歯みがき100年物語
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歯みがき100年物語
書籍情報
- 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 編
- 定価:1980円(本体1800円+税10%)
- 発行年月:2017年01月
- 判型/造本:B5並製
- 頁数:258
- ISBN:978-4-478-10004-2
内容紹介
明治末、子どものむし歯罹患率はなんと96%! しかし、いまや小学生のむし歯の数は1本を切っている。その背景には、強い危機感を持った民間企業の100年にわたる地道な「歯みがき普及活動」があった。その足跡を豊富なビジュアルでたどり、さらに健康寿命の延伸など「歯みがき」がもたらす今後の可能性を探る。
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目次
第1章 人はいつから歯みがきを始めたのか
●エピソードでつづる口腔保健前史
歯と口の悩みは人類誕生とともに
文明発祥の地では呪術でむし歯退治
古代ローマでは白い歯が自慢の種
釈迦がすすめた歯木のたしなみ
歯木、中国で楊枝となる
大陸の先進文化、日本へ伝来
平安貴族の作法と歯の悩み
口を清めることは禅の修行のひとつ
お歯黒で知らず知らずにむし歯予防
房楊枝に粋を感じた江戸の人々
歯みがき粉の効用は美白と口臭予防
西洋医学の蘭方医と職人技の口中医
歯ブラシの夜明けはヨーロッパから
文明開化なれど、口腔衛生は夜明け前
コラム
●日本の縄文人は歯を抜いたり削ったり
●アリストテレスが大王に教えたこと
●姫島の逆柳伝説
●世界中に歯木あり
●益軒、歯をたたく
●むし歯の原因は虫ではない
第2章 歯みがき習慣が根づくまで
●日本の口腔保健 100年の挑戦
明治・大正時代 ── 口腔保健活動の始まりと加速
最新の歯科技術は黒船とともにやって来た
動きはじめた日本の歯科医師たち
民間企業が口腔衛生思想の普及に乗り出す
全国を巡回した「口腔衛生講演会」
子どもたちをむし歯から守ろう
大きな役割を担った子ども専門歯科診療所
昭和初期 ── 戦時下も口腔衛生普及への想いは消えず
全国で「むし歯予防デー」始まる
学校が歯科保健活動の主役に
口腔衛生意識を啓発したさまざまな試み
戦争に負けない、口腔衛生普及への挑戦
終戦〜高度成長期 ── 第二のスタートとさらなる広がり
歯科衛生士が口腔保健の新たな担い手に
未処置むし歯の半減を目指して
民間企業の活動、ようやく再開
母親へ、職場へ、活動が広がる
活動の場を広げる民間企業
新時代 ── むし歯撲滅からQOL向上へ
新しい知識や技術を学び、共有する
8020運動で高齢化に備える
歯の健康は社会全体で守る
コラム
●野口英世を育てた明治時代の歯科私塾
●口腔保健活動の先駆者 初代・小林富次郎
●黎明期を駆け抜けた情熱家 緑川宗作
●「ほころばぬ ままの花など あるべしや」 岡本清纓
●歯科保健を文化として開花させた 向井喜男
第3章 歯みがきの大切さを伝えたい
●企業からの情報発信
歯みがきを育てた広告・宣伝の力 ── 消費者に口腔衛生の大切さを訴える
生活革新をもたらした企業の発信力
まず新聞広告で「歯みがきのススメ」
ラジオやテレビから「歯をみがこう!」
正しい知識を広げる努力 ── 図解や映像を交えて、ていねいに伝える
多様な印刷物が情報を伝える
絵本や童話で歯みがき教育を
自主製作映画でわかりやすく伝える
さまざまな場で口腔衛生意識を啓発 ── 数多くの人がイベントに参加
百貨店の展覧会から情報発信
海外の子どもたちと「歯みがき交流」
「寝る前に歯をみがく」という生活提案
コラム
●「動く広告」として奮闘した弱小球団「ライオン軍」
●遊びながら歯みがき習慣を子ども向け印刷物あれこれ
●歯みがきの歌❶「朝は子供に」
●高く評価された歯の資料集『よはひ草』
●歯みがき習慣は洗面所から
●歯みがきの歌❷「くまの子りすの子」
よりよい商品を消費者に ── 口腔衛生を支えた歯みがき剤と歯ブラシ
歯みがき剤編① 明治〜戦中まで
こすって汚れを落とす歯みがき剤から出発
歯みがき剤編② 戦後〜現代
薬用効果のある多様な歯みがき剤を開発
歯ブラシ編
歯ブラシは基本型から徐々に進化
コラム
●ライオンとペンギンの話
●フッ素入り歯みがき剤の普及で子どものむし歯は大幅に減少
●オーラルケア関連製品の市場
第4章 歯みがきは健康みがき
●口と歯の健康が全身の健康につながる
口は健康への入り口 ── 口の中のトラブルが全身疾患の原因に
むし歯と歯周病は口の中の二大トラブル
歯周病と糖尿病には深い関係がある
歯と口の健康がメタボを防ぐ
重大な病気と歯周病の意外な関係
口から始める健康づくり ── 世代に応じた適切な口腔ケアを
子どもの「生きる力」をはぐくむ
「気づき」を与えて思春期の口の中を守る
健康な口がスポーツ能力を高める
健康のために、働き盛りこそ歯科健診を
高齢者の「食べること」を支える
コラム
●口臭を防いで、歯と口を健康に
●30年にわたる研究によってメインテナンスの有用性が明らかに
●実験でわかった歯みがき剤の効果
●かめないと認知症のリスクが高まる
「予防歯科」で口の中の健康管理を ── プロケアとセルフケアを両輪に
定期的なプロケアでメインテナンスを
適切なセルフケアの方法
健康寿命の延伸を目指して ── これからの口腔保健の役割とは
歯科医療・口腔保健がなすべきこと
口腔保健の向上に向けた国際貢献を
「生きる」から「活きる」へ
100年の歩みを未来につなぐ
あとがき
参考資料
取材協力
編者
公益財団法人 ライオン歯科衛生研究所(理事長・藤重 貞慶)
ライオン歯科衛生研究所は、「医科歯科連携による予防医療の実践」という考え方に基づき、健康寿命の延伸による生涯現役社会の実現を目指しています。すべてのライフステージにおける口腔保健の普及・啓発、予防医療の調査・研究および実践、並びに保険指導者や医療専門家に対する教育研修を行っています。