14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」
14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」
書籍情報
- 川口加奈 著
- 定価:1760円(本体1600円+税10%)
- 発行年月:2020年09月
- 判型/造本:46並
- 頁数:304
- ISBN:9784478111215
内容紹介
「1回失敗したら終わり。……それっておかしくない?」中学2年生の冬、初めての「炊きだし」。すべては、そこから始まった——。14歳から15年、ホームレス問題に向き合い、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019、日本を変える30歳未満の30人など次々と受賞している注目の起業家が見つけた、「働くこと」の意味。
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目次
はじめに
14歳の私がしてしまった残酷な質問
2つの社会課題を同時に解くビジネスモデルはどう生まれたか
10代、女性、外国人 ── 誰もが陥る問題として
「安心して失敗できる社会」をつくる
第1部 自分の「働く意味」を見つける
第1章 ホームレス問題との出合い ── 14歳の気づき
14歳でホームレス問題に出合った
日雇い労働の街「釜ヶ崎」が、なぜホームレスの街に?
炊き出しに参加するため、初めて“現場”へ
「ボランティア=いいこと」、じゃない!?
「がんばっていたらホームレスにならなかったんじゃないんですか?」
おっちゃんからもらった初めての「ありがとう」
1枚のコートで気づいた問題の本質
COLUMN 01 釜ヶ崎ってどこにある?/おっちゃんにとっての300円/先入観のほどき方/「ホームレス」という呼び方について
第2章 課題の根っこをつかむ ── 高校生で描いた「夢」
知って終わりにしたくない
「自己責任」で片づける世の中の怖さ
全校集会で志願の5分間スピーチ。結果は……
「誰かがきっとやってくれる」 ── その「誰か」って誰?
「夜回り」で聞いた衝撃の数字
「ホームレスの人は、怠けたくて怠けているのか」
そこにいたのは「ふつうのおっちゃん」
救急車を拒む悲しい理由
新聞をつくって全校生徒に配ってみた
第2の川口つくろう計画
2泊3日のフィールドワークでつかんだ手応え
支援金目当てで「親善大使」に応募
伝えつづけて3000名の頂点に
「どんな変化があったの?」 ── 海外で思い知らされた現実
「働きたくても働けない」問題の根っこには何がある?
だから、私は夢を描いた
COLUMN 02 思考停止を招く「自己責任」という言葉/知る機会は、能動的につくる/夜回りに参加しつづけられた理由/ボランティアについて
第3章 ニーズの代弁者になれるか ── 大学生で立ち上げた「ホームドア」
ホームレス問題に“熱心”な大学へ
「このままでいいの?」 ── 環状線をぐるぐるしながら考えた
3人で団体を立ち上げた
ホームドア誕生 ── 失敗した人を受け止める社会をつくる
起業塾に史上最年少で入塾
「先輩から学べ」「ニーズの代弁者たれ」 ── 基礎となった2つの教え
モーニング喫茶で心を開いてもらい、ニーズを吸い上げる
「言い出しっぺ」の離脱 ── チームに漂い出した暗雲
COLUMN 03 ビッグイシューについて/「NPO法人を支援するNPO法人」エティック
第4章 2つの課題を同時に解決するアイデア ── シェアサイクル「ハブチャリ」誕生
取り残された覚悟のない2人
「負のトライアングル」の発見 ── 絡まり合う3つの問題
6つのチャレンジで「壁」にステップを刻む
「働くということ」自体がハードルに
「得意」を活かしてビジネスをつくる
放置自転車という別のイシューに行き当たる
「仮想理事会」でボコボコにされながら
ホームレスと放置自転車 ── 2つの課題がつながった瞬間
シェアサイクルが決め手になった理由①競合がいない
シェアサイクルが決め手になった理由②共感を得る
シェアサイクルが決め手になった理由③当事者が課題解決の担い手に
おっちゃんたちに「誇り」を取り戻す
大阪市役所でたらい回しに
「頭がちぎれるほど考えろ」 ── 新アイデア「ノキサキ貢献」誕生
300社回ってわかった「お断り」の理由
苦しいときほど根本をぶれさせない
「ハブチャリ」スタート。まずは実証実験から
チーム内の不協和音と、利用者からの意外な好評価
COLUMN 04 「ソーシャルビジネス」という言葉/支援される側からする側へ/できない理由の乗り越え方
第2部 みんなの「働く意味」を見つける
第5章 初めての雇用、初めての仲間 ── 支えるつもりが支えられて
ひとりでもやっていく覚悟をもたらしたカンチガイ
“NPO法人Homedoor”誕生!
