過去20年の「9月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年9月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「9月」のデータを集計して、2024年9月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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9月は10月に高確率で上昇するメキシコペソ/円や、
年末のニュージーランド高アノマリーを見据えたポジション作りの好機!
はじめに、月足の統計データで9月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、米ドル/円、ユーロ/米ドルなどの主要通貨ペアと、注目したい通貨ペアの「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、9月に目立った偏りが確認できる通貨ペアはありません。しかし、翌10月にはスワップポイントの水準が高く、高金利通貨ペアとして日本のFXトレーダーに人気のメキシコペソ/円で17回中13回、また、中国人民元/円では12回中10回と陽線の出現回数が多くなっていて、「円安」のアノマリーがあります。
このことから、9月はスワップポイントによるインカムゲインと為替差益によるキャピタルゲインの両方が狙える10月に向けて、メキシコペソ/円や中国人民元/円の買いポジションを仕込む、絶好のタイミングといえるでしょう。
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また、9月は7月からの夏枯れ相場が終わり、年末に向けたトレンド発生の起点になりやすい季節です。たとえば、豪ドル/円の陽線の出現回数は10月が13回、11月が12回と、いずれも「アノマリー」とまでは言えませんが、年末に向けて「豪ドル高」になりやすい傾向はあります。
そして、ニュージーランドドルは、ニュージーランドが12月ごろから主要農産物の収穫時期に入ることもあってか、例年、年末に向けて買われやすくなります。実際に12月の月足では、陽線の出現回数がニュージーランドドル/円とニュージーランドドル/米ドルは20回中15回、ニュージーランドドル/カナダドルは16回と、「ニュージーランド高」のアノマリーがあります。
今年(2024年)もアノマリーどおりの動きになるのであれば、9月は年末にかけて上昇が期待できるニュージーランドドル/円やニュージーランドドル/米ドルの買いを検討するのに適した時期になりそうです。
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「9月はリパトリで円高傾向」というアノマリーは確認できず!
「10回中9回」円高だったこともあるが、近年は傾向が薄れたか
ちなみに、9月は一部のトレーダーや市場参加者の中で、「本邦企業のリパトリエーション(本国への資金還流)に伴うフローが増加し、米ドル/円は円高になりやすいアノマリーがある」と話題になることがあります。
企業決算が集中する9月は、輸出企業を中心に海外で得た利益などを日本円へ戻す動きが増える傾向にあり、特に米ドルを日本円に替えるフローによって、米ドル/円で円高になりやすいと考えられているようです。
しかし、米ドル/円の9月の月足を改めて確認すると、陽線の出現回数が11回、陰線の出現回数が9回と拮抗していて、過去20年を見る限りでは、9月に米ドル/円の円高アノマリーは確認できません。
もっとも、詳しいデータは割愛しますが、1998年から2007年までの10年間のデータでは、陽線の出現回数が10回中1回しかないという、かなり強い「円高」アノマリーがありました。こうした時期があったことで、9月は円高になりやすいという印象を持っている市場参加者が多いのだと考えられます。
また、かつては有効なアノマリーだったものの、為替の変動リスクをヘッジする目的のオプション取引や為替予約などが普及した結果、近年は円高の傾向が薄れてきたとも考えることができそうです。
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日足では「2日と2週目の円安」に注目! ユーロは17日に
「ユーロ高」となる一方、最終日には「ユーロ安」に!
次は日足の統計データの中から、9月に注目したいアノマリーを紹介します。
下の表は、過去20年間における日本円が絡んだ主要な通貨ペアの9月の日足を数えて、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすい傾向があると考えられます。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、9月は2日に陽線の出現確率がカナダドル/円で81%、スイスフラン/円で76%、米ドル/円とニュージーランドドル/円で71%と高く、「円安」のアノマリーが確認できます。
また、10日から12日にかけてもユーロ/円で74~86%、スイスフラン/円で70~74%と陽線の出現確率が高くなっていて、この期間にも「円安」のアノマリーが確認できます。
このことから、9月は2日と2週目の「円安」アノマリーに注目です。
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さらに、9月はユーロにもいくつかのアノマリーがあります。
以下の表は、過去20年間のユーロが絡んだ主要通貨ペアにおける、9月の日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。
これを見ると、9月は17日にユーロ/豪ドルで90%、ユーロ/円、ユーロ/ニュージーランドドル、ユーロ/カナダドルで79%と陽線の出現確率が高く、「ユーロ高」のアノマリーがあります。
一方、最終日の30日は、ユーロ/米ドルで29%、ユーロ/英ポンドで24%、ユーロ/豪ドル、ユーロ/カナダドルで19%、ユーロ/ニュージーランドドルで14%と陽線の出現確率が低く、「ユーロ安」のアノマリーが確認できます。
このことから、9月は17日の「ユーロ高」と、30日の「ユーロ安」にも注目しておきましょう。
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9月に日米の株価指数のアノマリーは確認できないが、
年末の「株高」に向けて仕込みを始めるべき時期
最後に、為替の動向にも影響を与える株式市場の9月のアノマリーも紹介します。
下の表は日米の主要株価指数の過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、日経平均やNYダウなどの日米の主要株価指数に、9月は目立った偏りが確認できません。しかし、11月は表に掲載したすべての株価指数に「株高」のアノマリーがあり、12月も日経平均、TOPIX、S&P500で「株高」が確認できます。そのため、9月は年末の株高アノマリーを見越して、投資対象を選別するのによい時期といえるかもしれません。
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今回紹介したデータが、9月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は10月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!