過去20年の「4月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2025年4月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「4月」のデータを集計して、2025年4月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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4月は3月から続く「英ポンド高・円安」のアノマリーに注目!
日本の新年度入りに伴う「米ドル高・円安」アノマリーは確認できず!
はじめに、月足の統計データで4月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、日本のFXトレーダーもよく取引するメジャーな通貨ペアと、英ポンドが絡んだ主要通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、4月は英ポンド/円と英ポンド/米ドルで20回中16回、英ポンド/スイスフランで20回中15回と、陽線の出現回数が多くなっています。また、英ポンドが決済通貨(分母側)のユーロ/英ポンドは陰線の出現回数が20回中15回と多いことから、4月には「英ポンド高」のアノマリーが確認できます。
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これは、キリスト教の祭事であるイースター(復活祭、4月20日)、英国伝統の競馬の障害競争グランドナショナル(4月5日)、キリスト教の守護聖人・聖ジョージを祀る記念日のセント・ジョージ・デイ(4月23日)、世界有数のマラソン大会ロンドンマラソン(4月27日)など、4月は英国でイベントが目白押しのため、英国の経済が活性化して、英国の通貨・英ポンドや英国の株価が買われやすくなるから」とも言われています(日付はいずれも2025年)。
特に、英ポンド/円は前回の当コラムでも紹介したとおり、3月にも「英ポンド高・円安」の傾向があり、春先に買われやすい傾向があるので注目です。
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また、英ポンド/円に加え、豪ドル/円で20回中14回、カナダドル/円で20回中15回となっていることから、4月は全体的に「円安」の傾向も確認できます。
一方、4月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「米ドル/円は円安になりやすいアノマリーがある」と話題になることがありますが、過去20年で見る限り、米ドル/円の陽線の出現回数と陰線の出現回数は拮抗していて、そのようなアノマリーは認められません。
このアノマリーが話題になるのは、「4月は日本の新年度入りに伴う外貨投資が増加」するためで、特に米ドルへの資金の流入比率が高いことが理由だと言われていますが、以前はそのようなアノマリーがあったものの、近年では確認できないアノマリーになった、という可能性もありそうです。
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ちなみに、日本は4月が新年度入りですが、海外の多くの国では9月からが新年度となります。所説あるようですが、日本は確定申告などの会計処理がおおむね3月だったため4月、海外ではかつて、多くの農家で子供が収穫の手伝いをするため、収穫が終わる時期にあたる9月が年度代わりになったとも言われています。
日足では「8日と28~29日の米ドル安」に注目! さらに、
「4月の英ポンド高」アノマリーは、月初と月末に起こりやすい!
次は日足の統計データの中から、4月に注目したいアノマリーを紹介します。
下の表は、過去20年間における米ドルが絡んだ主要な通貨ペアの4月の日足を数え、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすい傾向があると考えられます。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、8日は豪ドル/米ドルが86%、ニュージーランドドル/米ドルが90%と陽線の出現確率が高く、米ドルが基軸通貨の米ドル/カナダドルは陽線の出現確率が24%と低くなっていて、「米ドル安」のアノマリーがあります。
さらに28~29日にかけても、陽線の出現確率がユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル、ニュージーランドドル/米ドルで57~95%と高く、米ドルが基軸通貨の米ドル/カナダドルで14~19%と低くなっていることから、ここにも「米ドル安」が確認できます。
このことから、4月は「8日と28~29日の米ドル安」に注意が必要です。
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また、同じように英ポンドが絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものが以下の表になります。
これを見ると、英ポンドが絡んだ主要通貨ペアでは、2日に英ポンド/円で79%、英ポンド/米ドルで70%、英ポンド/スイスフランで84%と陽線の出現確率が高く、英ポンドが決済通貨のユーロ/英ポンドは27%と低いことから、「英ポンド高」のアノマリーが確認できます。
また、28~30日にかけても、一部に陽線の出現確率が高い通貨ペアがあるので、冒頭で紹介した月足での「4月の英ポンド高」アノマリーは、月初と月末に起こりやすい可能性があると言えそうです。
4月の株式市場は「日本を除く世界的な株高」に注目!
イースターや中国の清明節が、経済活動を活発にさせている可能性も
次に、為替の動向にも影響を与える株式市場の4月のアノマリーを紹介します。
下の表は世界の主要な株価指数の過去20年間の月足を調べた中から、注目したい株価指数の「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると日本は例外ながら、4月は多くの主要国の代表的な株価指数で陽線の出現回数が多く、「株高」のアノマリーがあります。特に、米国のNYダウの20回中17回、S&P500、英国のFTSE100、香港ハンセン指数の20回中16回などは、いずれも80%以上の確率で陽線が出現していたことになるので注目です。
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この4月の株高は冒頭の為替の月足でも紹介した、キリスト教徒にとって非常に大きなイベントであるイースターに加え、日本のお盆にあたると考えられる中国の清明節などで、世界的に経済が活発化しやすく、さらに新年度入りする日本からも投資資金が流入しやすいことなどが影響していると考えることができそうです。
スワップポイントが3日分付与される「スワップ3倍デー」を狙った取引を
シミュレーション。通貨ペアによっては着実に収益を上げられる可能性も!
最後に、前回のコラムで紹介した「ゴトー日(5・10日)アノマリー」の有効性と同じように、FXのトレードで参考にしてほしい検証結果を紹介します。
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今回紹介するのは「スワップ3倍デー」とも呼ばれる、一般的にFXのスワップポイントが土日の分も含めて3日分付与されるタイミングでトレードを行った場合に、過去10年間で累積の収益がどのようになるかを、MT4(メタトレーダー4)のバックテスト機能を使って行ったものです。
検証では、日本時間で毎週木曜日の午前3時(営業日は水曜日)に米ドル/円の1万通貨の買いポジションを建て、営業日の変わった午前8時に決済するトレードを10年間、繰り返し行いました。
(※あくまで機械的な検証で、営業日ベースでポジションを水曜日から木曜日へ持ち越しても、日本と米国の祝日の関係などでスワップポイントが付与されなかったり、3日分よりも多い日数が付与されたりするときもあります)
その結果が以下のグラフになります。
これを見ると、米ドル/円は局所的な上下動を繰り返しつつ、最終的に収益はマイナスになっています。なお、この累積収益には、スワップポイント分の収益は含まれていません。金額に差はあっても、検証期間中はおおむね買いポジションの保有でスワップポイントを受け取れていましたが、そのことを考慮しても、スワップ3倍デーのタイミングを狙った米ドル/円のトレードでは、着実に収益を積み重ねることができなかったであろうことがわかります。
一方、同じ条件のシミュレーションをユーロ/円で行うと、違った結果が得られました。
その結果が以下のグラフになります。
これを見ると、ユーロ/円では2018年12月の急激な収益の悪化を除き、比較的右肩上がりの推移となり、最終的に9万6000円の収益が得られました。検証期間中は、ユーロ/円の買いポジションを持ち越すことで、スワップポイントを支払わなくてはいけない時期もありましたが、この検証では損切りの設定は行っていないため、もし逆指値注文を出してリスクを管理しておけば、シミュレーション以上の収益が得られていたと考えられます。
今回紹介したデータが、4月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は4月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!