ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

ページ
22/48

このページは ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

DIAMOND Quarterly 20飯田さんが大事にしてきた「豁フ ータ達の精神」を基本にするということ。明るく・大らかに・伸びやかにやれ、という意味です。 2つ目は、「セコムの本質をよく理解してくれよな」です。セコムのサービスは、安全・安心という目に見えないものを扱っており、社会の信頼を得るために一人ひとりの社員が額に汗し、努力し続けて初めて成り立ちます。お客様がお金を払い、私たちに鍵を託される。その期待に応え切ることで、信頼が生まれます。 私も、日銀時代そしてセコムに入ってからも現場に足を運んで、お客様との信頼関係の大切さを実感してきましたから、飯田さんのこの言葉には非常に身に沁みましたし、いまの私の経営のベースとなっています。 そして3つ目は、「一家総出」です。「セコムは、いざという時にはみんながスッと同じ方向を向いて、極めて短期間に問題を解決すべく、ものすごい力を出すからな」と。この言葉もとても重みがありました。 実際、社長として?天と地ほども違う責任の重さ?を担うには、何か特別なものがいるようにも思います。それをどのように見つけましたか。 一段上の立場で考えることを信条にしてきましたが、とはいえ実際社長になってみると、責任の重さが圧倒的に違うことをあらためて感じました。役員時代と違って、部分最適ではないのです。社長が常に問われているのは、全体最適。全体最適にかなう決断をしなければならない。そして、その決断は常に大きな責任を伴う。社長とは、そうした重責を担う覚悟が必要なのです。 この2年数カ月の中で何回も噛みしめているのは、飯田さんの言葉の一つである「もう5分考えろ」です。これまでいくつも決断をしてきましたが、その後に「ちょっと待てよ。この観点からのチェックが足りなかったんじゃないか」とか、「あの時に部下が言っていた案をもう一度検討してみるべきじゃないのか」といった具合に、考え直したことがあります。 もちろん、会社の行く末を決めるような大きな決断ではそんなことはありませんが、中規模、小規模の決断では、やはり考え直すことはあります。この点が常務時代との大きな違いです。常務時代は、自分でいったん決めてしまえば、後は社長に提言するだけ。それが認められるにしろ認められないにしろ、基本的にはそこで終わりでした。でもいまは、小さな決断を含めて本当によく考える。そうした経験を積み重ねることで、飯田さんが言う「もう5分考える」ことがいかに重要か、日々痛感しています。「企業理念の透徹」が信頼のブランドになる 社長就任後、中山さんが大きく打ち出したのが、?社員満足を原点とする全員経営?と?企業理念の透徹?です。理念は伝えることはできても、組織の隅々まで透徹させることは容易じゃないですよね。  まさにいま、理念の透徹のために「トリオン?Tri-ion?活動」というものを推進しています。3つの「-ion」があり、これを徹底しているのです。1つ目が「Passion=情熱を呼び起こす」、2つ目が「Emotion=感動を共有する」、3つ目が「Motivation=モチベーションを高める」です。 このムーブメントの重要なポイントは、企業理念が組織全体に一点の曇りなく澄みわたり、社員の一人ひとりが自分の価値観として、理念を体現している状態を実現することです。「企業理念はあります。ホームページを見てください。額に入れて目立つようにしてあります」??これでは理念が活きているとはいえません。一人ひとりの社員が理念をきちっと理解し、理念に基づく行動が自然にできるようにする。これが「カルチャー」となるのです。 そして、そのカルチャーが強固なものであれば、外から見ると「ブランド」になり、お