ブックタイトルシックス　２０１８　ＳＰＲＩＮＧ

概要

シックス　２０１８　ＳＰＲＩＮＧ

016生まれ変わった〝新?佐野元春へと流れ込んでいく。これは演劇によく使われる構造ですね。││ ザ・ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド2 ＊ 』（１９６７年）を思い出しました。　'60ー'70年代には、こういうコンセプト・アルバムがよくありましたよね。ピンク・フロイド、ザ・キンクス、ザ・ビートルズ……クリエイティヴで挑戦的なアーティストたちが、ひとつのコンセプトを中心に据えて、ストーリー仕立てで優れたアルバムをたくさん作ってきた。ぼくも10代の多感なときにそれらを熱心に聴いてきました。それらはひとつの小説、映画のような印象としてぼくのなかに残っている。だからぼくのこの『MANIJU』も、すべてを聴き通したときに、ぼくなりのメッセージや想いを、トータルで聴き手のひとりひとりに自ら感じ取ってもらえたら嬉しい。一曲一曲はもちろん、アルバム全体をひとつの物語、ストーリーとしてね。││ 物語、ですか。　そう。ぼくは一番大切なものはストーリーだと思っています。ストーリーの特性として、それを見たり聞いたりする側は、そこに自││ 髪も短くなり、スタイルも変わって……。60歳にして、佐野元春さんがまるで生まれかわったような印象です。　そう、〝新?佐野元春といわれています（笑）。まるでシン・ゴジラみたいだよね。││ （笑）この変化のきっかけは、なにがあったのでしょうか？　ヘアスタイルについては、いつかは短くしたいと思っていただけなんですけれどもね。ただ、40代50代と、ダルい感じが続いていたんです。なんだかずっと自分が冴えていない気がしていた。そこで、これはもう根本から全部を変えないとダメだと思うようになって、食生活を変え、暮らしのサイクルを変え……そうしたら、どんどんと身体がいい感じに変わってきた。││ 身体が変わると、やっぱり違いますか？　違いますね。身体自体も軽くなったし、疲れにくくなったし、精神的にも楽になったと思う。それまでは正直、食べ物にはあまり気を遣っていなかったんだけど、まずは、野菜中心に食べるようにして……生まれ変わった感じです。││ 新作『MANIJU1 ＊ 』は、'80年のデビュー以来、17枚目となるアルバムです。今回のアルバム作りはどのようなものでしたか？　いつもぼくの作品は、ひとつの映画とか、一冊の小説のようにストーリーを追って楽しめるものを目指しています。そこで今回の『MANIJU』は、これまでにも増して、より演劇的というか、コンセプト・アルバムとしての性格が強い。ひとつのショーのように楽しめるものになっているんじゃないかな。││ 確かに構成が特徴的ですね。まず目立つのが、アルバムの冒頭を飾る「白夜飛行」と後半の「夜間飛行」、この対になっている２曲の存在です。　そう、最初の「白夜飛行」は、〝佐野元春の新たなショーが始まるよ?という、いわば華やかなオープニングの役割を果たすわけだね。でも、アルバムを聴き進めていくと、陰りも見えてくるし、登場する人々の喜怒哀楽といった面も見えてくる。そこでぼくは、最初に歌ったあの歌を覚えていますか？と聴き手に尋ねるんだ。「白夜飛行」という明るい歌で始まったアルバムのなかで、同じ曲を別の角度で聴いてみてくれないかな、と。それが「夜間飛行」、そしてシングルになった「純恋（すみれ）」です。この２曲で聴き手の耳を惹きつけて、最後のクライマックス食生活を変え、暮らしのサイクルを変えたら、身体がいい感じに変わってきた。新たなコンセプト・アルバム『MANIJU』とツアー、その手応え