過去20年の「3月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2025年3月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「3月」のデータを集計して、2025年3月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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3月は全体的に円安になりやすい傾向が確認でき、特に3月・4月と
続く「英ポンド高・円安」のアノマリーには注目!

 はじめに、月足の統計データで3月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、米ドル/円と主要なクロス円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

注目通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると、3月はアノマリーと認められる英ポンド/円の14回を筆頭に、米ドル/円とユーロ/円は13回など、日本円が絡んだ通貨ペアで陽線の出現回数が多く、全体的に円安の傾向が見受けられます。

 また、英ポンド/円は翌4月も陽線の出現回数が16回と多く、英ポンド/米ドルも同様に16回も陽線が出現していることから、4月には「英ポンド高」のアノマリーがあります。

 このことから、英ポンド/円は3月から4月にかけて上昇しやすいので、英ポンド/円の買いを検討すると良さそうです。
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年度末に伴う円高アノマリーは月足では確認できないが、
「7日&27日の円高」と「24日&26日の円安」には注意!

 次は日足の統計データの中から、3月に注目したいアノマリーを紹介します。

 下の表は、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの3月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすい傾向があると考えられます。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、7日はユーロ/円、ニュージーランドドル/円、スイスフラン/円が17%、カナダドル/円が22%、英ポンド/円が26%と、多くのクロス円で陽線の出現確率が低くなっていて、「円高」のアノマリーがあります。また、27日も米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円の陽線の出現確率がいずれも20%台と低く、こちらにも「円高」アノマリーが確認できます。
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 一方、24日は米ドル/円とスイスフラン/円が76%、カナダドル/円が86%で、26日も英ポンド/円が84%、ニュージーランドドル/円とカナダドル/円が75%、ユーロ/円が73%と、陽線の出現確率が高くなっています。

 このことから、3月は「7日と27日の円高」と、「24日と26日の円安」に注意が必要です。

 ちなみに、3月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「日本企業による円転ニーズの高まりが影響して円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。これは「年度末の3月は決算期を迎える日本企業が多く、輸出企業を中心に保有している外貨を日本円に交換する動き(=レパトリエーション)が強まる」と考えられているからです。

 しかし、実際に過去20年の3月の米ドル/円のデータを検証したところ、月足では陽線になる(円安になる)回数のほうが多く、「円高になりやすいというアノマリー」は確認できませんでした。ただし、日足では27日に陽線の出現確率が低くなっており、円高になりやすいアノマリーが確認できるので、「3月は“レパトリ”で円高」というのは3月下旬の一時的な傾向にすぎないのかもしれません。
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英ポンドは「5日と27日の英ポンド高」に注目!4月にかけて
上昇しやすい英ポンド/円のアノマリーは月末に集中

 次に、英ポンドが絡んだ主要通貨ペアの日足も確認しておきましょう。

 以下の表は先ほどと同じように、過去20年間における英ポンドが絡んだ主要な通貨ペアの3月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。

英ポンドが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、5日に英ポンド/豪ドルで81%、英ポンド/ニュージーランドドルで79%、英ポンド/カナダドルで75%と陽線の出現確率が高く、英ポンドが決済通貨(分母側)のユーロ/ポンドは30%と低いことから、「英ポンド高」のアノマリーがあります。

 また、27日にも英ポンド/豪ドルで95%、英ポンド/ニュージーランドドルで86%、英ポンド/スイスフランで76%と陽線の出現確率が高く、ユーロ/英ポンドは14%と低い、「英ポンド高」アノマリーが確認できます。

 一方、月足で3月に「英ポンド高・円安」のアノマリーがあった英ポンド/円は、5日と27日には目立った傾向がなく、20日と26日、さらに今年(2025年)は日曜日ですが30日に上昇アノマリーがあります。

 このことから、3月は「5日と27日の全体的な英ポンド高」と、「20日と26日の英ポンド高・円安」アノマリーに注目です。

3月の株式市場は「米国の株高」に注目!
週足では第4週(24~28日)に「株高」のアノマリーを確認!

 次に、為替の動向にも影響を与える株式市場の3月のアノマリーを紹介します。

 下の表は世界の主要な株価指数の過去20年間の月足を調べた中から、注目したい株価指数の「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

主要株価指数の月足アノマリー情報

 これを見ると、3月は米国のNYダウとナスダック総合指数、フランスのCAC40で陽線の出現回数が14回と、「株高」のアノマリーがあります。
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 そして以下の表は、注目したい株価指数の過去20年間の週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足の統計データの中から、3月23~31日の期間を抽出したものです。「週間平均」は2025年のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から集計した平均値です。

主要株価指数の週足アノマリー情報

 これを見ると、過去20年における3月の株式市場は、今年は24~28日にあたる第4週ごろに、全体的に上昇しやすいアノマリーがあることがわかるので、あわせて注目しておきましょう。
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FXトレーダーにもっとも有名な、米ドル/円のゴトー日アノマリーを検証!
過去10年で着実に収益を積み上げ、1万通貨の取引で33万円以上の利益に!

 最後に、今回は少し趣向を変えて、冒頭でも特に有名なアノマリーとして紹介している、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」の有効性を検証したので、その結果を見てみたいと思います。

 今回の検証は、2015~2024年の10年間にわたって、5と5の倍数の日の日本時間0時1分に米ドル/円を買い、仲値が発表される直前の9時53分に決済するトレードを繰り返した場合、累積の収益がどのようになるかを、MT4(メタトレーダー4)のバックテスト機能を使って行いました。該当する日が土日だった場合は、前の営業日を実質的なゴトー日として検証しています。

 その結果が以下のグラフになります。

ゴトー日アノマリーの検証結果

 これを見ると、損切りが続いて収益が目減りするときもありますが、全体で見ると緩やかな右肩上がりで収益を積み上げていけたことがわかります。

 このシミュレーションでは、利益となったトレードの割合は60.93%と勝率が6割を超え、毎回1万通貨のトレードを行った場合、33万8000円の収益を得ることができるという結果になりました。

 このことから、「ゴトー日アノマリー」は有効なアノマリーと言えそうです。

 米ドル/円を1米ドル=155円と仮定しても、1万通貨のトレードであれば最低6万2000円の資金(証拠金)でトレードできます。それほどの資金を必要とせず、10年間で33万円以上の収益を上げられる結果となったので、試してみる価値はありそうです。

 今回紹介したデータが、3月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は4月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!