ブックタイトルシックス 2018 SPRING
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シックス 2018 SPRING
019いま自分が生きている世の中がこうだから、と、自分の曲作りがぶれることはないし、こういうことがあったから変わった、ということもない。むしろ、なにがあっても、ソングライティングとロックンロールだけはいつも自分の中にあったなあ、と実感しています。たとえ世の中にどのような変化があるように思えてもね。││ その揺るぎなさは見事ですね。 もちろん歌の内容、表現のしかたについては迷ったことはありました。その時代その時代の聴く人の想いとぼくの表現方法がマッチしていないんじゃないかと感じたとき、これは迷いになりますよね。││ そういうときはどうされるんでしょう? ぼくは曲をまったく書かないことにしましたね。何年もアルバムを出すことなく沈黙をしていた時て、コンサートに来て、ぼくと一緒にロックしようぜ。そして自分を解放する、自分をフ自由リーにするということでしょうね。 本物のロックは、ぼくたちを自由にしてくれます。まやかしの音楽は逆で、聴く人の想像力を限定してしまう。歌を楽しんで、自らに引き寄せて聴いてもらえることが、ソングライターとしては嬉しい。それこそ〝自由?に。それが佐野元春の本望ですね。││ 佐野さんが自らを完全に肯定できるようになったのはいつ頃からですか? それはもちろん、ぼく個人の人生においてはいつだって怖れもあるし、喜怒哀楽ももちろんあります。当然、そのことは変わらないですよね。でも、ロックンロールをやっている佐野元春はスーパーな存在ですね。これもまた変わらない。 そこには強いビートがあるし、言葉があるし、ぼく自身のこの肉体がありますから。ぼくはそれを肯定する。レコードから、ステージから発光するものは、非常に強いものに違いないとぼくは思う。││ 佐野さんにとってのロックンロールとはどのようなものですか? フォークでも歌謡曲でもなく、言葉にビートを伴った音楽、もしくは、ビートに言葉が伴った音楽。だから、ぼくの作り出す音楽は、言葉とビートとメロディ、ハーモニー、それらが音楽的に複雑に一体化した表現です。 いろいろなアートが世の中にはありますが、ロックンロールほど光を放つアートフォームは他にないと思う。たとえば絵画も素晴らしいものだと思うし、もちろん画家の込めたメッセージやスピリットはあるかもしれないけれど、そこに画家の肉体はない。ロックには、言葉を書いてそれを発する肉体があって、強力にアンプリファイアされた巨大な言葉とビートと音がある。これほど聴き手にダイレクトに突き刺さるアートフォームは他にないと思う。 ぼくがデビュー以来、どうして40年近くもロックンロールというアートフォームを採用しているかというと、この表現を、この表現の強さを、魅力を知っているからです。そこの信頼は揺らいだことがないですね。││ 一度もない? (即答)ないです。ぼくは、ソングライティングを始めたころからから今まで、ロックンロールに対する態度がぶれることはなかった。2015年にリリースされたザ・コヨーテバンドとの第3作。客観的な観察眼を失うことのない佐野ながら、近作中では最も「現実」との距離の近さを感じさせる内容で話題を呼んだ。『BLOOD MOON』*5「風の手のひらの上」を収録した、1997年にリリースされたアルバム。2017年にはリリース20周年記念として当時のライヴ・フィルムのプレミアム上映イヴェントが開催された。『THE BARN』*62018年2月から日本全国を巡回するザ・コヨーテバンドとのコンサートツアー。ファイナルは4月1日のTOKYO DOME CITY HALL。チケットは絶賛発売中。『MANIJU』ツアー*4ロックンロールは最高のアートフォームだINTERVIEW WITH MOTOHARU SANO