ブックタイトルシックス 2018 SPRING
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シックス 2018 SPRING
018わない。││ となると、答えはどこにありますか。 答えは風の手のひらの上にあるよ。これは、ぼくのアルバム『THEBARN6 * 』のなかの一曲のフレーズなんだけど。現実に対して自由な視点を持つことは大事だと思うよ。もしも自分が不自由だと思うのならば、単に自由になればいい。││ どうして人は自分を不自由と感じるのでしょう? いわゆる平和主義者、ある意味では悲観論者に、逆に脅されているような状態があるんじゃないかな。ぼく自身は、なにも怖がることはないと思うんだけれどもね。││ 佐野さんは怖いものなしですか? ぼくにはロックがあるからね。││ おお。となると、佐野さんにとっての〝自由?の定義は? いま、自分がここにいる、という感覚でしょうね。││ いまここにいる自らを肯定するということでしょうか。 そう。場所も、時も、すべてをね。││ その意味で自由になるためにはどうすればいいでしょう? ぼくのレコードを買うことだね(笑)。レコードをよく聴いてもらっというフレーズも印象的ですが、これはどういうことでしょう? 2018年現在、現実が〝壊れている?というご認識でしょうか? どうかな、希望は〝ない?とも言えるし〝ある?とも言えるから。現実の中に明るいことがあれば希望はあるし、嫌なことがあれば希望は消える。そこと自由の兼ね合いだよね。││この作品中の主人公は、自由を求めて、そして自由を実現して生きているように見えます。これは佐野さんご自身の印象にも繋がるのですけれど。 いや、作品は作品であって、ぼく自身のことをそのまま歌っているわけではない。もちろんぼく自身の具体的な経験がちょっとしたトリガーになることもあるけれど、ぼくが単純にぼく自身のことを歌っても、誰も面白いと思わないと思うよ(笑)。││ となると、ストーリーを描く際に、モデルになっているのは誰なのですか? 不思議なことに、10代の気持ちを歌う曲のときには10代になるし、50代の気持ちの曲を書くときは、50代になっている感じです。ぼくは作家であって、ストーリーテラーですから。自分に似た人のことを想像して││というのは、ぼくと完全に違った人のことはきっと想像もつかないから││それを観察しながらスケッチしていくんですね。││ そこに、時代の変化の影響はありますか? というのは、今回の『MANIJU』は、前作『BLOODMOON5 * 』とはニュアンスが変わっているように聞こえるからなのですけれど。 ぼくの作品には、初期の頃から、重い言葉も軽い言葉もあると思うんだけどね。ただ、最近の曲の重い言葉に反応が大きくなったような気はしています。過去の曲についても、違うメッセージが読み込めるようになったり、聴き方に変化があったということは耳にすることがある。理由は……具体的にはわからないですね。 というのは、作品の意味は、聴く人の経験、そのときの状態、知識によって変わります。そしてステージでその作品を歌えば、それもまた違って響くでしょう。繰り返しになるかもしれないけれど、それは聴き手の自由でもある。ぼく自身は、その自由を尊重したいですね。││ 歌や表現が持っている力、クリエイションについての認識に変化はありますか? ぼく自身にはまったく変化はないですね。淡々と、自分のやりかた、ソングライティングを続けてきた。でも、時代が変わるごとに、人々が聴き方を変えて楽しんでくれている。これはすごく面白いなと思っています。││ となると、どうして暗い言葉に対する反応が増えているのだと思われますか? うーん、どうしてなんだろう? 具体的な理由をここで指摘することは難しいけれど、そう思えてしまうような関係性のなかで生きているから、かな? 誰かに影響されてしまっているから、言葉を変えると洗脳されてしまっているから、かな?││ 見方や感じ方によって、時代への認識も変わるということでしょうか。 そうですね、ぼくは、時代を見るときに絶対的な見方というのはないと思っています。いつの時代も、サニーサイドもあればダークサイドもある。だから、時代そのものが暗くなったということはない。ぼくはそういうことは一切思