ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年9月21日号

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週刊ダイヤモンド19年9月21日号

際に、法人税率や最低賃金の引き上げといった、財閥グループなど大企業に負担を課す政策を乱発している。 反財閥の極め付きが、イ・ジェヨン副会長が朴パク槿ク恵ネ前大統領への贈賄罪に問われたことだろう。現在は執行猶予付き判決を受けて経営に復帰しているが、サムスンが文政権に首根っこを押さえられた状況であることに変わりはない。 8月29日、朴前大統領に対する最高裁判決が審理差し戻しになったことに連座して、イ・ジェヨン副会長の高裁判決も差し戻しになった。現地報道では、イ・ジェヨン副会長が再び拘束される可能性も指摘されている。 本業の業績悪化、文政権による恐怖政治に続いてサムスンを追い詰めたのが、今回の日本による〝制裁措置〟だった。 というのも、輸出管理が強化された3品目は全て、サムスンの半導体やディスプレーの製造に欠かせない重要部材だったからだ。もちろん、日本政府は「輸出管理の見直しという制度変更であり制裁ではない」との立場を貫いているが、輸出管理の強化という判断に、政治的要素が絡んだことは事実である。 まるでサムスンを狙い撃ちした 国最大の財閥、サムスングループ総帥の李イ在ジエ鎔ヨン・サムスン電子副会長(54歳)の行動は誠に素早かった。 7月1日に日本政府が韓国に対して輸出規制の強化を決めると、間髪を容れず、重要な日系サプライヤーの経営者たちにメールを送った。「サムスンと日本のメーカーはたゆみない努力によってこれまでも多くの苦難を乗り越えてきた。私どもは皆さんを必要としている。ぜひついてきてほしい──」。 そして、ちゅうちょすることなくイ・ジェヨン副会長は日本へ渡った。日本滞在中の7月10日に、文ムン在ジエ寅イン韓国大統領主催の財閥トップ懇談会がソウルで予定されていたにもかかわらず、だ。ビジネスを立て直すためとはいえ、自国の最高権力者との予定よりも、日本行きを優先させるとは、尋常ではない。 それぐらい、サムスンの置かれている状況は厳しい。サムスン電子の2019年4?6月期の営業利益は、主力の半導体事業が振るわず前年同期比56%に激減した。 恐怖政治もサムスンを追い詰める。市民運動家上がりの文大統領は〝反財閥〟を明確に打ち出すことで、既得権益層に不満を持つ一般市民の支持を獲得してきた。実週刊ダイヤモンド 2019/09/21 26Prologue韓国サムスン総帥が輸出規制強化で泣きついた日本財界の重鎮独占スクープ韓サムスン電子副会長イ・ジェヨン