読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし
読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし
書籍情報
- 荒木 健太郎 著
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2023年09月
- 判型/造本:46並
- 頁数:392
- ISBN:9784478108833
内容紹介
気象学は、物理、数学、化学、統計などを駆使しながら、雲や雨の発生を読み解き、予測する・・・複数の学問知を導入した知的な面白さに満ちた学問である。本書は人気雲研究者が「雲愛」に貫かれた視点から、空、雲、天気についてのはなしや、気象学という学問の面白さを紹介!
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目次
はじめに
第1章 体感する気象学
味噌汁で感じる雲のしくみ
味噌汁のドラマ◆焼肉店のスープの湯気◆味噌汁の「熱対流」
朝、樹々の茂る公園にて
朝の公園の湯気◆湯気が白く見える理由◆木漏れ日に包まれて◆池で見る大気重力波
遥かなる空の旅
飛行機の旅を楽しむ◆空の虹色のフルコース◆深く、吸い込まれるような空の青
お風呂の気象学
浴室で降る雨◆お湯で感じる空気の流れ◆ウズウズするカルマン渦列
「流れ」を感じる
水道で想う積乱雲の心◆満たされる渦への心
珈琲で味わうエルニーニョと積乱雲
ホット珈琲の渦◆遥か遠くの海を想う◆アイス珈琲とダウンバースト
アイスを食べる前に……
アイスキャンディーの白いもわもわの謎◆氷の結晶との出会い
蜃気楼を追いかけて
蜃気楼という名の虚像◆貴重な蜃気楼◆道路で出会える「逃げ水」
超入門・雲のしくみ
雲の正体◆雲と水の関係◆雲はどのように生まれるか◆ポテトチップスの袋と雲◆雲は簡単に作れる◆雲の名前◆雲の種類は四〇〇種以上◆
雲が育つ地球の空◆遥か高みに現れる雲◆絶対安定と絶対不安定◆「大気の状態が非常に不安定」とは?◆積乱雲を作る上昇気流◆六〇〇万トンの水◆
雄大積雲、かなとこ雲◆モラトリアムの終わり?
第2章 雲と遊ぶ、空を楽しむ
ラピュタと竜の巣
アニメの雲を楽しむ◆「竜の巣」の正体◆ドラえもんと台風◆アンパンマンと花粉
雲の心を読む
雲が伝える空の状態◆雲の粒の見分け方◆流れを教えてくれる雲たち◆雲の伯爵
個性的な雲たち
飛行機雲のパターン◆まるで「彗星」?◆燃えて生まれる◆滝と森と雲
空を美しく撮るために
美しい空にズームする◆スマホで撮れるタイムラプス◆スロー撮影と稲妻◆気象観測は……
人間性の回復
地球の朝焼け◆高解像度で空を楽しむ◆見上げた空を宇宙から確認
第3章 虹や彩雲や月を愛でる
虹で遊ぶ
可視光線のグラデーション◆虹は七色?◆虹はどこに現れるのか◆虹に会いに行く◆重なる虹を楽しむ◆赤い虹、白い虹◆虹を作る
彩雲は美しい
「吉兆」は身近にある◆彩雲の虹色の正体◆彩雲を観察するコツ◆花粉で生まれる虹色
雨のない虹色
ハロとアークに彩られる空◆彩雲とアークの見分け方
薄明の空は最高に最高
浮世絵に見る薄明の空◆空はなぜ青いのか◆マジックアワー、ビーナスベルト、ブルーモーメント
天使の梯子を愛でる
空から伸びる光の筋◆芸術としての薄明光線◆反薄明光線も見逃せない
太陽から空を読む
深紅の太陽を生む空◆緑に輝く太陽◆歪む太陽◆月食で感じる地球の大気
今宵も月が綺麗です
月の大きさと目の錯覚◆うっすら光る欠けた月◆満月のお供に月の地名を◆月光による夜空の彩り
第4章 たとえ、天気が崩れても
曇り空の個性、雨の日の気象学者
曇り空にも個性がある◆雨の日、気象学者はこう楽しむ◆雨のにおい、雪のにおい
雪は天からの手紙
江戸時代の雪の結晶図◆雪を愛した科学者◆「天から送られた手紙」を集める◆雪崩のしくみの解明に挑む◆雪を知り、備え、楽しむ◆
雪の日に美しい映像を
凍る準備はできている
過冷却の水を凍らせる快感◆霰と雹の違い◆「霰」と「雹」の漢字はよくできている◆穴あき雲に見るドラマ◆霜柱を踏みしめて◆
シンデレラタイム◆水に「感謝」を伝えても結晶は変わらない
霧との出会い、雲海との遭遇
地上にいながら雲の中◆都心でも眺められる雲海
「空」を測る
どうやって空を測るのか◆レーダーで捉える
メイキング・オブ・天気予報
天気予報をどのように作るのか◆AIと人間◆天気予報の裏を読む◆リチャードソンの夢
第5章 感動する気象学
気象学が解き明かすもの
あの空の美しさの正体◆気象学の分類と関わり◆気象学は総合知◆異なる分野と手を取りあって◆未来を知るために◆観測は楽しい◆
数値が表す現象を知るということ
気象学のはじまり
雨乞いから自然哲学へ◆印刷技術の発明と科学革命◆江戸時代の天文台◆気象学と研究者◆世界大戦と軍事機密
雨と雪にはドラマがある
雫形のかわいい雨粒はあり得ない◆雪と氷は一二一種類◆土砂降りと、しとしと雨
夏は暑く、冬が寒いのはなぜか?
