調達・購買・財務担当者のための 原材料価格のリスクマネジメント
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調達・購買・財務担当者のための 原材料価格のリスクマネジメント
書籍情報
- 大崎 将行 著
- 定価:4950円(本体4500円+税10%)
- 発行年月:2018年02月
- 判型/造本:A5上製
- 頁数:328
- ISBN:978-4-478-10446-0
内容紹介
銅やアルミニウムなどの金属原料の価格は産業の動向を大きく左右するため、頻繁に経済ニュースのネタとなる。電気料金や運賃に直結する原油、多くの食料品の値段に影響を与える小麦なども同様だ。そうした原材料の変動リスクにどう対処すべきかを解説する初めての本。入門編『市場分析入門』に続く実践編です。
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目次
はじめに
第1章■原材料価格と企業を取り巻く原材料価格リスクの環境
第1節 商品相場の変動の影響と変遷
▶変動幅が大きくなる原料の価格 ── 輸入に頼らざるを得ない日本
▶中国の台頭
▶低価格の水準訂正の影響
▶リーマン・ショック後の超金融緩和
▶ポピュリズム政治の広がり ── 想定し得ないリスクをもたらす可能性
第2節 原材料価格の上昇や変動といった原材料価格リスクが企業にもたらす影響
▶原材料価格の上昇や変動にともなう“困り事”とその対応
▶営業利益/経常利益の不安定化
第2章■原材料価格の上昇や変動に対する企業の対応 ── 計画予算をいかにして達成するか?
第1節 原材料の調達費用の「計画予算」はどのように設定されるのか?
▶「計画予算」と「想定調達費用」との間の「バッファ」
▶「想定調達費用」の見積もり
第2節 原材料の調達費用の「計画予算を達成する」ということとは?
▶「計画予算の達成」とは、「平均調達単価≦平均予算単価」
▶計画予算達成の成否の最終的な判定は、期末の実績平均調達単価の居所
第3節 「計画予算達成」のリスク要因は?
▶“計画値”や“想定値”から乖離する(ブレる)ことを「リスク」と呼ぶ
▶「リスク」もあれば「リターン」もある
▶調達セクションにおける計画予算の達成が難しい理由
▶調達価格リスクや調達数量リスクは、どのように平均調達単価のリスクに反映されるか?
▶平均調達単価リスクの算出式をさらに変形させることで、平均調達単価リスクの本質が見えてくる
▶計画予算達成の成否を握るリスク要因は?
第4節 「計画予算」を安定的に達成するためには、結局、何をすればよいのか?
▶「計画予算を安定的に達成するため」の方向性
▶方向性①:調達価格の平均リスクを小さく抑える
▶方向性②:(重みづけ)実績調達価格の平均からのバラつきの影響を小さくする
▶方向性③:バッファをできるだけ大きくする
▶まとめ:計画予算を安定的に達成するための方向性
第5節 原材料価格の変動性の高さ(高ボラティリティ時代)が、計画予算の安定的な達成を難しくする
第3章■「市場価格リスクマネジメント」を知る
第1節 市場価格リスクマネジメントとは?
▶市場価格リスクマネジメントとは?
▶市場価格リスクマネジメントのエッセンスは「リスクをリスク許容度内」に収めること
▶従来までの市場価格リスク対策の問題点
▶本書で説明するフレームワークに沿って市場価格リスクマネジメントを実施していくことのメリット
▶本フレームワークを用いる際の注意事項
▶(補足)本書で説明する市場価格リスクマネジメントの位置付け
第2節 市場価格リスクマネジメントの「イメージ」をつかむ
▶架空の例) Aさんのパン購入の悩み
▶Aさんのとった行動は?
▶貯金がゼロになったAさんは家計簿を振り返ってあることに気づいた
▶パンは一度に、5個全部買う必要はなかった!
第4章■「市場価格リスクマネジメント」を理解する
第0節 「調達活動の3つの掟」と「市場価格リスクマネジメントの2つのルール」
▶調達活動の3つの掟
▶ルール1 ── 調達活動の3つの掟を「同時」に満たす必要はない
▶ルール2 ── 市場価格リスクマネジメントは“調達案件”単位ごとに取り組む
第1節 ステップ1 市場価格リスクマネジメントの目的設定と当事者の明確化
▶何を目指して市場価格リスクマネジメントをおこなっていくのか?
▶その目指すべき(事業体や組織の)目的を「どのように」達成していくのか?
▶「誰が」この市場価格リスクマネジメントをおこなうのか?
▶補足1)設定した「目的」に対する“合理的な意思決定”とは?
