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過去20年の「9月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2023年9月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「9月」のデータを集計して、2023年9月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。

9月は10月に高確率で上昇する高金利通貨ペアや、12月のニュージー
ランド高アノマリーを見据えたポジションの仕込みどき!

 はじめに、月足の統計データで9月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は過去20年間の月足を調べ、主要通貨ペアと注目したい通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

月足アノマリー情報

 これを見ると、9月に目立った偏りが確認できる通貨ペアはありません。しかし、翌月の10月には、高金利通貨ペアとして有名なトルコリラ/円で17回中10回、メキシコペソ/円で17回中13回、中国人民元/円で12回中10回も陽線が出現していて、10月は高金利通貨ペアで「円安」になりやすいアノマリーがあります。

 このことから、9月はスワップポイントによるインカムゲインと、為替差益によるキャピタルゲインを同時に得るために、高金利通貨ペアの買いを仕込む絶好の期間と言えるでしょう。
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 また、9月は8月の夏枯れ相場が終わり、年末に向けたトレンド発生の起点になりやすい季節です。

 特に、ニュージーランドでは12月頃から主要な農産物の収穫時期に入るため、ニュージーランドドルには年末に向けて買われやすいアノマリーがあります。今年(2023年)もこのアノマリーどおりになると見込むなら、9月はニュージーランドドル/円やニュージーランドドル/米ドルの買いを仕込み始めるのにもよい時期になるでしょう。

9月のリパトリに伴う米ドル/円の下落アノマリーは確認できず。
過去20年は陽線と陰線が拮抗、近年は傾向が薄れてきたか

 ところで、9月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「本邦企業のリパトリエーション(リパトリ)に伴うフローの増加で、米ドル/円には円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。

 リパトリエーションとは、日本語では“本国への資金還流”と訳されることが多い、企業が海外で得た利益などを本国へ戻す行動のことです。つまり、9月は企業決算に向けて、輸出企業を中心に米ドルなどの外貨を日本円へ戻す動きが増えるため、特に米ドル/円で円高になりやすいと考えられているようです。

米ドル/円の月足アノマリー情報

 しかし、改めて米ドル/円の月足アノマリーを確認しても、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数はそれぞれ10回と拮抗していて、過去20年に限って言えば、9月に米ドル/円で円高になりやすいアノマリーは確認できません

 ただ、1998年から2007年までの10年間では10回中9回が円高と、強い円高アノマリーが確認できた時期もありました。おそらく、昔は有効なアノマリーだったものの、近年では為替の変動リスクをヘッジするためのオプション取引や為替予約などが普及した結果、傾向が薄れてきたとも考えることができそうです。
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9月3週目の円安アノマリーに注目! 特に、過去20年の統計データでは
9月11日にユーロ/円、ポンド/円などで陽線の出現確率が86%に!

 次は、週足の統計データを見てみましょう。

 下の表は、主要通貨ペアにおける、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計し、2003~2012年の10年間、2013年~2022年の10年間、2003~2022年の20年間の出現確率をまとめた週足の統計データの中から、9月中旬あたりの期間を抽出したものです。「週間平均」は今年(2023年)のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値です。

週足アノマリー情報

 上の表を見ると、9月11日からの週は週の初めに円安になりやすい傾向があるようで、英ポンド/円、ニュージーランドドル/円は過去20年の統計、メキシコペソ/円は過去16年の統計で、11日の陽線の出現確率が80%超に達しています。その中でも、メキシコペソ/円は直近の10年(2012~2022年)に限ると、9月10日と11日が含まれる週の陽線の出現確率は100%となっています。

 このことから、9月は3週目あたりの円安アノマリーに注目です。

日足では12日の米ドル安とニュージーランド高、21日の
ニュージーランド安、29日のユーロ高に注目!

 最後に、日足の統計データの中からも、注目しておきたいアノマリーをいくつか紹介しましょう。

 まずは、米ドルが絡んだ主要な通貨ペアです。下の表は、過去20年間の9月の日足を集計し、その中から一部の期間を抽出したものです。

米ドル関連ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、9月12日には米ドル安のアノマリーがあり、陽線の出現確率が、ユーロ/米ドルは71%、英ポンド/米ドルは81%、ニュージーランドドル/米ドルは76%と高く、米ドルが基軸通貨(分子側)の米ドル/スイスフランは19%と低くなっています。

 また、下の表はニュージーランドドルに関連する日足の統計データですが、9月12日にはニュージーランドドル高のアノマリーがあり、ニュージーランドドル/円、ニュージーランドドル/米ドル、ニュージーランドドル/カナダドルの陽線の出現確率が76%と高くなっています。

ニュージーランドドル関連ペアの日足アノマリー情報

 さらに、ニュージーランドドルには15日と18日にも偏りがあり、15日はニュージーランドドル/スイスフランで陽線の出現確率が82%、豪ドル/ニュージーランドドルは18%となっていて、18日はニュージーランドドル/円とニュージーランドドル米ドルが75%、ユーロ/ニュージーランドドルと英ポンド/ニュージーランドドルは25%と、ニュージーランド高の傾向が確認できます。

 一方で、9月21日はニュージーランドドル/円とニュージーランドドル/スイスフランの陽線の出現確率が8%、ユーロ/ニュージーランドドルは77%、英ポンド/ニュージーランドドルは77%となっていて、21日にはニュージーランド安のアノマリーがあります。
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 そして、今年9月の最終営業日となる9月29日は、ユーロ/英ポンドとユーロ/豪ドルの陽線確率が86%、ユーロ/ニュージーランドドルが82%、ユーロ/カナダドルが78%と、 29日にはユーロ高のアノマリーがあることもわかります。
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ユーロ関連ペアの日足アノマリー情報

 今回紹介したデータが、9月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は10月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!