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過去20年の「7月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年7月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「7月」のデータを集計して、2023年7月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

7月は高金利通貨ペアとして人気のメキシコペソ/円やトルコリラ/円が
「円高」になりやすく、9~10月の「円安」に向けて仕込むチャンス!

 はじめに、月足の統計データで7月のアノマリーを紹介していきましょう。

 下の表は31種類の通貨ペアの過去20年間(一部例外あり)の月足を調べた中から、米ドル/円をはじめとする主要な通貨ペアと、7月に一定の偏りの確認できる通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

7月の月足アノマリー情報

 これを見ると、7月は高金利通貨ペアとして人気のトルコリラ/円とメキシコペソ/円、そして、最近、一部のFX投資家からも注目されている中国人民元/円の陰線の出現回数が、陽線の出現回数を大きく上回っていることがわかります。

 トルコリラ/円とメキシコペソ/円は過去16年分、中国人民元/円は過去12年分のデータになるので、トルコリラ/円とメキシコペソ/円は約62%、中国人民元/円は約83%の確率で陰線が出現していたいうことになり、7月は高金利通貨ペアや中国人民元/円で「円高」になりやすいアノマリーが確認できます。
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 また、8月も南アフリカランド/円で20回中14回、トルコリラ/円とメキシコペソ/円は16回中11回と、高金利通貨ペアで陰線の出現回数が多く(=円高になりやすく)なっています。
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 こうした傾向は、「夏枯れ相場」と呼ばれるアノマリーが影響しているとも言えます。夏枯れ相場とは、日本のお盆休みや海外のバケーションシーズンなどの長期の休暇に向けて、多くの投資家が保有しているポジションを整理したり、取引を手控えたりすることで起きると考えられている現象です。

 夏枯れ相場のときは市場参加者が減るので、一般的な傾向としては値動きが小幅になりやすいのですが、特にマイナーな通貨ペアではボラリティが下がるこの時期を狙って機関投資家が大きな注文を出し、相場の急変動を起こしやすい季節にもなります。

 しかし、この動きはチャンスと考えることもできそうです。先ほどの月足の陽線・陰線の出現回数をまとめた表を見ると、10月の陽線の出現回数がトルコリラ/円で17回中10回、メキシコペソ/円で17回中13回、中国人民元/円で12回中10回と多くなっており、「円安」になりやすいことがわかります。

 つまり、高金利通貨ペアや中国元/円では、7月と8月は「円高」になりやすく、9月以降は「円安」になりやすいアノマリーがあるので、8~9月に買いのポジションを建ててスワップポイント(スワップ金利)によるインカムゲインを積み上げつつ、10月の上昇アノマリーで為替変動によるキャピタルゲインも狙うという戦略を組むこともできそうです。
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7月5日は「ドル高」、7月21日と28日は「ドル安」になりやすく、
7月12日と14日は「豪ドル高」になりやすいアノマリーを発見!

 次は、日足の統計データから、注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における米ドルが絡んだ主要な通貨ペアの7月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。

米ドル関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、5日に米ドル/円で71%、米ドル/カナダドルと米ドル/スイスフランで86%と陽線の出現確率が高く、米ドルが決済通貨(分母側)の英ポンド/米ドルは19%と低くなっています。つまり、これらの通貨ペアでは「米ドル高」になる確率が高いということになります。

 反対に、21日は米ドル/円が23%、米ドル/スイスフランは4%と陽線の出現確率が低く、米ドルが決済通貨のユーロ/米ドルは78%、豪ドル/米ドルとニュジーランドドル/米ドルは73%で高くなっていて、さらに、28日は英ポンド/米ドルの陽線の出現確率が86%と高くなっています。つまり、これらの通貨ペアでは「米ドル安」になる確率が高いということになります。

 このことから、7月は5日に米ドルが買われやすく、21日と28日には米ドルが売られやすいアノマリーがあることがわかります。
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 また、月の半ばあたりには、豪ドルにも注目したい傾向があります。

 下の表は、過去20年間における豪ドルが絡んだ主要な通貨ペアの7月の日足を数えて日別の「陽線」の出現確率をまとめたものの中から、7月10日~14日の期間を抽出したものです。

豪ドル関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、12日に豪ドル/ニュジーランドドルが76%、豪ドル/スイスフランが81%と陽線の出現確率が高く、豪ドルが決済通貨のユーロ/豪ドルは24%と低くなっています。また、14日も豪ドル/円と豪ドル/スイスフランが82%と高く、ユーロ/豪ドルは18%と低いので、7月は12日と14日に豪ドルが上昇しやすい(=豪ドル高になりやすい)アノマリーがあることがわかります。あわせて注目しておきましょう。
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夏場に株価が上がりやすい「サマーラリー」のアノマリーどおり、
NYダウの7月の陽線出現率は80%で、過去20年で16回も上昇!

 最後に、株価指数のアノマリーも紹介します。

 下の表は、日本と米国の代表的な株価指数の過去20年間の月足を調査して、「陽線の出現回数」をまとめたものです。

株価指数の月足アノマリー情報

 これを見ると、7月は日本の代表的な株価指数には目立った偏りがないものの、NYダウは16回、ナスダックとS&P500は15回と、米国の代表的な株価指数では陽線の出現回数が多くなっています

 これは、主に米国の株式市場で話題になることがある、「サマーラリー」が影響していると思われます。サマーラリーとは、7月4日の米国の独立記念日から9月第1月曜日のレイバー・デーまでの期間中は株価が上昇しやすいとされているアノマリーで、多くの投資家の間でバカンスシーズンの前に優良株を買って、長期の休暇に備えておこうという思惑が働くことが原因で起こる現象だと考えられています。

 こうした理由もあってか、7月には米国の株価指数に上昇しやすいアノマリーがあることが、実際のデータからも確認できます。
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 今回紹介したデータが、7月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は8月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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