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過去20年の「12月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2022年12月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「12月」のデータを集計して、2022年12月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
12月が終わると年足が確定し、その年の振り返りや翌年のテクニカル的な判断ができるので、とても重要な月になります。
12月は日本円が売られやすく、特にニュージーランドドル/円は
陽線の出現回数が20回中16回と、80%の確率で円安に!
下の表は、日本円が絡んだ主要な通貨ペアについて、過去20年分の月足の「陽線」と「陰線」を数えたものです。
過去20年の月足の「陽線」と「陰線」の出現回数を月別に数えてみると、12月は陽線の出現回数がユーロ/円では20回中15回、ニュージーランドドル/円(NZドル/円)では16回、スイスフラン/円は15回と多くなっています。
特に、ニュージーランドドル/円は20回中16回と、実に80%の確率で陽線になっています。
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12月は日本円が売られ、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が比較的上昇しやすいアノマリーがあることがわかります。
12月はニュージーランドドルにも注目! 日本円やカナダドル、米ドルを
中心に、ニュージーランドドルには買われやすい傾向あり!
さらに、12月にはニュージーランドドルが買われやすいアノマリーもあります。
下の表は、ニュージーランドドルに関連した通貨ペアで過去20年分の月足の「陽線」と「陰線」を数えたものですが、12月を見ると陽線の出現回数がニュージーランドドル/円で20年間中16回、ニュージーランドドル/米ドルで15回、ニュージーランド/カナダドルは16回と多くなっています。
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このことから、12月はニュージーランドドル/円やニュージーランドドル/カナダドルを中心に、ニュージーランドドルが買われやすいことがわかります。
これは、ニュージーランドは南半球の国で季節が日本と逆になるため、ニュージーランドでは12月が収穫の季節となって、乳製品などの輸出が多くなることが理由とも考えられています。
12月の円安はクリスマス以降、年末(月末)に起こりやすい!
26日は豪ドル/円とニュージーランドドル/円で陽線確率が95%に!
次に、日足のデータでアノマリーが出ている日があるか、細かく見ていきましょう。12月は31日間あり、日足のデータを見ることで、月足データではわからなかった詳細なアノマリーがわかります。
下の表は、日本円が絡んだ通貨ペアの、過去20年間の日足の「陽線」と「陰線」の出現回数を日別に数えたものです。これを見ると、先ほど紹介した12月の円安アノマリーは、月末に起こりやすいことがわかります。
12月26日を見てみると、豪ドル/円とニュージーランドドル/円で陽線の出現確率が95%と高くなっていて、さらに27日はユーロ/円の陽線確率が90%、ニュージーランドドル/円は86%、スイスフラン/円は95%と高くなっています。
同様に、29日もニュージーランドドル/円が83%となっているほか、複数の通貨ペアで円安傾向が確認できます。
陽線の出現確率が95%ということは、過去20年間で陰線の出現した回数は1回だけで、あとはすべてで陽線だったということなので、注目したいデータです。
このことから、12月の円安アノマリーは、クリスマスが終わった26日以降から年末にかけて起こりやすいことがわかります。
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月足で見ると12月はニュージーランドドル高になりやすいアノマリーがあると紹介しましたが、日足で見るとこのアノマリーも年末最終週に起こりやすいようです。下の表は、ニュージーランドドルが絡んだ通貨ペアの、過去20年間の日足の「陽線」と「陰線」の出現回数を日別に数えたものです。これを見ると、ニュージーランドドル/米ドルの陽線の出現確率は29日が88%、30日が81%などと、高くなっていることがわかります。
年末には米ドル安のアノマリーもある! 12月27日は、
ユーロ/米ドルで陽線の出現確率が95%と非常に高い!
さらに、年末は米ドル安のアノマリーもあるようです。
下の表は、12月後半(12月18日~12月31日)における米ドルが絡んだ通貨ペアの、過去20年間の日足の「陽線」と「陰線」の出現回数を日別に数えて陽線の出現確率を算出したものですが、クリスマス以降は米ドル安のアノマリーが見られます。
特に、12月27日のユーロ/米ドルは陽線の出現確率が95%と非常に高く、さらに29日は豪ドル/米ドルとニュージーランドドル/米ドルで88%となっています。
また、12月30日はユーロ/米ドルの陽線の出現確率が82%、ニュージーランドドル/米ドルは81%と高く、米ドル/スイスフランは4%と低くなっている(米ドル安・スイスフラン高)ことがわかります。
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米国の中間選挙の翌年には、NYダウ上昇のアノマリーがある!
2023年はまさにその年、NYダウの値動きにも注目!
最後に、今年(2022年)は11月8日(火)に、米国の中間選挙がありました。
中間選挙とは、米国の下院議員全員と上院議員3分の1の議席を改選する選挙で、米大統領の任期4年間の中間の年に行われる選挙のことを言います。
実は、この中間選挙に絡んだアノマリーに、「米国の中間選挙の翌年はNYダウが上昇しやすい」というのがあります。下の表は1990年以降の、米国の中間選挙があった翌年のNYダウのチャートを並べたものです。
これを見ると、右肩上がりなのもあれば、上下しながら最終的に年初を上回っているものなど、途中の値動きはさまざまですが、1991年から2019年までの8回中、2015年以外の7回は年初の株価を年末の株価が上回って終えています。
来年(2023年)は、このアノマリーの対象年となるため、NYダウの値動きにも注目です!
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このように、過去の相場の動きからどういった傾向があったのかを調べるのは、投資の世界では重要なファクターです。もちろん、アノマリーどおりの値動きにならないときもありますが、トレードの参考にはなるはずです。
2022年は、新型コロナウイルスの感染拡大がようやく落ち着くかというタイミングでロシアのウクライナ侵攻が始まり、ロシアが石油や天然ガスの輸出国ということもあって世界中でインフレが加速するなど、世界経済に大きな影響を与えた1年になりました。
また、私個人としても統計データにこれまで以上に真剣に向き合い、本格的にアノマリーアナリストして活動を始めた1年となりました。2023年はデータ収集や分析をよりブラッシュアップして、みなさんのFX投資に役立つ情報を発信していきたいと思います。
次回は1月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!