目次

はじめに

第一章　選ばれた者だけの「終の棲家」、超高級老人ホーム

「高級って何が高級なんだよ」
超高級老人ホームの日本代表「サクラビア成城」
入居一時金４億円超えの仰天価格
まるで丘の上の飛鳥
一流ホテルマンさながらのスタッフ
原則フルリフォーム、間取り変更も当然対応
優越感を具現化した設備の数々
財界の大物がこぞって入居
高額な部屋ほど争奪戦に
50代から部屋をキープする用意周到さ
〝品格〟と〝資力〟は最低条件
値踏みされる施設
徘徊する者は滅多にいない
好みの氷の数まで把握する徹底ぶり
給料月額約23万円は高いか安いか
〝帝王学〟を学ぶスタッフたち
「仏様のような方が多いです」

第二章 「入居者カースト」でマウンティングし合う高齢者たち

相模湾から臨むは天下、「中銀ライフケア熱海第三伊豆山」
賃貸型ではなく分譲型のシルバーマンション
海を濁らせた大災害
〝メンバー様〟らとご対面
施設スタッフを電話で呼びつけ……
「オージービーフは間違いだったか」
差し出された〝奇妙な〟資料
理事会メンバーは〝何様〟か
「東京から来るな」
健康マウンティングが始まる
「意識が高いってことね」
カネは出すが口も出す
「すぐ死んじゃう」の裏事情
隠蔽体質に〝ご乱心〟
男をたてる女たち
まるで貴族のお戯れ
居住者同士の色恋沙汰も
「自民党と一緒ですよ」
徳川家臣団の野望
食堂の席替えにも猛反対
カラオケの十八番はあいみょん
女やもめに花が咲く

第三章 「死に場所」さえステータス化する富裕層の執着

終焉までのカウントダウンが始まる「聖路加レジデンス」
薄給社員の悲憤
「中銀ライフケア横浜希望ヶ丘」で変わる夫婦関係
最期の居場所は妻の横か
施設スタッフと結婚した〝やり手〟入居者
インド産バイアグラで二股交際
先立たれた者同士の純愛
高齢者による、高齢者のための街
「サンシティ銀座EAST」その虚像と実像
人知れずゴミ屋敷化も
「ご家族様もそういうお育ち」
「お金を払えばいいんでしょ」
ロイヤルケア食を試食したものの……
超富裕層の熱視線、「パークウェルステイト西麻布」
遺産争いを見越した次男の思惑
高級老人ホームをオススメできない理由
取材後に〝事前検閲〟の要求
関西セレブが大集合する「エレガーノ西宮」
まるでクラシックな高級ホテル
入居のきっかけは〝将来への不安〟
〝やりたくない〟もOK
自宅を残すのは過去への執着か
入居はできない、でも働く
「入り込まれると嫌やから」
「そのときは仕方ない」

第四章　老人は二度死ぬ。悪徳施設への潜入取材

現役スタッフからの告発
潜入するは我にあり
反発したスタッフを激詰め
監査前にシフト表を改ざん
「自由なんてどこにあるんや」
「薬、薬、薬をちょうだい」
調味料はカビだらけ
たった１房の〝ドケチ〟デザート
施設内で皮膚病が蔓延
二度の爆破予告
職員に手渡された〝教本〟
要介護３でも台湾カラオケ旅行の疑問
常駐ドクターも親族の言いなりに
疑惑の施設へ〝潜入取材〟
〝選択の自由〟が強調されるも……
予期せぬ質問にしどろもどろ
〝ちょっと〟力を入れている
小学生並みの門限時間
盛り上がる職員、虚ろな入居者
右も左もフェイクだらけ
〝金色の壺〟が飾られた廊下
某新興宗教との関わりも……
「ほんまに監獄みたいやと思います」
搾取される職員たち
港に浮かぶクルーザーの正体
まるで株主気分の入居者たち
職業に貴賤ありの実態
高級老人ホーム「X」の〝黒い評判〟
反社会的勢力との黒い噂
まるで姥捨て山

第五章　桃源郷は夢のまた夢。「世俗」に還る人々

「アンペレーナ百道」で業務を体験
働きながら入居権をキープ
老人ホームに友人は要らない
大鵬も訪れた名店。伝説の寿司職人
「また違う人生もあるかな」
業務体験を試みるも……
「もっと早く入居すればよかった」
麻生太郎元首相の訪問も
遺産目的の連れ去り事件
最期まで夫を気遣った妻の一言
老後に〝義理〟は必要なし
〝死に場所〟はどこにある
超高級老人ホーム、その実態

おわりに

著者

甚野博則（じんの・ひろのり）
1973年生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。2017年の「『甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した』実名告発」などの記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」のスクープ賞を２度受賞。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などで社会ニュースやルポルタージュなどの記事を執筆。近著に『実録ルポ 介護の裏』（文藝春秋）がある。介護に関する情報はぜひ（hironori.jinno2@gmail.com）までお寄せください。