賢い人ほど騙される
心と脳に仕掛けられた「落とし穴」のすべて
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賢い人ほど騙される
心と脳に仕掛けられた「落とし穴」のすべて
書籍情報
- ロブ・ブラザートン 著/中村千波 訳
- 定価:2200円(本体2000円+税10%)
- 発行年月:2020年07月
- 判型/造本:46並
- 頁数:392
- ISBN:9784478068861
内容紹介
人はなぜありえない陰謀論を信じてしまうのか? 秘密結社、反ワクチン運動、ケネディ暗殺の真相、アポロ月面着陸疑惑……賢い人ほど落とし穴にハマるそのわけを心理学的に解説する。テロや災害が起こるたび、SNS上で「ありえない噂」が飛び交うフェイクニュース時代に、正しい情報を見抜くための必読書。
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目次
プロローグ “ウサギの巣穴”に落ちる
この世のすべてが陰謀だ
心が無秩序を埋め合わせるとき(または、整理整頓の予想外の効果)
裏で糸を引いているのは「誰」なのか?
私たちはみな陰謀論者?
第1章 陰謀論の時代 ── 古代ローマからソーシャルメディアへ
ソーシャルメディアで陰謀論が増えた、は本当か?
皇帝ネロは本当にローマを燃やしたのか? ── 古代世界の陰謀論
イルミナティ・パニック ── 陰謀論を進化させた画期的出来事その1
シオン賢者 ── 陰謀論を進化させた画期的出来事その2
ユダヤ人を苦しめてきた「嘘」の歴史
眉唾本が予言書となるとき
第2章 陰謀論が引き起こす重すぎる「害」 ── ヒトラーの虐殺から反ワクチンまで
テロを引き起こす『議定書』という出版物
ヒトラーに「大虐殺の許可証」を与えたものとは
陰謀論者たちが起こしたテロリスト顔負けの事件
ワクチン接種を疑う人たち
「不満を持つ親たち」は、いかなる“敵”と戦っているのか?
天然痘と反ワクチン運動
架空の敵と戦う勇者という「自画像」 ── だから、陰謀論は論破できない
第3章 陰謀論にハマった人の思考回路 ── 6つのスタイル
9.11の主犯は「誰」か?
「答えのない疑問」を対象とする ── 陰謀論支持者のスタイル1
なぜ「表向きの話」を嫌うのか? ── 陰謀論支持者のスタイル2
すべてのものはコントロールされている ── 陰謀論支持者のスタイル3
関係しているものすべてが悪 ── 陰謀論支持者のスタイル4
どんなものにも異常を求めて ── 陰謀論支持者のスタイル5
「いずれにしても陰謀だ」 ── 陰謀論支持者のスタイル6
陰謀論の実用的な定義を授けよう
第4章 私たちはなぜこんなにも「陰謀好き」なのか? ── 信じる人の言い分
陰謀論者を貶めるための陰謀がある?
#FalseFlag(#偽旗)という定番の疑い
1つの陰謀が、さまざまな形で
もう死んでるし、まだ生きてる ── ビン・ラディンを巡る相反する陰謀論
結局みんな“陰謀好き”
第5章 「誰」が陰謀論にハマるのか? ── 日常に潜む妄想の罠
「すばらしい新世界」とアルミホイルの帽子
陰謀論者は「パラノイド・スタイル」なのか?
