ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

DIAMOND Quarterly 24るセコムトラストシステムズは電子認証サービスで日本トップですし、そこにセコム本体のセキュリティネットワークも加わります。半導体大手のルネサスとセコムグループが組むことで、IoT時代のセキュリティを実現していくのです。 個人向けホームセキュリティでも実績があります。昨年リリースした、日立製作所とのコラボレーションによる「NEO」の一部のヘルスケアサービスです。これは当社開発の「セコム・マイドクターウォッチ」?通信機能を搭載したリストバンド型ウェアラブル端末?とつながることで、救急対応以外に日常の健康管理も行えるというもの。その時に使うスマホアプリは、日立製作所が開発しました。 こうした「つながること」による共想事例は、これ以外にもいくつも生まれています。 さらには、?セコムオープンラボ??分野や業界を超えたパートナーとのワークショップ?という仕組みもありますね。企業だけでなく学生も巻き込んで、斬新な発想で社会課題を解決しようということですが、どんな萌芽が生まれていますか。「未来の街づくり」など毎回さまざまなテーマでワークショップを開催しています。学生や企業人が自由闊達に議論して4つぐらいの案にまとめ、どの案が斬新かつ実現性があるかを投票しました。これまでに多様なアイデアの中から事業に役立つ気づきがいくつも生まれており、たとえばVR?仮想現実?を警備員の研修に導入したり、工事現場のセキュリティに活用したりするといった成果もあります。「あんしんプラットフォーム」構想を打ち出してから、他企業の方だけでなく、社会課題解決やビジネスモデルづくりに関心の高い学生も含め、多様な人たちが集まってきてくれるようになりました。この「セコムオープンラボ」に参加した学生さんが、セコムに就職したりするケースもあるなど、副次的効果も生まれています。数値目標ありきの中期計画なんていらない ちなみに?2030年ビジョン?には、数値目標が設定されていません。また、そこに至る道筋を描いた?ロードマップ2022?という5カ年計画にも、戦略は示されていましたが数値目標は抑制的であり、数字だけが一人歩きしている他企業の中期経営計画とは、大きく違うように見えます。これは、飯田さんが最も嫌っていた?数字に縛られて経営の自由度を失う?ということを意識されていますか。 飯田さんが早くから看破された通り、数字の一人歩きはまったくプラスがなく、むしろマイナスです。日本の上場企業では、数年前から経営計画がブームで、中期の売上げや利益などの目標数字が盛んに発表されています。 しかし、事務方が既存事業の延長で積み上げた数字で実際の業績が決まるわけではありません。計画必達で目先の数字を追うあまり、下振れした場合、事務方ができない理由をこねくり回したりすることも少なくないと聞いています。それが本当に価値を生んだことになるでしょうか。 数字に縛られることは弊害のほうが大きい、という飯田さんの意見に私もまったく同感です。もちろんセコムも上場企業ですから、数字の開示を求められます。それに対していったいどうあるべきなのか、私は常務時代から考え続けていました。ちなみに欧米の優良企業は、中期計画などは出していません。日本独特のブームなのです。 反対に欧米の優良企業は、ビジョンをしっかり打ち出しています。ですから我々も、3年といった短期的な数値目標ありきではなく、10年以上先の「2030年ビジョン」をまず描いたのです。 そのうえで、私は中期計画とは呼びたくないのであえてこうネーミングしましたが、「ロードマップ2022」という5カ年計画をつくることにしました。トンネルの先に見