ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

ページ
29/48

このページは ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly の電子ブックに掲載されている29ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

27 DIAMOND QuarterlyC - S U I T E I N T E R V I E W 近年、人手不足の中、この業界になかなか人が集まらないといった悩ましい問題もありますが、日本の歴史に残るビッグイベントを警備業界全体のオールジャパンでやり切れば、今度は業界全体が世界に冠たる存在として信頼を得ることができます。今回の東京2020大会を、日本の警備業のブランド力を高めるレガシーにすること。このことを一番に考えています。 最後にお聞きします。飯田さんの経営哲学の中で一番学んだことは何ですか。 まずは、経営者として一番大事なことである「ビジネスデザインを描く力」でしょうね。「会社を変える、会社の将来を決するような新しいビジネスデザインは、経営者だけにできる特権であり、経営者だからこそやらなければならない義務である」という飯田さんの哲学です。飯田さんの足元にはとても及びませんが、努力はしています。 それと、これは私の信条とも合致しているのですが、「逃げるな」ということです。逃げないで困難に対処することが、自分を成長させる肥やしだと実感しています。飯田さんの言う「泥水を飲む」「苦しい道を選ぶ」、だけど「しゃがまない」で、それこそ「豁達の精神」で「明るく愉しく艶っぽく」です。 全員経営でも述べた通り、私は社員一人ひとりの自己実現を本当に大事にしたい。ワクワクした気持ちで闊達に愉しくやろう、と。そのために未来像を示し、ビジョンとロードマップを明らかにし、その土台となる企業理念を透徹させる。それが私の役割だと考えています。 そのためには、中長期の発想という大局観を持ち、社員一人ひとりの心と常に触れ合いながら、モチベーションを高める現場を大事にする組織風土をつくる。これを真摯にやっていきます。 なぜなら、やはり我々はサービス業だからです。サービス業こそ、全員経営が不可欠です。製造業であれば、ものづくりの品質維持のためにマニュアル化が一定の効果を発揮しますが、サービス業はそうはいきません。社員の一人ひとりの対応が、お客様の評価を大きく左右する。サービス業ほど、人材が価値創出の源泉になる。それゆえ、彼ら彼女らの拠り所となる「理念の透徹」を必死の想いでやっているのです。 AI/IoTなどの技術革新が進む中、カスタマイゼーションの流れは止まりません。個人に寄り添うという時代のニーズに応え切るために不可欠なのは、やはり個人の力です。セコムの未来を託す「プラットフォーム構築」と「顧客創造」のさらなる原動力となるのは、まさに社員一人ひとりなのです。YASUO NAKAYAMA1952年生まれ。1976年東京大学法学部卒業後、日本銀行に入行。名古屋支店長、政策委員会室長などを歴任。2007年セコムに顧問として入社後、常務取締役に。総務本部長も兼任後、2016年代表取締役社長に就任。就任早々、「企業理念の透徹」「社員満足を原点とする全員経営」を打ち出し、社内改革を推進。翌2017年に発表した新たなグループビジョン(2030 VISION)では、「あんしんプラットフォーム構想」を掲げ、他企業とのオープンイノベーションを進めている。また、東京2020大会では、セコムは大会警備共同企業体の共同代表に就任。多数の警備会社が参画するオールジャパンのリーダーとして、大会の安全・安心を託されている。