▶補足2)目的やリスク選好をどのように設定するかで、その後の戦略も対策も、そして結果も変わる
第2節 ステップ2 市場価格リスクの洗い出し
▶市場価格リスクの洗い出しは2つの作業で構成される
▶企業経営に影響を及ぼす市場価格リスクの代表例
▶「為替レート」も重要な市場価格リスク
第3節 ステップ3 許容費用の設定
▶リスク許容度とは、「調達活動の3つの掟」における「支払える金額」に該当
▶許容費用の具体的な中身は、市場価格リスクマネジメントの目的によって決定する
第4節 ステップ4 市場価格リスクの定量化
▶なぜ、市場価格リスクを定量化しなければならないか?
▶市場価格リスクを表現する3つの構成要素
▶市場価格リスクの定量化とは、つまるところ「変化度のパーセンタイル値を作成する」こと
▶市場価格リスクはどのようにして見積もるのか?
▶市場価格リスクの定量化における「精度」
▶精度のよい定量化手法の見つけ方
▶最終的には市場価格リスクマネジメントの目的や重要度に応じて定量化の手法は決定する
▶期限までの「変化度」のパーセンタイル値を期限時点の「価格」のパーセンタイル値に変換する
▶期限時点の価格のパーセンタイル値の定性的解釈と定量的解釈
第5節 ステップ5 市場価格リスクマネジメントの対象となるリスクの範囲を特定する
▶なぜ、市場価格リスクの範囲を特定化しなければならないか?
▶市場価格リスクの対象範囲の特定方法
▶リスクの対象範囲の特定化の具体例(Aさんのケース)
▶リスク範囲の特定化における特殊ケース
▶“想定”と“想定内”と“想定外”
第6節 ステップ6 特定化した市場価格リスクをもとに調達費用リスクを算出する
▶期限までに必要な調達量によって、調達費用リスクは増幅される
▶調達“済”数量が積み上がっていくと調達費用リスクは減っていく
第7節 ステップ7 市場価格リスク戦略の決定
▶「許容費用」と「調達費用リスク」の位置関係から市場価格リスク対策の必要性の有無を確認する
▶想定上限費用が許容費用を下回る状況とは?
▶想定上限費用が許容費用を下回る状況をどうやって作るのか?
▶「許容費用」と「調達費用リスク」の3つの位置関係
▶リスク戦略(=目指すべき「許容費用」と「調達価格リスク」の位置関係)を決める
▶リスク戦略決定の一例〜Aさんのケースより
第8節 ステップ8 リスク対策を設計し、実行する
▶リスク対策の分類 ── 「直接的なリスク対策」と「間接的なリスク対策」
▶リスク対策のリスク(不確実性)
▶リスク対策の設計の手順
▶直接的なリスク対策1 ── 「調達済数量の積み上げ」とは、「調達が完了した状態」を増やしていくこと
▶直接的なリスク対策2 ── 「調達済数量を積み上げる」4つの手法
▶直接的なリスク対策3 ── リスク対策別の「調達可能数量」と「コスト」の把握・洗い出し
▶間接的なリスク対策
▶間接的なリスク対策の補足 ── 製品・サービスへの価格転嫁
▶(直接的な)リスク対策を実施する
第9節 ステップ9 ステップ3〜8を繰り返して調達済数量を積み上げ、調達費用リスクを縮小させながら調達費用を確定させる
第10節 ステップ10 一連の市場価格リスクマネジメントを検証する
▶一連の市場価格リスクマネジメント全般を検証する
第11節 まとめ 市場価格リスクマネジメントを実施する上での注意点
▶市場価格リスクマネジメントの実施に関するその他注意点
第5章■企業における「市場価格リスクへの対応」に関する現状
第1節 ①市場価格リスク非顕在型
▶市場価格リスクの潜在的な影響はあるものの、「現時点」ではその影響が顕在化していないケース
▶事業の「構造的」に市場価格リスクの影響が顕在化しないケース
第2節 ②市場価格リスク放置型
第3節 ③市場価格リスク誤対応型
第4節 ④市場価格リスク対応型
▶ケース1 ── 担当商品に関する支払金額の為替リスク
▶ケース2 ── 半期の計画予算を達成するための市場価格リスクマネジメント
おわりに
著者
大崎将行(おおさき・まさゆき)
東京大学工学部機械工学科を首席で卒業、東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻修了。JPモルガン証券を経て、ボストンコンサルティンググループ入社。国内大手通信会社、国内大手食品メーカー、国内大手金融機関の新規事業戦略支援および国内大手消費財メーカーの事業ポートフォリオ再構築プロジェクトに従事。その後、ドイツ証券にて大手事業法人の資金調達ならびに財務戦略の立案を担当。特にコモディティ・デリバティブを活用した原材料価格/調達価格のリスクマネジメントの普及に力を入れる。
2010年5月、株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立し、代表取締役に就任。価格リスクで悩む企業に対し、中堅・中小企業から大手企業まで幅広い支援実績を持つ。
電子書籍は下記のサイトでご購入いただけます。
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- 紀伊國屋書店Kinoppy
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