目次

プロローグ　カリスマ創業者の「蓋棺事定」

巨大企業ロッテを創った男の大往生
喪主の座をめぐって家族と会社が対立
故郷での埋葬で一悶着
日本最大の製菓会社となる
韓国５大財閥に躍進
事業承継のために組織・資本を再編成
「平成のリア王」重光武雄の悲劇

I　資本再編

グループの頂点に立つのは日本の持株会社
目を見張る国税庁幹部OBの招聘
事業承継に立ちはだかった「３つの課題」
球団経営にも絡む「同族認定問題」
　column　同族認定という課題
「従業員持株会」が両刃の剣と化す
最終仕上げ「ロッテHD」の設立
韓国ロッテの循環出資とLSI
「宏之後継」が前提の資本構成
「セットアッパー（中継ぎ投手）」の招聘
85歳、すべての準備が整ったはずだった

II　対照的な２人の息子

年子の兄と弟
無断で転職した長男に激怒する父
兄の最初の試練は米国法人の立て直し
父との衝突を覚悟のうえでのシステム開発
入社以来、徒歩・バス通勤を貫いた御曹司
「ガーナ」と「雪見だいふく」のリブランディング
直感の創業者、合理的思考の２世
兄とは正反対の弟
瓦解するロッテリア再建
補填前倒しで“球団経営黒字化”
韓国でM&Aを軸に業績拡大
鬼門となった中国関連事業
「日本は宏之、韓国は昭夫」への不満

III　百鬼夜行の取締役会

後継社長の解任
単なる予算超過が背任行為に
親子喧嘩の一言が解任宣告に化ける
佃社長・昭夫ペアによる鮮やかな宏之解任
佃社長・小林専務を瞬殺した武雄の逆襲
武雄のクビ宣告を無視する佃と小林
昭夫が隠していた大赤字に激怒する武雄
武雄が昭夫に引導「お前に経営の才能はない」

IV　及ばなかった反撃

日本の経営会議に直接乗り込む
武雄抜きの取締役会開催へ
「成年後見」による束縛でダメ押し

V　犬猿の仲が呉越同舟へ

「天地人」で寝首を掻く
銀行出身社長の化けの皮
「敵の敵は味方」
降格阻止の佃と“外様”小林がタッグ

VI　承認欲求と失敗恐怖の呪縛

「韓国も兄貴に取られる」
承認欲求と失敗恐怖
ロッテは「韓国企業」か
不祥事とトラブルが頻発
「上場戦略」は無期限延期に
MBA手法でも業績は落第点
ロッテリアの再建失敗チームが再結集

VII　事業承継への教訓

なぜ事業承継に失敗するのか
ロッテの事業承継をマクロとミクロから見る
韓国10大財閥のうち６財閥で骨肉の「争続劇」
「獄中経営」を可能にする“専制”体制
“予言”されていたロッテの争い
ロッテの失敗から学ぶ事業承継の教訓
教訓１　後継指名を公の場で正式に行う
教訓２　後継候補が複数なら“継承順位”を明確にする
教訓３　後継のタイミングを見誤るな
教訓４　後継者に経営理念も継承せよ
教訓５　持株会社の多様な機能を活用せよ
教訓６　トップの専権事項にせず取締役会と議論せよ
教訓７　万全の備えを崩す“欠陥”を見逃すな

エピローグ　経営者としての願いと父としての愛情の相剋

著者

松崎隆司（まつざき・たかし）
経済ジャーナリスト。中央大学法学部を卒業。経済専門出版社、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業承継、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。『エコノミスト』『プレジデント』『サンケイビジネスアイ』などに寄稿。日本ペンクラブ会員。著書に『ロッテを創った男 重光武雄論』（ダイヤモンド社）、『教養として知っておきたい昭和の名経営者』（三笠書房）、『東芝崩壊』（宝島社）、『どん底から這い上がった起業家列伝』『堤清二と昭和の大物』（いずれも光文社）など多数。