過去20年の「6月」の為替市場の値動きを徹底的に検証!
2024年6月のFXトレードで使える「アノマリー」を探せ!

 為替市場には、さまざまな「アノマリー」が存在します。「アノマリー」とは、理由や要因が明確にあるわけではないが、なぜかそうなりやすい現象のことです。たとえば、バケーションシーズンで海外旅行に行く人が増えることによる外貨への両替需要、グローバル企業の決算時期や輸出・輸入企業などの実需の動きなどが影響して、例年、決まった時期に特定の通貨が買われやすい傾向などがあると考えられています。

 特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。

 この連載では、為替市場の過去の値動きデータを月ごとに検証して、上記のような「アノマリー」を探しています。今回は過去の「6月」のデータを集計して、2024年6月のFXトレードで活用できる「アノマリー」を探してみました。
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6月は「英ポンド高」と「スイスフラン高」に注目!
近年は「米ドル安・スイスフラン高」の傾向がより明確に!

 はじめに、月足の統計データで6月のアノマリーを確認していきましょう。

 下の表は主要通貨ペアの過去20年間の月足を調べた中から、日本のFXトレーダーの取引量が多い米ドル/円、ユーロ/米ドルなどの主要通貨ペアと、6月に注目したい傾向のある通貨ペアの、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

注目通貨ペアの月足アノマリー情報

 これを見ると、6月は英ポンド/円で陽線の出現回数が20回中14回と多く、70%の確率で「英ポンド高・円安」となるアノマリーがあることがわかります。
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 また、米ドル/スイスフランでは陰線の出現回数が20回中14回と多くなっています。しかも、米ドル/スイスフランは直近10年間のデータに限れば、陰線の出現回数が10回中8回となっていて、近年はより「米ドル安・スイスフラン高」になりやすい傾向が確認できるので、ぜひ注目してください。

 これは、前回の記事でもご紹介しましたが、スイスが5月から春の観光シーズンとなり、自然が豊かなスイスに花見やアルプスハイキングを目的とした海外からの観光客が増えることで、スイスフランへの需要が増えるためだと思われます。
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6月2週目に「豪ドル高」と「ニュージーランドドル高」のアノマリー!
特に5日と6日の直近10年は、100%の確率で陽線が出現!

 次に週足の統計データを見ると、6月はまず2週目に、豪ドル/円やニュージーランドドル/円でアノマリーが確認できます。

 下の表は、過去20年間の主要通貨ペアの週足を調べ、それぞれの日が含まれる週足の「陽線の出現確率」を日別に集計した週足統計データの中から、6月の2週目に注目したい傾向のある通貨ペアを抽出したものです。「週間平均」は今年(2024年)のカレンダーをもとに、週足に含まれる各日の陽線の出現確率から算出した平均値で、確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすいということがわかります。

注目通貨ペアの6月2周目の週足アノマリー情報

 これを見ると、6月の2週目(今年は6月3~7日が営業日)は、豪ドル/円に83%の確率で「豪ドル高・円安」、ニュージーランドドル/円に79%の確率で「ニュージーランドドル高・円安」と、強いアノマリーが確認できます。しかも、直近10年の5日と6日は、両方の通貨ペアが100%の確率で上昇しているので特に注目です。
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 さらに、4週目(今年は6月16~21日が営業日)には、ユーロ/スイスフランとユーロ/英ポンドにアノマリーがあります。

注目通貨ペアの6月4週目のアノマリー情報

 特に、ユーロ/スイスフランは陽線の出現確率が低く、直近10年では19日から21日にかけて、陰線がまったく出現しなかった強い「ユーロ安・スイスフラン高」が確認できます。

 そして、5週目(今年は6月24~28日が営業日)は英ポンドが絡んだ通貨ペアに注目です。

注目通貨ペアの6月5週目の週足アノマリー情報

 ユーロ/英ポンドの陽線の出現確率が80%を超えており、4週目に続いて「ユーロ高・英ポンド安」が確認できます。また、英ポンド/スイスフランは週間平均が19%と、「英ポンド安・スイスフラン高」のアノマリーがあるので、5週目は英ポンドに売られやすい傾向がありそうです。

日足では4日と21日の「円安」と、21日の「米ドル安」に
注目。米ドル/円は、4日の陽線の出現確率が79%!

 次は、日足の統計データの中から、6月に注目しておきたいアノマリーを紹介しましょう。

 下の表は、過去20年間における主要な通貨ペアの6月の日足を数え、その中から日本円が絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすいということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。

日本円が絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、4日は米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円で70%台、スイスフラン/円で84%と、多くの通貨ペアで陽線の出現確率が高く、「円安」のアノマリーがあることがわかります。
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 また、21日も陽線の出現確率が英ポンド/円で92%、スイスフラン/円で79%、豪ドル/円で73%、ユーロ/円は70%となっています。

 このことから、6月は「4日と21日の円安」に注目です。
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 また、同じように米ドルが絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものが以下の表になります。

米ドルが絡んだ主要通貨ペアの日足アノマリー情報

 これを見ると、米ドルが絡んだ主要通貨ペアでは、陽線の出現確率が21日にユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル、ニュージーランドドル/米ドルで70%台と高く、米ドルが基軸通貨の米ドル/スイスフランで30%と低くなっています。

 このことから、6月は21日の「米ドル安」のアノマリーにも注目です。

主要株価指数で、6月に目立った傾向は見当たらず。
ただし、20~24日の「日本株高・米国株」安には警戒!

 最後に、為替の動向にも影響を与える株式市場の6月のアノマリーも紹介します。

 下の表は主要株価指数の過去20年間の月足を調べ、「陽線」の出現回数と「陰線」の出現回数をまとめたものです。

主要株価指数の月足アノマリー情報

 これを見ると、6月は日経平均で陽線の出現回数が20回中13回とやや多いものの、アノマリーといえるほどの強い傾向は確認できません。

 しかし週足データでは、日米の株価指数で4週目から5週目あたりにアノマリーが確認できます。

日米の主要株価指数の週足アノマリー情報

 これを見ると20~24日にかけて、日経平均の陽線の出現確率が67~76%と高く、反対に米国のNYダウは20~27%と低くなっています。つまり、6月は4週目の後半から5週目の前半に「日本株高・米国株安」のアノマリーがあるので、為替の動向とあわせて注目しておきましょう。
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 今回紹介したデータが、6月のFXトレードの参考になれば幸いです。次回は7月のアノマリーを紹介しますので、お楽しみに!