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過去20年の「11月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年11月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「11月」のデータを集計して、2023年11月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
11月は南アフリカランド/円の「円安アノマリー」に注目!
12月の「ニュージーランドドル高」を見据えた準備も必要か
はじめに、月足の統計データで11月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、11月と12月に注目したい傾向のある通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、11月は南アフリカランド/円で陽線の出現回数が14回と多く、円安になりやすいアノマリーがあります。
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また、翌12月には、ニュージーランドドル/円とニュージーランドドル/米ドルで15回、ニュージーランドドル/カナダドルで16回と、いずれも陽線の出現回数が多く、12月にニュージーランドドル高のアノマリーがあることもわかります。
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このことから、11月は南アフリカランド/円の円安に期待しつつ、12月のニュージーランドドル高を見込んで投資戦略を練る時期と言えそうです。
なお、本記事の最後で詳しく紹介していますが、米ドル/円などの日本円が絡んだ主要な通貨ペアでは、11月に目立った傾向は確認できませんでした。
日足では1日の「ニュージーランドドル高」、
13日の「米ドル安」と27日の「米ドル高」アノマリーに注目!
次に、日足の統計データの中から、注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。
下の表は、過去20年間における主要な通貨ペアの11月の日足を数え、その中から注目したい通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線(円安)になりやすく、確率が低ければ陰線(円高)になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、まず、11月は1日にニュージーランドドル/米ドルの陽線の出現確率が81%と高く、「ニュージーランドドル高」になりやすいアノマリーがあることがわかります。
また、13日はユーロ/米ドルとニュージーランドドル/米ドルで70%、豪ドル/米ドルは75%と高く、米ドルが基軸通貨(分子側)の米ドル/スイスフランは30%と低いため、「米ドル安」になりやすいアノマリーが確認できます。
さらに、27日は米ドル/カナダドルで90%、米ドル/スイスフランで85%と高く、米ドルが基軸通貨(分子側)のユーロ/米ドルは25%、英ポンド/米ドルと豪ドル/米ドルは30%と低いため、「米ドル高」になりやすいアノマリーがあります。
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このことから、11月は1日の「ニュージーランドドル高」、13日の「米ドル安」、27日の「米ドル高」に注目です。
「米国債の償還に絡んだ円高」や「45日ルールに関連した株安」は
確認できず。むしろ、11月の米国株には「株高」のアノマリーがある!
ところで、11月は一部の市場参加者の間で「米国債の償還期限が集中しているため、外貨を日本円に戻す動きが活発化して円高になりやすい」というアノマリーや、「ヘッジファンドの45日ルールに関連して株安になりやすい」というアノマリーが話題になることがあります。
ヘッジファンドの「45日ルール」とは、ヘッジファンドへの出資の解約は決算日の45日前までに行わなければならないというものです。12月末が決算のヘッジファンドを解約する場合、出資者は11月中旬までに解約通知をおこなう必要があるので、そのタイミングでヘッジファンドから解約に伴う決済のフローが集中して、株価が下落しやすいと考えられています。株安はリスクオフの円高を誘引しやすいので、この観点からも11月は円高圧力がかかりやすいと言われているようです。
しかし、日本円が絡んだ主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたところ、下の表のように11月に目立った偏りの確認できる通貨ペアはありませんでした。
また、米国と日本の主要な株価指数の月足でも「陽線」の出現回数を調べてみました。
上の表のように、11月はNYダウとS&P500は14回、ナスダックは16回と、米国の主要株価指数はいずれも陽線の出現回数のほうが多くなっています。
このことから、近年では11月に米国債の償還に絡んだ円高や45日ルールに絡んだ株安の傾向は存在せず、米国株には「株高のアノマリー」があることがわかります。
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今回紹介したデータが、11月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は12月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!