過去20年の「7月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年7月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!
為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「7月」のデータを集計して、2024年7月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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7月は全体的な「円高傾向」に注意が必要か? トルコリラ/円や
中国人民元/円は、10月に向けた仕込みのチャンス!?
はじめに、月足の統計データで7月のアノマリーを確認していきましょう。
下の表は31の主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、日本のFXトレーダーの取引量が多い米ドル/円、ユーロ/米ドルなどの主要通貨ペアと、7月に注目したい傾向のある通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、7月は陰線の出現回数が米ドル/円で20回中12回、トルコリラ/円で17回中11回、そして近年、日本のFXトレーダーからの注目が高まっている中国人民元/円は12回中10回と、陰線の出現回数が陽線の出現回数を上回っています。
個人的には、70%以上の偏りがなければアノマリーがあると判断できないと考えていますので、米ドル/円(60%)やトルコリラ/円(64%)には円高のアノマリーはないといえますが、中国人民元/円(約83%)には「円高」アノマリーが確認できます。また、それ以外のクロス円もアノマリーとは呼べないものの、陰線の出現回数が陽線の出現回数を上回っているペアが多いので、7月は「全体的に円高になりやすい傾向」にあると考えることができそうです。
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こうした傾向は、いわゆる「夏枯れ相場」と呼ばれるアノマリーが影響している可能性があります。「夏枯れ相場」とは、日本のお盆休みや海外のバケーションシーズンなどの長期休暇に向けて、多くの投資家が保有しているポジションをいったん整理したり、取引を手控えたりすることで起きると考えられている現象です。
夏枯れ相場のときは市場参加者が減るので、一般的な傾向としては値動きが小幅になりやすいのですが、特にマイナーな通貨ペアではボラリティが下がるこの時期を狙って機関投資家が大きな注文を出し、相場の急変動を起こしやすい季節にもなります。
したがって、ポジションを持っている人は一定の注意が必要ですが、裏を返すと、もし夏枯れ相場による相場の急変動があれば、そこはチャンスと捉えることもできそうです。
たとえば、先ほどの月足における「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめた表を見ると、10月にトルコリラ/円で17回中11回、中国人民元/円で12回中10回と陽線の出現回数が多く、「円安」になりやすい傾向が確認できます。
つまり、中国人民元/円やトルコリラ/円で7月以降の円高局面に買いポジションを建て、スワップポイント(スワップ金利)によるインカムゲインを積み上げながら、10月の円安アノマリーで為替変動によるキャピタルゲインも狙う、という戦略を検討することもよさそうです。
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日足では5日の米ドル高と、18日と22日の米ドル安に警戒!
さらに、12日と18日の豪ドル高アノマリーにも注目!
次は日足の統計データの中から、7月に注目したいアノマリーを紹介します。
下の表は、過去20年間における米ドルが絡んだ主要な通貨ペアの7月の日足を数えて、日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
これを見ると、7月は5日に陽線の出現確率が米ドル/カナダドルと米ドル/スイスフランで86%、米ドル/円で71%と高く、米ドルが決済通貨(分母側)の英ポンド/米ドルは19%と低くなっています。それ以外にも、主要通貨ペアの多くで米ドル高になる確率が高いことから、5日には「米ドル高」になりやすいアノマリーがあるとわかります。
また、18日には米ドル/カナダドルに「米ドル安」、22日にはユーロ/米ドルに「米ドル安」のアノマリーがあるため、こちらもあわせて注目しておきましょう。
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さらに、月の半ばには「豪ドル」にもアノマリーがあります。
以下の表は過去20年間における豪ドル絡んだ主要な通貨ペアにおける、7月の日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。
これを見ると、12日の陽線の出現確率が豪ドル/米ドルで70%、豪ドル/ニュージーランドドルで74%、豪ドル/スイスフランで88%と高く、豪ドルが決済通貨のユーロ/豪ドルは17%、英ポンド/豪ドルは22%と低くなっていて、多くの通貨ペアで「豪ドル高」のアノマリーがあります。
また、18日も豪ドル/円で90%、豪ドル/ニュージーランドドルで81%、豪ドル/スイスフランで71%と高く、英ポンド/豪ドルは29%と低いため、「豪ドル高」のアノマリーが確認できます。
このことから、7月は12日と18日の「豪ドル高」にも注目です。
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7月は世界的な株高にも注目! 過去20年でNYダウは16回、
ナスダック総合指数とS&P500は15回も陽線が出現!
最後に、為替の動向にも影響を与える株式市場の7月のアノマリーも紹介します。
下の表は主要株価指数の過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。
これを見ると、日本の日経平均株価とTOPIXには目立った偏りがないものの、米国のNYダウは20回中16回、ナスダック総合指数とS&P500は20回中15回と陽線の出現回数が多く、「米国株高」のアノマリーが確認できます。
この7月の「米国株高」アノマリーは、主に米国の株式市場で話題になることがある「サマーラリー」が影響していると思います。「サマーラリー」とは、7月4日の米国の独立記念日から9月第1月曜日のレイバー・デー(今年は9月2日)までの期間は、株価が上昇しやすいというもので、多くの投資家の間で夏のバカンスシーズン前に上昇が見込める優良株を買い、長期休暇に備えておこうという思惑が働くことが原因で起こる現象と言われています。
この「サマーラリー」で米国に株高アノマリーが生じ、さらにカナダ、ユーロ圏、スイス、中国などでも主要株価指数で陽線の出現回数が陰線の出現回数よりも多くなっていることから、7月は世界的な株高にも注目です。
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今回紹介したデータが、7月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は8月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!