過去20年の「1月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2025年1月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「1月」のデータを集計して、2025年1月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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1月は南アフリカランド/円での「円高・ランド安」に加え、
ユーロ、NZドル、カナダドルでの「英ポンド高」アノマリーに警戒!
はじめに、月足の統計データで1月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、メジャーな通貨ペアの米ドル/円、ユーロ/米ドルと、1月に注目したい通貨ペアの「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、米ドル/円とユーロ/米ドルは、どちらも陰線の出現回数のほうが多くなっていますが、アノマリーといえるほどの偏りではありません。
一方、高金利通貨ペアとして日本のFXトレーダーに人気の南アフリカランド/円は、陰線の出現回数が20回中14回と偏りが大きく、南アフリカランド/円には「円高」になりやすいアノマリーがあります。
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また、1月は英国の通貨「英ポンド」にも注目です。たとえば、英ポンド/ニュージーランドドルと英ポンド/カナダドルは陽線の出現回数が14回、英ポンドが決済通貨(分母側)のユーロ/英ポンドは陰線の出現回数が16回と多く、全体的に「英ポンド高」の傾向が確認できます。
1月に英ポンドが買われやすい、はっきりとした理由は分かりませんが、英国では中国の旧正月(春節)を祝う、アジア圏外としては最大規模のお祭りの「チャイニーズ・ニュー・イヤー」(2025年は1月29日)、25日にはスコットランドの詩人、ロバート・バーンズの誕生日を祝う「バーンズ・ナイト」などのイベントがあり、これによって英国経済が活性するためとも考えられます。
いずれにせよ、1月は英ポンドが買われやすく、ユーロ/英ポンドでは高い確率で英ポンド高の傾向が確認できるので注目です。
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日足では「2日と8日のユーロ安」や「13~22日の英ポンド高」に注目!
月足の英ポンド高を狙ったトレードも、このタイミングが良さそう
次は日足の統計データの中から、1月に注目したいアノマリーを紹介します。
下の表は、過去20年間におけるユーロが絡んだ主要な通貨ペアの1月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものの中から、1月上旬を抜粋したものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすい傾向があると考えられます。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、2日と3日の両日でユーロ/円とユーロ/米ドルが20%台、8日はユーロ/円とユーロ/豪ドルが15%、ユーロ/英ポンド、ユーロ/ニュージーランドドル、ユーロ/スイスフランは30%と、陽線の出現確率が低くなっています。
このことから、1月上旬には「ユーロ安」のアノマリーがあると言えそうです。
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外国為替市場での取引量が多いユーロは、“安全通貨”のひとつとして、年末年始の長期休暇前に買われやすい傾向があります。そのため、年が明けるとユーロ買いポジションを解消する動きが出て、ユーロ安になると考えることもできます。
また、月足で1月の「英ポンド高」アノマリーが確認できた英ポンドは、日足でも注目したい傾向があります。
以下の表は、過去20年間における英ポンドが絡んだ主要な通貨ペアの1月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。
これを見ると、13~22日あたりにかけて、多くの通貨ペアで陽線の出現確率が70%台と高い、「英ポンド高」のアノマリーが確認できます。月足でも紹介したユーロ/英ポンド、英ポンド/ニュージーランドドルも、この期間に英ポンド高となる傾向が強そうなので、1月の英ポンド高を狙うなら、この時期が良さそうです。
米大統領就任式がある年の米ドル/円は、1月の月足と年足の方向が
80%以上の確率で一致しているので、2025年1月の月足の方向に注目!
ところで、1月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「米ドル/円は1月の月足の方向と、その年の年足の方向が一致しやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。
つまり、米ドル/円の1月の月足が陽線なら、その年の年足も陽線になりやすく、反対に米ドル/円の1月の月足が陰線なら、その年の年足も陰線になりやすい、という傾向です。
そこで、1978年から2023年までの、過去46年間における米ドル/円の値動きを調べ、各年の始値(1月2日の始値)と1月の終値(月足の終値)、12月の終値(年足の終値)、1月の月足と年足の方向が一致しているかを一覧にまとめたのが以下の表になります。
これを見ると、まず、1月の月足とその年の年足の方向が一致したのは、全46回中28回でした。2017年から2022年まで、6年連続で一致したこともありましたが、一致した確率は61%と、アノマリーとは言えない結果です。
しかし、上の表で赤色の着色で示した、4年に一度の米国で大統領就任式が行われる年だけを見ると、11回中9回、81%の確率で方向が一致しています。
今年、2024年の米大統領選で再選を果たしたドナルド・トランプ氏の大統領就任式は、2025年1月20日(月)に予定されています。つまり、過去のデータからは、2025年1月の月足と2025年の年足の方向が一致する可能性は非常に高いと予想されるので、2025年1月の米ドル/円の値動きには、特に注目しておく必要がありそうです。
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2025年は日経平均株価とNYダウも「1月の月足と年足の方向が一致」する
可能性が高いので、2025年の投資戦略を立てるうえで1月の値動きは重要!
米ドル/円と同じアノマリーは株価指数にもあるのでしょうか。NYダウは1901年以降、日経平均株価は1953年以降の米大統領就任式があった年の始値と1月の終値(月足の終値)、12月の終値(年足の終値)を調べて、1月の月足と年足の方向が一致しているかどうかをまとめたのが以下の表です。
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これを見ると、米大統領就任式があった年は、日経平均株価は18回中14回、NYダウは31回中23回、1月の月足とその年の年足の方向が一致しています。確率では、日経平均株価が77%、NYダウが74%です。また、NYダウに関しては1985年からの直近10回分だけで見ると8回、80%という高い確率になっています。
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このことから、日経平均株価とNYダウにも、米大統領就任式がある年は「1月の月足の方向と、その年の年足の方向が一致しやすい」アノマリーがあると言えます。
繰り返しになりますが、米大統領就任式は2025年1月20日(月)に行われる予定です。2025年の相場の行方を占ううえでも、2025年1月の日経平均株価とNYダウが陽線をつけるのか陰線をつけるのかは、非常に注目しておく必要があるでしょう。
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今回紹介したデータが、1月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は2月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!