ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
- ページ
- 8/48
このページは ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
DIAMOND Quarterly 6 その答えはイエス・ノーの二者択一ではないが、必ずしも儲かるわけではないことが、次第に明らかになっていった。 そもそもデファクトスタンダードの条件は、最も優れた技術や機能を備えていることではなく、どれだけ多くのユーザーに支持されたかであり、つまるところシェアである。かつてのマイクロソフトのように、OSでデファクトを取って儲かった企業もあれば、フィリップスのコンパクトカセットのように、デファクトを取っても一円の特許料も入ってこなかった企業もある。デファクトで儲けている企業は、どうやら独自の?儲ける仕組み?を構築しているようだ??。そこから山田氏のビジネスモデル研究が始まった。 ビジネスモデル関連の書籍は、その大半が“カタログ”である?これはこれで便利で参考になる?。一方、山田氏のそれは?利益を生み出し続ける仕組み?の調査研究であり、そこには持続的な競争優位や模倣困難性に関する知見やヒントが盛り込まれている。何しろ、文献調査に留まらず、担当者へのインタビューや競合企業への取材による裏取りまで行った、正真正銘の実証研究なのだから。 品質や機能、コストや価格、あるいは市場シェアよりも、ビジネスモデルの優劣が問われる時代になったいま、その戦い方について山田氏のレクチャーを聞く。いまなぜビジネスモデルが重要なのか編集部?以下太文字?:?ビジネスモデル?という言葉が使われ始めたのは1990年代ですが、呼び名こそなかった時代には、カミソリと替え刃、コピー機とトナー、トラベラーズチェックなどが、製品やサービスというより、?仕組み?あるいは?システム?として説明されていました。そして1998年7月、アメリカにおいてビジネスモデルの特許性が法的に認められたことで、いっきにジャーゴン化し、日常的に使われるようになりました。今日は、このビジネスモデルについていろいろ教えてください。山田?以下略?:私の著作の一つに?ビジネス版 悪魔の辞典??日本経済新聞出版社?という本があるのですが、この中でさまざまなビジネスジャーゴンを、ややシニカルに紹介しています。ビジネスモデルという言葉は、かつて流行り言葉の一つでしたが、いまでは普通に使われている珍しい例です。 かつてハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーターは、ビジネスモデルも他社との優位性を追求するという意味で戦略の一種であり、一時的な流行にすぎないとコメントしていました。しかし、ビジネスモデルと戦略は似て非なるものです。 1990年代に入り、ITやインターネットの黎明期を迎えると、既存企業が支配する市場や既得権益を奪ったり、まったく未知なる市場を創造したりするベンチャー企業が登場します。彼らは、従来の戦略論やマーケティングのフレームワークだけでは説明し切れない仕組み、すなわちビジネスモデルを引っ提げていました。こうして一時的な流行に終わることなく、世界中で人口に膾炙し、いまやすっかり定着しています。 言語社会学者の鈴木孝夫氏によれば、言葉は、社会的・文化的な要請に応じて生まれてくる面があり、たとえばエスキモーには、「湿った雪」「乾いた雪」「積もった雪」など、雪を表現する言葉がたくさんあるそうです。雪の中で生活する彼らにとって、雪の種類の峻別は生命にも関わるものだからです。 このように、言葉は必要だから生まれるのです。ビジネスモデルという言葉も、社会的な必要性から広く使われるようになったといえるでしょう。現在にあっては、その後のSNSの登場、デジタル化のさらなる進展などにより、「いかに独自性の高いビジネスモデルをつくり出すか」という課題はいっそう重要性を増しています。 一口にビジネスモデルと言っても、さまざまな定義があります。それゆえ、どの定義に