フィナンシャル・タイムズ式 図解の技術
世界最高峰の経済紙はどのようにデータを見せているのか
フィナンシャル・タイムズ式 図解の技術
世界最高峰の経済紙はどのようにデータを見せているのか
書籍情報
- アラン・スミス 著/濱浦奈緒子 訳/深町あおい 訳
- 定価:2970円(本体2700円+税10%)
- 発行年月:2023年03月
- 判型/造本:A5並
- 頁数:304
- ISBN:9784478117101
内容紹介
データが氾濫するこの現代、文字だけでは伝わらない複雑な背景知識をどう伝えればいいか? 世界最高峰の経済紙『フィナンシャル・タイムズ』で開発された図解のノウハウをあますところなく紹介。70を超える見本に当てはめるだけで、誰もが簡単に誤解なく伝わる図表を作成できる。ポスト真実時代の新しい図解の教科書。
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目次
まえがき
正しいグラフは1000の言葉より価値がある
ナイチンゲールの1枚の図解がイギリスの公衆衛生を変えた
第1章 学校では教えてくれなかった「データの見せ方」講義
フィナンシャル・タイムズが培ってきた図解のノウハウを公開する
アイルランドの識字率の図解からわかること
図解は「文脈」を伝えてくれる
第2章 なぜ図解が重要なのか
信頼性を犠牲にしないで読み手の関心を引くには
アメリカ人のうち63%しか散布図を読めない
ほとんどの人は、小学校までしか図解の読み方を学ばない
図解は「関係性」を見せるためにある
第Ⅰ部 フィナンシャル・タイムズ式 図解表現の9技法
第3章 図解の共通認識があると、思考の質が変化する
図解の使い方は、誰でも学べる
図解の共通認識ができると、議論の質が変わった
「図解の言語」は日本語でダウンロードできる
組織全体のプレゼンスキルを上げた1枚の図解
第4章 量を比較する
シンプルな比較に適した図解 ── 棒グラフ
合計と構成要素を同時に比較する ── 積み上げ棒グラフ
棒グラフが「退屈」になるふたつの理由
理由1:視覚化するまでもないときに量の比較をするから
理由2:差異が大きく個数が多いときは適さないから
対数を使えば極端な値に対応できる
芸術的な見せ方で退屈さを回避する
棒グラフを重ねて極端な値に対応する ── ヘビプロット
空間を使ってどんな値も比較できる ── 比例シンボルチャート
ドットを使って、個別の値を強調する ── グループシンボルチャート
アイコンのデザインで心理的インパクトを与える ── アイソタイプ(ピクトグラム)
昔からあるのに、不適切に使われ続けるグラフとは
ふたつの情報を同時に比較する ── ドットプロット
イラストの力を借りて棒グラフを魅力的に見せるには
第5章 時系列変化を表す
現代の図解よりも優れている18世紀の折れ線グラフ
折れ線グラフを使いこなす7つのテクニック
テクニック1 全体の文脈を残しつつ重要な部分を拡大する
テクニック2 ゼロの線の上下を塗りつぶして正負を目立たせる
GDPの拡大・縮小がひと目でわかる ── 損益面グラフ
単一の時系列データでマイナス部を強調したいときに最適な図解 ── 二極分散棒グラフ
テクニック3 異なる時期の事象を比較したいときはタイムラインを分ける
テクニック4 予測範囲に色を塗る
色の濃淡で不確実性を見せる ── ファンチャート
過去の予測もまとめて見せるには ── ハリネズミチャート
テクニック5 縦型にしてスマホに対応する
テクニック6 アニメで時の流れを見せる
テクニック7 データが多いときは、情報を絞る
時間の表示を絞ることで複数データが見やすくなる ── スロープ・チャート
折れ線のかわりに色の濃淡で時系列を見せる ── カレンダー・ヒートマップ
金融市場データの時系列を見せるのに最適な図解 ── ろうそくチャート
個々の事象に焦点を当てたいときは ── サークルタイムライン
「相関関係」と「時系列」を同時に見せる ── かたつむりチャート
「日付」と「長さ」に注目したいときは ── プリーストリー・タイムライン図表(年表)
Y軸を消し、全体と構成要素を見せる ── ストリームグラフ
量を見せつつ、構成要素の変遷も見せるには ── 積み上げ面グラフ
第6章 相関関係を表す
2変数の関係性を図解で見せるには
相関関係を見せたいならまずはこれ ── 散布図
モザイク化して散布図を見やすくする ── XYヒートマップ
複数のグループを統合すると傾向が逆になるときがある
散布図に「量」と「分布」の関係性を追加した図解 ── バブルチャート
かたつむりチャートで相関関係の足跡をたどる
XYヒートマップのもうひとつの活用法
複雑な図解は、ふたつの変数をひとつにまとめて見やすくする
2軸の図解を使うときのふたつの注意点
第7章 分布を見る
アメリカ大統領選に影響を及ぼした1枚の図解
データの分布を見せたいときは ── ヒストグラム
人口分布を見せるのに最適 ── 人口ピラミッド
個々のデータを強調しつつ分布を見せる ── ドット・ストリップ・プロット
シンプルに要約統計量のみで分布を見せる ── ドット・プロット
値が密集しているときは ── バーコード・プロット
分布をシンプルに表し、グループ間の比較が容易に ── 箱ひげ図
全データを使いつつ、分布間の比較ができる ── ビースウォーム・プロット
所得の不平等を見せるためだけに考案された図解 ── ローレンツ曲線
第8章 流れを表す
複雑な「流れ」は、シンプルな図解では表現しづらい
複雑な流れのパターンがひと目でわかる ── 弦グラフ(コード)
