ブックタイトルシックス 2018 SPRING
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シックス 2018 SPRING
038こういうモードです、というときのモード、そのモードを変えた人が、女性服の領域では、ココ・シャネルです。イブ・サンローランは女性にパンツスーツを着せてパワーを与え、ジョルジオ・アルマーニは管理職の女性にふさわしい威厳をはじめて与えました。 モードは社会に向き合う態度、と定義すると、モードを意識しなければ、社会に対する態度が定まらないことになります。とてもシビアなゲームですから、なまなかな態度ではこのゲームには参加できないとも言えますし、取り換え可能な装いのことだから気楽に参加しましょう、と呼びかけることもできます。 ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。本当は軍服から発展したスーツのところで申し上げておくべきことですけれど、指示を出す立場のひとは首元をふらつかせてはいけない、ということです。だって、生きるか死ぬかの命令を出すひとが、「う?ん。どうしようかな?」なんて首を傾げていたら、命令を下されるほうもイヤでしょ。こいつにはいわれたくないな、となってしまう。それが一番のネックです。あ、おやじギャグ(笑)。 「モードの自由」といったときの「自由」は、freedom(フリーダム)がふさわしい。フリーダムというのはリバティより、もっと自由な自由で、たとえば「学問の自由Academicfreedom」だとか、「言論の自由Freedom of speech」というときにはフリーダムを使います。昔から何の拘束もない。本当に自由だから、そこには自律が必要、といったイメージです。何もかも自由だから、そこでどのような方向を目指し、何を選ぶか、すべてその自律にかかっている。暴走しても誰も何もいわないけれど、結果として社会から逸脱していく、という危険もフリーダムには含まれている。社会が暗黙のうちに定めている許容範囲というものがあって、そこが不文律になっているところが怖いわけです。 ブランドやデザイナーがつくり出す流行服=モードは時代性を表します。モード服を着ることによって時代感覚をまとうということは可能です。デザイナーが半年先の時代の雰囲気を予測しながらつくりあげた洋服の中から、どれを選べば、より自分らしく、かつ時代にあっているのか、ということを考え、着こなすのはなかなか知的なゲームです。参加するもしないも自由ですけれど、ビジネスのリーダーともなれば、時代性と向き合わなければ成り立たないこともまた確かです。 小さな時代の変化に敏感であるということは大きな変革をもたらす人にとって非常に重要です。勝負師なんかもそうですよね。周りの空気を自分でどのようにコントロールするか、ということに対してきわめて敏感です。そういう感覚はぼんやりしていたら身につくわけではなくて、常に微細な変化、周囲の変化に対して自覚的である必要があります。 洋服は時代を映す鏡です。モードこそ時代の半歩先をいっているものなので、その時代の半歩先が、半年前、1年前とどう違うのか。些細な変化を意識的に自分で言語化できる、あるいは感覚でわかるように訓練を積むのも、経営者であるとないとにかかわらず、やっておいて損はないでしょう。 モードの革命家はいます。モードって、洋服のモードだけではなくて、時代に向き合う姿勢もまたモードというのです。いま、私はモードを意識しなければ、社会にたいする態度が定まらない。モードは社会に向き合う態度と定義したうえで、服飾史家の中野香織さんはこういいます。ジェントルマンにとって態度(attitude)こそ要諦。時代感覚の見極めも重要。エグゼグティブのための最新モードを紹介します。自由なモード時代感覚をまとうインタビューまとめ=今尾直樹 写真=田邊 剛 スタイリング=櫻井賢之、水元章裕グルーミング=宮本佳和(bNm) 構成=持田慎司社会と向き合う態度