ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
DIAMOND Quarterly 22これ以上の喜びはありません。 その意味で全員経営は、社員一人ひとりが自分の役割を自覚し、いま何をすべきかを主体的に判断し、自分の成長を実感するという一連のプロセスがあってこそ。そうした「正の循環」を回していきたい。これが、私が掲げる「社員満足を原点にした全員経営」なのです。 一方、社員が主役といえる全員経営であっても、経営者が果たすべき役割があります。それは、「トンネルの先の光を示す」ことです。セコムがどこへ向かうか、どういうミッションで社会から信頼を得るのか、そうした未来のビジョンを明示することです。その方向感を全員が共有できれば、一人ひとりが自分の役割を見出し、変化に適応していくことができます。 その時によく私が例えで使うのは、「3人の石切り職人」の寓話です。簡単にご紹介しましょう。 教会を建てるために石を切り出している職人に、通りがかった旅人が問いかけます。「あなたは何のために石を切り出しているのですか」と。1人目の職人は「見ればわかるじゃないか。食うためと家族を養うためさ」。2人目の職人は「よく聞いてくれた。石を切り出すことで技を磨き、村一番の石切り職人になるためだよ」。そして3人目の職人はこう言いました。「みんなが集まることができ、村の文化をつくっていく大事な教会を建てるために、石を切り出しているんだよ。こんなに喜びとやりがいのある仕事に従事できて、とても幸せだ」 私は、この3人目の石切り職人を目指そうじゃないか、と社内で言っています。セコムの未来を託すあんしんプラットフォーム構想 中山さんが打ち出した2030年ビジョンの中に?あんしんプラットフォーム?という新たな事業コンセプトがあります。これを策定するに当たり、若い社員をはじめ、社内で何度も意見を闘わせて議論を深めたそうですが、どのようなプロセスで取りまとめをされましたか。 セコムには「社会に有益な事業を行う」という素晴らしい企業理念があります。私は常務時代に、ネスレ、ユニリーバ、ゼネラル・エレクトリックといった、長年にわたって社会から信頼を得ながら着実に成長しているグローバル企業について、いろいろ勉強しました。あらためてわかったことは、いずれの企業も社会貢献企業であり、マイケル・ポーター教授が掲げる「CSV」?共通価値の創造?を実践しているということです。セコムの理念は、それらの企業と比較しても、まったく遜色がありません。 ではその理念を今後どう実践していくのかをイメージしやすい形で示そう、と取り組んだのが「2030年ビジョン」です。もちろん十数年先の構想ですから、私を含め、いまの役員陣は会社にはもういません。であればなおさら、その時代の中心となる世代の人たちに加わってもらい、自分たちのプランにしてもらうべきだと考えました。 そこで、現場を経験してきた企画部門の中堅・若手を中心とする10名ほどのチームをつくり、私の方向感と方針を伝え、「理念をもう少し具体的に、社会に役立っている未来の姿をみんなで考えよう。君たちがその時の主役なのだから」と託し、半年間で大まかなプランをまとめてもらいました。 そしてこれをベースに、「ベスト・オブ・セコム賞?注4 ?」を受賞した200人ほどの若手人材一人ひとりにも「2030年にセコムは何をやっているべきと考えるか、どうありたいか」といった意見をヒアリングし、また私の人脈で協力してもらった第三者の専門家の視点も加えて、さらに議論。その要所で私も問題提起しながら、みんなでつくり上げていったのが、2030年ビジョンの核となる「あんしんプラットフォーム」構想です。 社員みんなにも、まさに自分たちのイメージ通りだと得心してもらうことができました。注4)グループ会社も含めて、企業価値向上のために貢献した社員を、毎年20人程度表彰している。