ブックタイトル週刊ダイヤモンド18年6月2日号
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週刊ダイヤモンド18年6月2日号
「欧企業を震え上がらせているのは、この法律がその事業規模や本社が所在する国・地域に関係なく、EEA域内の個人データを処理するほぼ全ての組織に及ぶという点だ。 EEA域内の個人データを処理しているのは、何も欧州の人々を相手に直接サービスを提供する宿泊・観光や運輸、ECなどの企業、現地に子会社や工場を持つグローバル企業だけではない。 デジタル広告、IoT家電、次世代自動車のコネクテッドカー、建設機械のトラッキングシステム、ユーザーの位置情報を利用する「ポケモンGO」をはじめとするオンラインゲームなど、個人のオンライン上の行動を「監視」することを前提としたサービスで、商売が成り立っている企業は枚挙にいとまがない。およそ現代において、GDPRの適用を完全に免れ得る企業は、少ないと言えよう。 そして、その影響を受ける最たる存在が、グーグルやフェイスブックといった米国のITジャイアントである。その巨人たちがここにきて一転、個人データ保護対策に向けてかじを切っている。 その理由は、政治コンサルティング会社、英ケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブックの個人データ流用事件が象徴するよ 州が、米国のグーグルやフェイスブックと、“一戦”を交える覚悟を決めたということ」──。 個人データ保護に詳しいある識者は、欧州連合(EU)が5月25日に施行した「一般データ保護規則(General Data ProtectionRegulation:GDPR)」の真の狙いをそう指摘する。 GDPRとは、1995年に採択された「EUデータ保護指令」に代わる形で2016年に採択された、新たな個人データ保護の法律だ。EU加盟国に欧州3カ国を加えたEEA(欧州経済領域)域内31カ国に所在する全ての個人データの保護を基本的人権と位置付けて、大幅な規制強化が図られた。 GDPRは、個人の名前や住所などはもちろん、IPアドレスやクッキーといった、インターネットにおける情報までも網羅的に「個人データ」に含め、その処理(収集や保管)に類を見ない厳格な順守を求めている。個人データのEEA〝域外〟への持ち出しは原則禁止。そして、違反者には最高で、世界売上高の4%か2000万ユーロ(約26億円)のうち、いずれか高い方という超巨額の制裁金が科せられる。 制裁金の額と合わせ、世界中の週刊ダイヤモンド 2018/06/02 32