストを自分流にアレンジする
ひと手間加えて「おいしく」しよう
自分が手を入れたものは忘れない
PART3 法律編
第8章 憲法の読み方・学び方
1 憲法は国の基本法
「国の基本法」ってどんな意味?
法律と憲法は大きく違います
国の基本法として憲法改正を考えよう
憲法改正の手続
2 自由の基礎法としての憲法
立憲主義的憲法という意味
「法治主義」と「法の支配」
憲法の構造を知っておこう
憲法は自由の基礎法です
3 国民の義務は規定されていないの?
おじさんたちの勘違い
国民の三大義務
4 憲法学習の基本スタンスを学ぼう①
憲法の条文はあまり多くを語りません
高倉健と憲法
学説を通じて学ぶ意味は?
5 憲法学習の基本スタンスを学ぼう②
判例は憲法の考えを伝えてくれる
憲法に関する判例は貴重
条文、判例、学説の3つで学習する
6 憲法が定める人権① 自由権と社会権
権利の種類を考える意味とは?
人権の種類
自由権は最初に意識された権利
社会権はどうやって誕生したの?
自由権と社会権との関係は?
7 憲法が定める人権② 幸福追求権
憲法13条は「新しい人権」のよりどころ
新しい人権の条件とは?
新しい人権にはどんなものがあるのか?
8 人権を制限する「公共の福祉」について知ろう①
人権も公共の福祉により制限されることがある
「公共の福祉」とは何だろう?
①「社会のため」が正体とする説
②「内なる制約」と「社会のため」が正体とする説
③「内なる制約」こそ正体とする説
9 人権を制限する「公共の福祉」について知ろう②
合憲性判定のための基準
比較衡量論とは?
二重の基準の理論とは?
基準の役割
10 精神的自由、とりわけ表現の自由に対する制限を考えよう
表現の自由はとりわけ大事な自由です
現代における「表現の自由」
検閲は絶対に許してはならない
検閲に当たるかどうかの基準は?
11 プログラム規定、制度的保障って何?
講義を聴いて、もんもんとする
プログラム規定
制度的保障
制度的保障の必要性
第9章 民法の読み方・学び方
1 民法ってどんな法律なの?
民法は市民どうしのルールを定めた法律
民法には3つの基本原則がある
3つの基本原則の意味は?
基本原則といえども絶対ではない
2 民法は2つのパーツからできている
民法には5編あります
2つのパーツに分かれるという意味
3 民法の各編をざっくり見よう① 総則編・物権編
総則編で定めていること
物権編で定めていること
4 民法の各編をざっくり見よう② 債権編・親族編・相続編
債権編で定めていること
債権総論と債権各論
親族編・相続編で定めていること
5 民法改正のはなし① 改正のねらいを考える
民法改正のねらい
6 民法改正のはなし② 主な改正事項
消滅時効
法定利率
債務不履行
7 民法の規定を考える① 任意規定と強行規定
民法には任意規定と強行規定がある
なぜ民法は必要なのか?
民法は誰もが納得するルールでなければならない
8 民法の規定を考える② 物権(物権総則・登記)
不動産登記から民法の考え方を探る
民法は勤勉でちゃんと登記する人を保護します
不法占拠者には登記がなくても権利を主張できる
9 民法の規定を考える③ 物権(登記の役割)
登記の役割の全体像は民法に書かれていない
登記には公信力がない
民法は登記を信じた者をなるべく助けたいと考えている
登記の役割のまとめ
10 民法の規定を考える④ 物権(質権・抵当権)
質権と抵当権から民法の考え方を探る
質権と抵当権を比較してみよう
質権には不動産質の特例がある
11 民法の規定を考える⑤ 債権(契約-買戻しの契約)
買戻しの特約から民法の考え方を探る
買戻しの特約を民法が定めている意味は?
買戻しに当たって利息を払わなくてもいい理由は?
12 民法の規定を考える⑥ 債権(典型契約)
どうして13の典型契約が必要なのか?
典型契約はどう役立つのか?
典型契約を学ぶ意義は?
無名契約もあります
第10章 刑法の読み方・学び方
1 刑法の二重構造
刑法は1編と2編の両方を読む
罪となる行為の規定があるのは刑法だけではない
哲学的な刑法総論
2 犯罪とは何か?
刑法が果たす役割とは?
どんな要件が揃えば犯罪が成立するのか
「犯罪とは何か」を考えることの意味
犯罪の成立要件
3 どんなとき犯罪は成立するのか① 構成要件該当性
刑法総論と刑法各論の違いを知る
構成要件該当性の判断要素──実行行為
構成要件該当性の判断要素──結果の発生
構成要件該当性の判断要素──因果関係
4 どんなとき犯罪は成立するのか② 違法性
正当防衛
その他の違法性阻却事由
結果無価値と行為無価値
5 どんなとき犯罪は成立するのか③ 責任
責任能力
故意
期待可能性
6 どうしてその行為が犯罪となるのか 保護法益
保護法益と罪
窃盗罪の保護法益
保護法益からの検討
第11章 行政法の読み方・学び方
1 行政法という法律はありません
行政に関する法律すべてが行政法
行政法を分類しよう
行政法学(行政法に関する一般理論)とは?
2 行政法の学習方法は?
行政救済法の学習が中心となる
行政法の効果的な学習方法
行政法の学習のコツ①
行政法の学習のコツ②
3 行政不服審査法を知る① 不服申立ての種類としくみ
審査請求のしくみ
再調査の請求と再審査請求
4 行政不服審査法を知る② 審査請求と取消訴訟との関係など
「早い・安い」が魅力
「うまさ」アップをねらった改正
審査請求と取消訴訟との関係
5 行政事件訴訟法を知る① 行政事件訴訟法の目的と3つの訴訟要件
行政事件訴訟法の目的を知る
立ちはだかる大きな3つの関門(訴訟要件)
処分性
原告適格
訴えの利益
6 行政事件訴訟法を知る② 「普通じゃない」訴訟の話
客観訴訟
民衆訴訟
機関訴訟
7 行政事件訴訟法を知る③ 事情判決
事情判決はおとなの判断です
事情判決の具体例、「1票の格差を争う訴訟」
事情判決の意味するところは?
8 行政手続法を知る① 対象となる手続を知る
対象となる手続は4つある
処分
行政指導
届出
命令等を定める手続
9 行政手続法を知る② 「聴聞」と「弁明の機会の付与」
不利益処分に神経を使う理由とは?
意見陳述の意味は?
「聴聞」と「弁明の機会の付与」
聴聞を必要とする処分
10 行政手続法を知る③ 行政指導の中止等の求め・処分等の求め
「行政指導の中止等の求め」の意味
処分等の求め
「法律」と「法令」
Column これからできる法律を読む! 未来の法情報の集め方
索引
主な参考文献
著者
吉田 利宏(よしだ・としひろ)
1963年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局に入局。15年にわたり法律案や修正案の作成に携わる。退職後は、大学、大学院講師などを務める傍ら、法律に関する書籍を多数執筆する。議会や審議会など多くの公的機関の仕事にも参画し、研修講師や講演などでも活躍中。「司法試験出身でもなく、学者でもない、法律を作っていた人だから書ける初学者目線の解説」が得意。著書に『元法制局キャリアが教える民法を読む技術・学ぶ技術』『元法制局キャリアが教える法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方』(いずれもダイヤモンド社刊)などがある。
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