ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
S T R A T E G I C V I E W S37 DIAMOND Quarterlyデジタル変革のカギはアジャイルにあり編集部?以下太文字?:日本におけるデジタル・トランスフォーメーション?デジタル変革?の現状を、どうご覧になっていますか。山根?以下略?:専門の部署を設けて組織的に取り組む企業が増えてきているように思います。社内の各部署から人材を集め、社長室直轄にしているところもありますが、まだ試行錯誤状況の企業が多いようです。 従来型の新規事業開発とデジタル変革によるイノベーションとでは、成果が出るまでの時間軸が異なります。現在のビジネスを取り巻く環境は極めて複雑で、かつ変化も急激です。このような答えがない時代にイノベーションを起こすには、小さくかつ素早く、構築、検証、改良のサイクルを回すことが重要です。そういったプロセスを加速させるために、外部の力もうまく組み合わせてチャレンジしている企業が増えていると感じています。 当社では、5年前からアジャイル開発という手法を取り入れることで、変革を加速してきました。より顧客価値の高いサービスの開発や、サービスリリースまでの期間短縮など、さまざまなところで効果が上がっています。 アジャイルというと、ソフトウェア開発の方法論であって、ビジネスには直接関係ないと考える経営者が多いのではないでしょうか。 従来はソフトウェア開発の用語でしたが、現在はテクノロジーとビジネスの境界線がなくなってきており、ビジネスの領域まで含めてアジャイルと言うことが多いと感じます。 アジャイルとは、市場が変わり続けることを前提に、顧客価値の高い商品やサービスを小さく素早くつくって、市場に合わせてよりよいものに磨き続ける企画開発のあり方です。従来型の日本企業では、企画、開発、運用が縦割りに組織されてベルトコンベア式に開発が進められてきました。しかし、変化の激しい時代には、柔軟なやり方でなければスピードについていけない、そこでビジネスまで含めたアジャイルが求められていると思います。 アジャイルを成功させるコツは、どんなところにあるのでしょうか。 まず、チームメンバー全員が専任となり、プロジェクトの成功という同じ目標に全力で向かえる環境を整えることが重要です。また、アジャイル開発?KDDIではスクラムという手法を採用?では、イテレーションという、1、2週間の単位で小さくつくってユーザー検証を行い、素早く改善するというサイクルを繰り返します。変化が前提となるので、意思決定のスピードをいかに上げられるか、といったことが成功の要因となります。そのためには、上層部が勇気を持って現場のプロダクトオーナーへ権限委譲を行い、自律的なアジャイルチームにしていくことが重要です。逆にプロダクトオーナーは上層部に対して、常にプロジェクトの現在の状態が見える環境を整えておくことが必要です。運用部門との連携でアジャイルに価値を 5年前からアジャイルによってデジタル変革を推進してきたということでしたが、障壁などはなかったのでしょうか。 もちろん障壁はいろいろありました。当社の場合、最も大きかったのは運用サイドとの軋轢です。4000万を超えるauユーザーと、20万を超える基地局、国内外をカバーする通信基盤を守る通信会社として、システムの高い信頼性を担保することは命綱です。それだけに開発や運用におけるガイドラインは厳密で、運用の視点から開発をチェックするのが当然でした。 しかし、当初のガイドラインは従来型の開発手法に合わせて作成されていたので、アジャイル開発のような変化を前提とした開発には適合しませんでした。仕様が常に変化するためドキュメントの内容も変化し続ける、そのような状態で不具合や障害が起きた時にど