【※2024年3月の為替予想はこちら!】
2024年3月の為替レート予想は「26日と28日の円安」と「メキシコペソ高」に注意! 米大統領選の年の3月は約71%の確率でNYダウが上がるアノマリーにも注目!


過去20年の「2月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年2月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「2月」のデータを集計して、2024年2月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

2月はリスクオフによる「スイスフラン高」が起こりやすい!?
「豪ドル高」や「トルコリラ安」になりやすいアノマリーも注目!

 はじめに、月足の統計データで2月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、日本のFXトレーダーの取引量が多い米ドル/円、ユーロ/米ドルと、2月に注目したい傾向のある通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

注目通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると2月は、豪ドル/米ドルの陽線の出現回数が20回中14回と多く、2月は70%の確率で「豪ドル高」になりやすいアノマリーがあります。
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 また、2月は永世中立国として知られるスイスの通貨、スイスフランにも注目で、ユーロ/スイスフランは15回、英ポンド/スイスフランは14回、カナダドル/スイスフランは13回と、いずれも陰線の出現回数が多くなっています。

 これらの通貨ペアはスイスフランが決済通貨(分母側)なので、陰線の出現回数が多いということは、「スイスフラン高」のアノマリーがあると見ることができます。

 スイスフランは「リスクオフ通貨」として知られており、有事の際に買われやすい安全資産と考えられています。直近では2020年2月末に新型コロナウィルスが世界中で感染拡大したり、2022年2月にはロシアのウクライナ侵攻が起こったりしているので、2月には「リスクオフ」でスイスフラン買いが起こりやすいアノマリーがあるのかもしれません。

 また、2月はトルコリラ/円の陰線の出現回数が17回中12回と、「トルコリラ安」になりやすいアノマリーも確認できますので、トルコリラ/円を取引している人は注意が必要です。
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米ドル/円とクロス円は、日足で1日と20日の「円安」に注目!
特に20日の米ドル/円は、86%と非常に高い確率の上昇を確認!

 次に、日足の統計データの中から、2月に注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における主要な通貨ペアの2月の日足を数え、その中から日本円が絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、1日にユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円が73%、ニュージーランドドル/円が77%、カナダドル/円が71%と、それぞれ陽線の出現確率が高くなっています。このことから、2月は1日に「円安」のアノマリーがあるため注意が必要です。

 また1日以外にも、20日に米ドル/円、ユーロ/円が86%、英ポンド/円が71%と、陽線の出現確率が高くなっているので、2月は20日にも「円安」方向に動きやすいアノマリーがあることがわかります。

米ドルが絡んだ通貨ペアにも注目。9日は「カナダドル高」、
12日は英ポンド/米ドルと米ドル/スイスフランが上昇

 続いて、日本円ではなく、米ドルが絡んだ通貨ペアの2月の日別の「陽線」の出現確率をまとめた表を見てみましょう。

米ドルが絡んだ通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると2月は、9日に米ドル/カナダドルの陽線の出現確率が低く、「カナダドル高」の傾向があります。

 また、12日は英ポンド/米ドルで83%、米ドル/スイスフランで89%と、それぞれ陽線の出現確率が高くなっていることから、12日には英ポンド/米ドルと、米ドル/スイスフランに上昇しやすいアノマリー確認できます。

 さらに日本円が絡んだ通貨ペアのところでも紹介したとおり、20日は米ドル/円で陽線の出現確率が86%と高くなっており、「米ドル高・円安」になりやすいアノマリーにも注目です。
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米国債の償還に絡んだ2月の円高アノマリーは確認できず。
ただし、豪ドルやニュージーランドドルは償還日に上昇

 ところで、2月は一部の市場参加者の間で「米国債の大量償還と利払いに絡んで円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。これは、米国債の保有残高が1兆ドル超えと、世界でもっとも米国債を保有している日本の投資家が償還と利払いで得た米ドルを日本円に替えるため、米ドル安・円高になりやすいと考えられていることが原因のようです。

 冒頭でも紹介したとおり、2月の米ドル/円は陽線の出現回数が過去20回中12回と、円安よりも円高の回数が多くなっています。

米ドル/円の月足アノマリー情報

 しかし、個人的には70%以上、20回中だと14回以上の偏りがなければアノマリーがあると判断できないと考えていますので、2月の米ドル/円の動きには、アノマリーはないと思います。

 もっとも、日本だけではなく、他の主要国も大なり小なり、米国債を保有しています。

 そこで、米国債の償還が集中する2月15日とその前後の、米ドルが関連した主要通貨ペアの日足データを調べてまとめたのが以下の表になります。

米ドルが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報2

 これを見ると、米ドル/円の陽線の出現確率は60%なので、アノマリーはないと判断しましたが、豪ドル/米ドルとニュージーランドドル/米ドルは70%なので、アノマリーがあると考えられます。

 オーストラリアとニュージーランドの米国債の保有残高はそれほど多くはありませんが、米国債の償還や利払いによって得た米ドルを豪ドルやニュージーランドドルに変える動きから、このようなアノマリーが発生しているのかもしれません。

2月は旧正月に伴う経済の活発化で世界的に株価が上昇!?
新NISAのスタートによる、円売り・米ドル買いにも注目か

 最後に、為替の動向にも影響を与える株式市場の2月のアノマリーも紹介します。

 下の表は主要株価指数の過去20年間の月足を調べた中から、日米の主要株価指数と注目したい株価指数の、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

主要株価指数の月足アノマリー情報

 これを見ると、2月は中国の上海証券取引所に上場する全銘柄で構成された上海総合指数の陽線の出現回数が、20回中16回と多くなっています。

 中国では2月に春節(旧正月)の連休があり、これに伴って経済活動が活発化するため、株価が上昇しやすいとも考えられます。

 そして以下の表は、注目したい株価指数の過去20年間の週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足の統計データです。「週間平均」は2024年のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値です。

主要株価指数の週足アノマリー情報

 今年、2024年の春節は2月10日(土)から始まり、中国では12日(月)~16日(金)にかけて株式市場が休場となりますが、上の表を見ると過去20年の上海総合指数は、旧正月の前後となる2月の第2週や第3週あたりに、上昇しやすいアノマリーがあることがわかります。

 また2月の3週目は、週間平均でNYダウが74%、カナダのトロント総合指数が76%、欧州のSTOXX50(ユーロ・ストックス50指数)が80%、英国のFTSE100が86%と、いずれも「株高」のアノマリーが確認できます。例年、中国の旧正月の期間には多くの中国人が海外へ旅行するため、世界的に経済活動が活発になり、そのことが株価の上昇につながっているのかもしれません。
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 日本では「新NISA」と呼ばれる制度が2024年から始まりました。

 新NISAは、従来のNISA(少額投資非課税制度)よりも年間の投資枠や非課税となる保有限度額が拡大し、非課税となる保有期間も無制限へと変更されたもので、海外の金融商品への投資額も、これまで以上に拡大することが予想されています。

 実際、新NISAで人気の投資信託「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」には、2024年1月9日だけで1000億円以上の流入があったと報道されており、新NISAがスタートしたことで海外、特に世界一の経済大国である米国に関連した金融商品への投資が一段と活発になって、為替市場では円売り・米ドル買いの動きが強まる可能性もあります。

 このことから、FXをメインにトレードしている方も、通貨ペアだけでなく、株価の動向はチェックしておくのがおすすめです。

 今回紹介したデータが、2月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は3月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!


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