銀行の支店長、「シェアオフィスをさらにシェアしたオフィス」に来たる
初めておっちゃんを雇った
ビジコンキラーとして覚醒、賞金と人脈を総なめに
10年計画をともに考え抜いた仲間への“初告白”
お客さんは0人 ── 焦る私を助けてくれたおっちゃんの“創造力”
失敗は成功の途中経過
ハブチャリ、ついに本格オープン
「女子大生×ホームレス問題×自転車問題」でメディアに受ける
「まずは、前例をつくりましょうか」 ── 大阪ガスの心意気
辛いときにいつも支えてくれた大阪人の「やってみなはれ」
COLUMN 05 まずは実験をやってみる/啓発活動と直接支援は両輪で
第6章 おっちゃんとの日々 ── 当事者に生まれた変化
ついに行政との連携へ ── 大阪市住吉区で実証実験
オペレーションをミスる ── うっかり始まった新しい“地獄”
「履歴書の空白」から立ち直る ── おっちゃんたちの変化
初めてのお給料日 ── おっちゃんは何にお金を使ったか
中間的就労 ── 次の仕事へのステップとしてのハブチャリ
「忘年会って、働いているやつの特権やからな」
ハラハラとケーキでおなかいっぱいの誕生日
1本の電話から改めて思い知った「当たり前」の重み
危うく役所に直談判 ── おっちゃんたちの驚異の行動力
COLUMN 06 ポジティブ変換の力
第7章 すべての人に「居場所」を ── 6つのチャレンジで選択肢を増やす
住吉区での“終わり”と北区での“始まり”
おっちゃんたちに見送られ、新天地へ
新事業「ホムパト」を始めて得たもの
多様な選択肢を提供しよう ── 元料理人のおっちゃんが教えてくれたこと
自転車対策事業を開始 ── 社会構造から生まれる問題に新しい解決策を
ネットカフェに広告を出した理由 ── 課題の変化に即応できるか
ピカピカの包丁と2回目の忘年会
大学卒業、そしてまた引っ越し
失敗しても居場所がある ── アンドハウス
おっちゃんたちに芽生える“わしの家”感覚
通勤中に鳴り響いた携帯電話
身元引受で新たに生まれた強い想い
COLUMN 07 ホームドアを支える「恩返しの連鎖」/当事者に変化を促す方法/NPOのお給料事情
第8章 夢の施設「アンドセンター」 ── 安心して失敗できる社会をつくる
いよいよ「住まい」の提供へ
初めてのクラウドファンディング ── 実証実験①長期宿泊施設
冬の路上生活の厳しさは想像以上 ── 実証実験②短期宿泊のシェルター
“つなぎ”の住まいが、再挑戦の基盤となる
真のセーフティネットへ ── 1棟のビルとともに決めた覚悟
10年前に思い描いた「夢の施設」を
アンドセンター始動 ── ここから新しい関係性をつくる
短期宿泊スタート ── 相談に来たその日に泊まれることのインパクト
長期宿泊スタート ── 安心して「次」への準備をする場として
失敗しても安心して立ち直れる社会をつくるために
COLUMN 08 選べない社会
おわりに 「夢」のその先へ
著者
川口加奈(かわぐち・かな)
認定NPO法人Homedoor(ホームドア)理事長
1991年、大阪府生まれ。14歳でホームレス問題に出合い、ホームレス襲撃事件の解決を目指し、炊き出しやワークショップなどの活動を開始。17歳で米国ボランティア親善大使に選ばれ、ワシントンD.C.での国際会議に参加する。高校卒業後は、ホームレス問題の研究が進む大阪市立大学経済学部に進学。19歳のとき、路上から脱出したいと思ったら誰もが脱出できる「選択肢」がある社会を目指してHomedoorを設立し、ホームレスの人の7割が得意とする自転車修理技術を活かしたシェアサイクルHUBchari(ハブチャリ)事業を開始。また2018年からは18部屋の個室型宿泊施設「アンドセンター」の運営を開始する。これまでに生活困窮者ら計2000名以上に就労支援や生活支援を提供している。世界経済フォーラム(通称・ダボス会議)のGlobal Shapersや日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」、フォーブス誌による日本を変える30歳未満の30人「30 UNDER 30 JAPAN」、青年版国民栄誉賞とされる日本青年会議所主催の「第31回 人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣奨励賞」など、受賞多数。
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