ブックタイトル週刊ダイヤモンド19年7月20日号

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週刊ダイヤモンド19年7月20日号

特集三菱・三井・住友ているのだろうか。金曜会に参加したある首脳に聞いてみた。「事業のことはまったく話さないです。ただし、中国で三菱のフェイク製品が大量に出回ったとか、三菱ブランドを毀損する商標に関わる話はしています」確かに、スリーダイヤのブランド維持は重要な議題ではあるが、最高決定機関と呼ばれる組織にしては、いささか議題が平和過ぎるだろう。「英国のEU離脱など国際情勢については話します。それから、優秀な若手を発掘するとか、教育問題に関わる財団をつくる話をしていますね。要するに、カネ集めの話です」と前出の首脳は続ける。実は、来年20年は岩崎弥太郎が海運事業を起こしてから150年という節目の年だ。創業150周年記念事業として、新たに教育財団をつくろうとしているのだ。かつて100周年を迎える前にも、学術研究や奨学金、社会福祉を目的とした三菱財団が設立されており、会員企業には相応の資金拠出が求められそうだ。いずれにせよ、昨今の金曜会は、名実共に「親睦団体」に成り下がってしまったのかもしれない。重工失速で「商事1強」に崩れた御三家の均衡なぜ、「鉄の結束」は崩れたのか。まず、業績の明暗が御三家の均衡を破ってしまった。業績低迷が続いた三菱重工は、三菱自動車が優先株を普通株へ転換したあたりから、ビジネスに関係のないグループ企業と距離を置き始めている。実際に、三菱自動車への出向者数(16年5月→19年6月)で比べると、三菱商事33人→25人、三菱重工15人→5人。三菱重工は本業と無関係の企業を支援することはなくなりつつある。一方、「商事1強」という圧倒的なポジションを生かし、三菱商事は事業投資経営にまい進している。また、グループ内の暗黙の序列と、グループ企業の実力に齟齬があり〝下克上〟が起きている。例えば、素材系企業は、序列こそ高くないが産業界での地位は高い。グループ内のおきてに従わずとも、自立してビジネスを展開できるので、グループの結束力に救いを求める必要がないのだ。結束力に陰りが見えているのは三菱だけではなく、三井や住友も同様である。戦後の日本を形作った財閥系グループは、このまま衰退してしまうのだろうか。御三家の確執がもたらす求心力低下「組織の三菱」を支えてきた裏序列※金曜会メンバーのうち、三菱ケミカルのみ三菱広報委員会に未加入三菱UFJ信託銀行三菱マテリアル三菱地所三菱電機三菱ケミカルAGC日本郵船東京海上日動火災保険明治安田生命保険キリンホールディングス三菱倉庫JXTGホールディングス三菱ケミカルホールディングス三菱製鋼三菱製紙三菱化工機三菱ガス化学ニコン三菱自動車三菱ふそうトラック・バス三菱アルミニウムピーエス三菱三菱総合研究所三菱UFJ証券ホールディングスローソンアストモスエネルギー大日本塗料日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ三菱鉱石輸送三菱食品三菱オートリース三菱スペース・ソフトウエア三菱UFJリース三菱プレシジョン三菱UFJニコス無数の子会社・関連会社御三家国連でいえば「常任理事国」に相当。金曜会トップの世話人代表を選出金曜会グループの主要27社の会長・社長で構成される親睦団体。世話人会に入っていない企業は「安保理」の決定事項を追認するだけ世話人会金曜会の事実上の最高意思決定機関。国連でいえば「安全保障理事会」に相当。御三家に加え、主要1 0社中6社で構成される。6社は毎年2社ずつ交代する「非常任理事国」三菱広報委員会会員企業は現在37社※。金曜会に入っていない企業は影響力小三菱商事三菱重工業三菱UFJ銀行Bloomberg/gettyimages初来日したスナール・ルノー会長(左)と益子修・三菱自動車会長(右)の会談には御三家首脳が同席した27週刊ダイヤモンド2019/07/20