2回のフランス大統領選のあいだにあるストーリーを描くには
流れを表すもうひとつの図解 ── サンキーグラフ
個々のつながりを見せたいときは ── ネットワークグラフ
第9章 ランキングを表す
ランキングは順位と値両方が重要
ランキングの推移を表すときは ── バンプチャート
ランキングの他に分布も見せる ── ドット・ストリップ・プロット
棒グラフでランキングを見せたいときの注意点
量・時系列・ランキングを同時に見せる ── スロープ・チャート
シンプルだがランキングに最適 ── 表
第10章 へだたりを見せる
図解は「これひとつで成立」しなければならない
基準点からのへだたりを正負両方で示す ── 分岐横棒グラフ
変動する基準値とのへだたりを示す ── 損益面グラフ
意見の対立を示すのに最適 ── 対称棒グラフ
第11章 割合と構成要素を表す
割合と構成要素がいちばんわかりやすいグラフ ── 円グラフ
円グラフの中心に情報を入れたいときに ── ドーナツ型円グラフ
マイナス値の要素も含めて構成を見せる ── 滝グラフ
階層ごとに割合と構成要素を示すには ── 陽光チャート
すべてのセグメントに多くを書き込むには ── ツリーマップ
複数の「割合と構成要素」を比較するには ── グリッドプロット
値を書かずに構成要素を示せる ── 積み上げ横棒グラフ
「量」と「割合と構成要素」の両方を表す ── マリメッコ(比例積み上げ横棒グラフ)
第12章 地図を使った表現
地図の美しさで見る人の目を奪う
地図上で分布を示すには ── コロプレス地図
データの傾向やかたまりに注目して階級を最適化する ── 自然分類
地図で目立っている地域なのに情報量が少ないことがある
「量」のデータはコロプレス地図には向いていない
場所と規模を同時に伝えるには ── 比例シンボルチャート
カルトグラムを使えば小さい地図に選挙結果を表せる
地図を使ったせいで情報過多になることがある
第Ⅱ部 フィナンシャル・タイムズ式視覚化の科学
第13章 図表はどのように読み取られるか
読者は図解の形式にどれだけ左右されるか調べた3つの実験
実験1 円グラフからどれだけ情報を引き出せるか
実験2 比較しやすい図形は何か
実験3 棒の色は一定か?
視覚化の研究活動をチェックしよう
第14章 「軸」が知覚を歪ませる
トム・クルーズは、どれだけ身長が低いのか
比率の時系列変化ではゼロを起点にしないときもある
軸の設定は編集判断そのものである
対数スケールで新型コロナの拡大規模を伝える
対数スケールなら極端な値に引っ張られない
指数関数的な成長は対数スケールだと見やすい
第15章 自然と目を引く「図表タイトル」の書き方
読み手はまず「タイトル」に目をつける
FT式図解テキストの作り方
FT式 よいタイトルの5条件
サブタイトルで「メタ情報」をすべて伝える
長い説明文は脚注に入れる
凡例はできるだけ図表のなかに入れる
注釈でデータに意味合いを持たせる
第16章 デザイナーでない人のための図解デザイン入門
図解作成に必要なデザインの原則
色にはふたつの表現法がある
HSLモデルでRGBカラーを作る
人は色相に愛着を抱く
コーポレートカラーの指定を受けたときは
図解デザインのための6つのゲシュタルトの法則
法則1 類同の法則
法則2 近接の法則
法則3 連続の法則
法則4 共通運命の法則
法則5 閉合の法則
法則6 図と地の法則
「誰も排除しないデザイン」のための3つの方法
方法1 コントラストを最大限に上げる
方法2 はっきり見える、読みやすいテキストにする
方法3 オンラインの図解に代替テキスト(alt属性)を設定する
覚えておくべきふたつの画像形式
第17章 不確実性を図で表す
データの信用度は完璧ではない
第18章 「図解の言語」が職場の思考力を上げる
「図解の言語」を職場に導入するとどうなるか
ビジネス・アナリストの場合
「図解の言語」が社内にもたらした3つの好影響
教師の場合
図解作成ソフトについて
FT編集室における図解作成
おすすめの図解作成ツール7選
謝辞
注
索引
著者
アラン・スミス(Alan Smith)
『フィナンシャル・タイムズ(FT)』のビジュアルデータ・ジャーナリズム部門長。データ・ビジュアライゼーションの専門家であり、FT紙上でコラム「チャート・ドクター」を執筆。講演も多く実施し、データを用いたコミュニケーションのあり方を説く。TEDトーク「統計を好きになるべき理由(Why you should love statistics)」は200万回以上再生された。FTに入社する前は英国国家統計局にてデジタルコンテンツの責任者を務める。2011年大英帝国勲章受章。
訳者
濱浦奈緒子(はまうら・なおこ)
京都市生まれ。神戸大学国際文化学部卒業、英サセックス大学大学院開発学研究所修士課程修了(M.A.)。
NGOや開発コンサルタント企業で国際協力プロジェクト等に従事したのち、翻訳家に転身。現在、出版物やサスティナビリティ関連文書を中心に翻訳を手がける。本書が初めての訳書。
深町あおい(ふかまち・あおい)
横浜市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科、米ウェルズリー大学卒業。
全国紙の社会部、生活部記者として女性と子ども、芸能、食文化、犯罪被害者遺族などをテーマに取材したほか、教育事業にも携わる。早期退職して翻訳業に転身。本書が初めての訳書。
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