「がん」が生活習慣病になる日
遺伝子から線虫まで−早期発見時代はもう始まっている
「がん」が生活習慣病になる日
遺伝子から線虫まで−早期発見時代はもう始まっている
書籍情報
- 木原洋美 著
- 定価:1650円(本体1500円+税10%)
- 発行年月:2022年08月
- 判型/造本:46並
- 頁数:272
- ISBN:9784478115961
内容紹介
がんは、もはや不治の病ではなくなりつつある。診察・治療技術の向上により、早期発見で治癒できる病となり、早期発見のための診断技術も格段にレベルアップしている。しかも、手軽に安価でありながら信頼できる確率で発見できるのです。再発さえ早々に分かれば、生活習慣病と言える日が近い将来やってくるかもしれない。
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目次
はじめに
序章 正常性バイアスを乗り越えるにはナッジが有効
コロナが怖いので、がんは放置!?
“人間として当然の反応”にどう向き合うか
PCR検査の教訓
検診を受けたくなるように導く有効な手段とは
がん治療について最新知見を得ることも大切
第1章 臓器別 早期発見・治療のメリット
検診で発見できるがんは限られている
肺がんは恐れるより検診を
ほかのがん以上に早期発見が重要
早期肺がん治療の主流は内視鏡手術
早期の中心型肺がんに適した「光線力学療法(PDT)」
●革新的PDT= iTAP(アイタップ)
肺がん検診の費用対効果
●アメリカでがん検診が行われない理由
最善の治療法は“禁煙”
早期の胃がんは高確率で完治を期待できる
早期がんの概念は胃がんが元祖
1週間の入院で済むESD治療
急速に広がる内視鏡検査
内視鏡は高度な職人技
無症状のうちに検診を
何歳まで検診を受けるべきか
大腸がんは便潜血検査の抜け穴に注意
女性のがん死亡率第1位
悪性度が高いのは陥凹型
便潜血検査では見つからない陥凹型大腸がん
熟練の眼と技を要する、大腸内視鏡検査
早期発見なら検査と同時に治療可能
乳がんは早期発見で5年生存率100%
「乳がん=死」のイメージは間違い
転移と質の悪化が起きる前が肝心
触診は医療者でも熟練を要する
忌避されがちなマンモグラフィ検査
新習慣「ブレスト・アウェアネス」
PET検査やMRI検査のデメリット
早期乳がんの治療
乳房再建も含めた手術プランを検討する
子宮がんの課題は検診受診率の低さ
早期発見なら99%の確率で治せる
ステージ0なら1泊2日で治療可能
ホルモン療法で子宮温存もできる
検診の受診率は世界ワースト4位
子宮体がんと子宮頸がん、痛い検査はどちら?
子宮頸がんはワクチンと検診で撲滅できる
前立腺がんの治療は一生の付き合い
ステージⅢまでなら生存率100%
「PSA検査」と「マルチパラメトリックMRI検査」
見つけ過ぎるPSA過剰診断問題
治療を「選べる」のがメリット
手術も放射線も「身体に負担をかけない」
部分治療「フォーカルセラピー」への期待
前立腺がん治療の未来と病気の付き合い方
飛躍的に生存率がアップ! すい臓がん
術後5年生存率を4倍に高めた外科医
すい臓がんに早期発見はないのか
20年で倍以上に増加したすい臓がん
すい臓がんの手術は消化器系で最も難しい
新たなアプローチによる検査
すい臓がんより5大がんの早期発見を
ステージ0で見つかるのは、どんなとき?
第2章 受けてみたい! 最新治療
1 光と医薬品の化学反応で治療する「光線力学療法(PDT)」
切除手術できないがんも治療
唯一のデメリットは光線過敏反応
重症の肺気腫患者の最後の砦
弱点克服で抹消型肺がんも治療可能に
2 抗体医薬とPDTの連携で狙い撃ち「iTAP法」
がん細胞の殺傷効果は従来の数百倍
毒を以ってがんを制す─がん細胞殺傷の原理
ニードルを使って大きながんも治療
3 ミリ単位の正確さで放射線を照射「エレクタユニティ」
放射線治療が到達した革命的な治療装置
欧米に比べて放射線治療が伸びない日本
温州みかんの薄皮レベルの高精度で治療
早期がんは放射線で「切らずに治す」が常識に
4 陽子線、重粒子線でがんを効果的に叩く「粒子線治療」
従来の放射線との決定的な違い
粒子線治療を受けられるがんの種類
先進医療から保険診療へ
column 世界から患者が来院する「リゾート型陽子線治療施設 メディポリス」
第3章 早期発見の今
がん検診を他人事と思っていませんか
まずは受ける検査を年代で使い分ける
見つけ過ぎる「過剰診断」のデメリット
行政が重視するのは死亡率の低下
人間ドックのメニューの選び方
●静岡県立静岡がんセンターにおける
「対策型がん検診」と「任意型がん検診」の違いは?
第4章 早期発見の近未来
未来を変える新しくて魅力的な検査
がんの早期発見から術後まで血液でモニタリング
5万円で全ゲノムを解析する
ネックは偽陽性
「時間がないから」を解決する
費用は1回当たり2万〜3万円に
がん検査は百花繚乱・玉石混交
○○1滴がん検査の3分類
リキッドバイオプシー①「miRNA(マイクロRNA)」を指標とする検査
リキッドバイオプシー②「ctDNA(血中循環腫瘍DNA)」を指標とする検査
リキッドバイオプシー③「アミノ酸」を指標とする検査
リキッドバイオプシー④「微量元素」を指標とする検査
リキッドバイオプシー⑤「唾液」を指標とする検査
リキッドバイオプシー⑥「線虫」でがんを見つける検査
プレ・スクリーニングを導入すべき三つの理由
総合評価ではN-NOSEを推奨
第5章 線虫でがんを見つける生物診断
生物診断という新たなカテゴリー
2年間で15万人が受診
●線虫の特徴とN-NOSEのメリット
すい臓がんのみに反応する線虫を開発
長い年月をかけた共同研究の果実
多様で複雑な病気を見つけるには
進行がんよりも早期がんを検出しやすい
最終章 がんが「生活習慣病」になる日まで
異質を排除しないことの重要性
二重盲検試験は当たり前
取材協力者一覧
著者
木原洋美(きはら・ひろみ)
医療ジャーナリスト/コピーライター
コピーライターとして、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わった後、医療に軸足を移す。ダイヤモンド社、講談社、プレジデント社等の雑誌やWEBサイトに記事を執筆。近年は医療系のホームページ、動画の企画・制作も手掛けている。
慢性疼痛医療の啓発事業『&慢性痛』『(動画)あるペインの少女クララ』(横浜市立大学・ペインクリニック内科)、『いたきんネット』『(動画)”痛み沼“にハマった6人』(慢性疼痛診療システム普及・人材養成モデル事業-近畿地区)が好評。
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