大衆が陰謀論に熱狂するとき
日常に潜む妄想の罠
無力で疎外されている人に忍び寄るささやき声
「賢明な被害妄想」という心の基本機能
史上最悪の「悪い血」実験 ── 少数派が陰謀を疑う正当な理由もある
裏にある秘密を想像せずにはいられない
第6章 知りたがりの心が“知識”に酔うとき ── 賢い人ほど騙される理由
「秘密の会議」の反対集会に集まった2000人もの人たち
騙されやすい心 ── むしろ知的な人ほど
開放的な心 ── むしろ慣習にとらわれない人ほど
信じさせるのにカリスマ的リーダーなんていらない
知る勇気を持て! ── 陰謀論者と啓蒙思想家の共通点
「自分が思っているよりもわかっていないと思う」
未知の未知 ── 自信過剰な私たち
グーグル大学の学生にご用心
少しの知識が脳を酔わせる
第7章 神話とそっくりな陰謀論 ── ストーリーの力が心を曇らせる
人類を支配する爬虫類人 ── ある男の空想
むかしむかし…… ── 人類最古の物語に見るストーリーの力
ダビデとハリー・ポッターの共通項「不利な立場の強み」
自分を英雄視する ── 陰謀論者がかくもしぶとい理由
他人を罰するのが好き ── 最後通牒ゲームで明かされる正義感の正体
「純粋な悪の神話」という錯誤
世界を白か黒かという物語でしか見られない
第8章 偶然の一致に耐えられない ── 点と点をつなぎたがる心
ケネディ暗殺と「アンブレラマン」の奇妙すぎる謎
目のいたずら ── そもそも見間違うようにできている
火星に人工の運河がある?
写真から次々見つかる暗殺者
心のいたずら ── そもそもパターンを取り違えるようにできている
偶然の一致に意味を見いだしすぎる脳
機能していないボタンなのに ── 因果関係を探さずにはいられない
その症状、本当にワクチン接種のせいなのか?
覚えておきたい原則「本当、本当、無関係」
「アンブレラマン」の真相。そして教訓
第9章 「意図探知機」と化す人々 ── こうして動機すらでっち上げられる
消えたマレーシア航空370便はどこへ?
心の理論のツールキット「意図探知機」
「円が長方形の中に入る」だけなのに
この世に偶然なんてない……本当に?
「誰かが糸を引いている」 ── 意図探知機は陰謀論の味方?
あなたは、私が考えていることを考えていますか? ── 投影という心の道具
「お互いさま」で現実化するリアルな陰謀
動機をでっち上げ、衝動を投影する
第10章 脳の気まぐれ「比例バイアス」 ── 真実がときに不人気となるわけ
「本当は誰がケネディを殺したのか?」
普通に考えるとありえない“容疑者”の数々
ケネディの陰謀論とレーガンの陰謀論の人気の差
脳の気まぐれ「比例バイアス」
原因と結果の規模を一致させたがる脳 ── サイコロから第一次世界大戦まで
なぜハリケーン・カトリーナの陰には気象操作技術があったなんて思うのか?
命中すれば陰謀、失敗すればただの事件
大統領の死の「真実」がなぜ不人気なのか
第11章 心はいつも「結果ありき」 ── 「確証バイアス」で歪められる証拠
空軍キャンプの宇宙船騒ぎ ── モルダーとスカリー、2通りの反応
尋ねよ、さらば見いださん ── 確証バイアスとその特徴1
「歴史的アポフェニア」の妖しい魅力
核兵器賛成派と反対派の議論はなぜ平行線をたどるのか
どう見るかによる ── 確証バイアスとその特徴2
オバマの受難
議論の余地のないものを否定する ── 確証バイアスとその特徴3
右か左か、リベラルか保守か、どっちがハマりやすい?
私たちは、いつだって理由を探している
エピローグ 人間だけが持つ「心」の陰で
謝辞 「誰」がこの本を書かせたのか?
出典と許諾
参考文献と注記
著者
ロブ・ブラザートン(Rob Brotherton)
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ客員研究員。「The Skeptic Magazine」誌のアシスタント・エディター。陰謀論を心理学的観点から分析、解説することにおける第一人者。「New Scientist」誌、「The Skeptic Magazine」誌、また自身のサイトに陰謀論についての著述を載せている。現在ニューヨーク市在住。
訳者
中村千波(なかむら・ちなみ)
翻訳者。慶應義塾大学理工学部卒。共訳書に『マカロニ・ボーイ』(バベルプレス)。ほか、翻訳協力多数。
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