過去20年の「2月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2025年2月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「2月」のデータを集計して、2025年2月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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2月は「円高・トルコリラ安」のアノマリーがあるので、スワップ
ポイント狙いで買いポジションを保有しているトレーダーは注意!
はじめに、月足の統計データで2月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、メジャーな通貨ペアの米ドル/円、ユーロ/米ドルと、2月に注目したい通貨ペアの「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、2月はユーロ/スイスフランで15回、英ポンド/スイスフランで14回、カナダドル/スイスフランで12回など、永世中立国として知られるスイスのスイスフランが絡んだ通貨ペアで、陰線の出現回数が多くなっています。
これらは、いずれもスイスフランが決済通貨(分母側)の通貨ペアです。つまり、陰線の出現回数が多いということは、「スイスフラン高」のアノマリーが確認できると言えます。
スイスフランは「リスクオフ通貨」として知られており、有事の際に買われやすい安全資産と考えられています。直近の2月だと、2020年は新型コロナウィルスの世界的な感染拡大、2022年はロシアのウクライナ侵攻がありました。このような出来事も、スイスフラン高のアノマリーに影響しているのかもしれません。
そのほか、2月はトルコリラ/円の陰線の出現回数が20回中15回と多く、「トルコリラ安」のアノマリーもあります。
トルコリラ/円は、買いポジションの保有で高いスワップポイントが受け取れることで、日本のFXトレーダーに人気の通貨ペアですが、2月は「円高・トルコリラ安」の傾向が強いので、ポジションを持っている人は注意が必要になるでしょう。
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月足では「スイスフラン高」のアノマリーが確認できたものの、
日足の「3日、4日、12日のスイスフラン安」には警戒!
次は日足の統計データの中から、2月に注目したいアノマリーを紹介します。
下の表は、過去20年間におけるスイスフランが絡んだ主要な通貨ペアの2月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすい傾向があると考えられます。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、3日はユーロ/スイスフランと豪ドル/スイスフランが71%、ニュージーランドドル/スイスフランが81%、4日は米ドル/スイスフランと英ポンド/スイスフランが84%、ニュージーランドドル/スイスフランが79%と、いずれも陽線の出現確率が高くなっています。
さらに、12日は米ドル/スイスフランと英ポンド/スイスフランで89%、豪ドル/スイスフランとカナダドル/スイスフランで83%と、陽線の出現確率がかなり高くなっています。
このことから、2月は月足だとスイスフラン高のアノマリーがあるものの、日別では3日、4日、12日の「スイスフラン安」に警戒が必要となりそうです。
反対に、21日は豪ドル/スイスフランで18%、ユーロ/スイスフランとニュージーランドドル/スイスフランとカナダドル/スイスフランで20%台と、陽線の出現確率が低いことから、21日には「スイスフラン高」のアノマリーがある点にも注目です。
日本円は「20日の円安」アノマリーに注目!米国債の大量
償還に伴う、2月の米ドル安・円高アノマリーは確認できず
次に、日本円が絡んだ通貨ペアも確認しておきましょう。
以下の表は先ほどと同じように、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの2月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。
これを見ると、2月は1日、9日、20日に、主要な通貨ペアで陽線の出現確率が高い「円安」のアノマリーが確認できます。ただし、今年(2025年)の1日は土曜日、9日は日曜日なので、FXは取引できません。そのため、今年の2月は「20日の円安」アノマリーに警戒しておきましょう。
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ちなみに、2月は一部の市場参加者の間で、「米国債の大量償還と利払いに絡んだフローで、円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。これは、保有残高が1兆ドル超えと、海外勢としては世界でもっとも米国債を保有している日本の投資家からの、償還と利払いで得た米ドルを日本円に替える動きが強まるため、米ドル安・円高になりやすいと考えられていることが原因のようです。
冒頭の月足アノマリーでも紹介したとおり、2月の米ドル/円は陽線の出現回数が8回、陰線の出現回数が12回と、確かに円高になる回数のほうが多くなっています。
ただし、個人的には20回中14回以上、確率では70%以上の偏りがなければアノマリーがあると判断できないと考えていますので、2月の米ドル/円にアノマリーはないと言えます。
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2月の株式市場は「上海総合指数の株高」と、「第3週あたりの
全体的な株高」に注目!中国の春節休暇が経済活動を後押し
次に、為替の動向にも影響を与える株式市場の2月のアノマリーを紹介します。
下の表は世界の主要な株価指数の過去20年間の月足を調べた中から、注目したい株価指数の「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、2月は中国の上海証券取引所に上場する全銘柄で構成された「上海総合指数」で、陽線の出現回数が20回中15回の「株高」アノマリーが確認できます。
例年、中国では2月ごろに春節(旧正月)の連休があり、これに伴って経済活動が活発化するため、株価が上昇しやすいとも考えられます。
そして以下の表は、注目したい株価指数の過去20年間の週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足の統計データです。「週間平均」は2025年のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値です。
これを見ると、過去20年における2月の上海総合指数は、第3週あたりに上昇しやすいアノマリーがあることがわかります。今年、2025年の中国の春節休暇は1月28日~2月4日ですが、例年は2月の中旬になることも多く、このことが第3週あたりの株高に影響している可能性もあります。
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また、同じようにNYダウは68%、カナダのトロント総合指数は72%、英国のFTSE100は78%と、いずれも第3週あたりに「株高」のアノマリーがあります。春節の期間中は多くの中国人が国外へ旅行するため、世界的に経済活動が活発になり、全体的な株高につながっているのかもしれません。
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コモディティは「月足での原油高」と、「第2~3週あたりの全体的な
上昇傾向」に期待!CFDならコモディティも手軽にトレードできる!
最後に、コモディティ(商品)の2月のアノマリーも紹介します。
下の表は主要なコモディティ銘柄の過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、2月は陽線の出現回数がWTI原油で20回中15回、北海ブレンドで20回中14回となっていて、「原油高」のアノマリーがあります。一方、アノマリーとは言えないものの、同じエネルギー関連銘柄でも天然ガスは陰線の出現回数のほうが多いのは、興味深い傾向です。
そして下の表は、過去20年間における主要なコモディティ銘柄の過去20年間の週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足の統計データです。「週間平均」は2025年のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値です。
これを見ると、2月は第2~3週あたりに、コモディティ銘柄が上昇しやすいアノマリーがあります。特に、今年の第2週にあたる2月10日からの週の週間平均では、パラジウムが83%、WTI原油が78%、金(ゴールド)が69%などと高くなっています。
主要なコモディティ銘柄や株価指数などは、「CFD」を活用すれば手軽に取引できます。FXと同じような感覚で、証拠金によるレバレッジをかけたトレードが可能なので、ぜひコモディティの値動きにも注目しておきましょう。
今回紹介したデータが、2月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は3月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!