気温が変化するしくみ◆最高気温が出やすい時間◆夏は暑く、冬は寒い理由
天気はどうして変わるのか
ヘクトパスカルとキュウリ◆風が吹く理由◆哲学者と気象の単位◆コリオリの力◆偏西風とジェット気流◆春や秋の天気は変わりやすい◆
「梅雨入り宣言」の真相◆夏に猛暑をもたらすもの
日本海側の雪、太平洋側の雪
日本海側に雪が多いのはなぜか◆「JPCZ」による集中豪雪◆爆弾低気圧、メイストーム、ポーラーロー◆南岸低気圧による太平洋側の雪◆
「経験則」の限界
「ゲリラ豪雨」と竜巻
「ゲリラ豪雨」という言葉の由来◆積乱雲と航空機事故◆マルチセルとスーパーセル◆関東では竜巻が多い
豪雨と台風はなぜ起こるのか
線状降水帯と集中豪雨◆多量の水蒸気が豪雨の鍵◆台風発生のしくみ◆台風はなぜ日本にやってくるのか◆台風で警戒すべきこと◆
温帯低気圧になっても安心できない
気候変動と異常気象
気象と気候の違い◆気候変動とは何か◆遠くの海も気候を変える◆異常気象と地球温暖化◆地球温暖化で寿司ネタが消える?◆個人でできること
第6章 天気予報はこんなにも面白い
天気予報はなぜ外れるのか
予測が難しい理由◆微粒子が雲を変える◆気象情報の未来
気象学と経済活動
アイスクリームの販売量◆再生可能エネルギーと気象条件◆キーワードは「オープンデータ」
「地震雲」を不安に思うあなたに
雲は地震の前兆になるのか◆雲を愛でよう◆疑似科学や陰謀論◆レーダーで見えるもの
「観天望気」は人類の知恵
空を見て天気を予想する◆積乱雲の観天望気
気象情報を「使い倒す」
「今どこに雨雲があるか」を俯瞰◆雨の予測に使える二つの情報◆土砂災害・洪水災害対策に必須のツール◆「難を避ける」こと
気象予報士と気象大学校
気象予報士は国家資格◆小学生でも気象予報士◆気象学を志す人のバイブル◆無料なのに圧巻の教科書◆気象大学校はどんな大学か◆
まさかの校長先生◆研究と格闘技の意外な関係⁉◆気象を「仕事」にする
雲研究者、カラスと格闘する
観測と犬とカラスと◆観測現場は力仕事!◆古代言語で雲を解く◆どんな環境でも◆経験則を科学する◆「雲をつかむ」ために◆
雲を撮って空でつながる
おわりに
参考文献・ウェブサイト
読書案内、写真提供
スペシャルサンクス
索引
著者
荒木健太郎(あらき・けんたろう)
雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術)。1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。地方気象台で予報・観測業務に従事したあと、現職に至る。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、気象災害をもたらす雲の仕組みの研究に取組んでいる。
映画『天気の子』(新海誠監督)気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』『もっとすごすぎる天気の図鑑』『雲の超図鑑』(以上、KADOKAWA)、『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)、『雲を愛する技術』(光文社新書)、『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)などがある。
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