ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
19 DIAMOND QuarterlyC - S U I T E I N T E R V I E Wを企業理念の基本?注2?に掲げ、それを事業選択の根底に据えています。さらに、「社会に役立つことが自分の喜びになる」という風土も根付いています。ですから、セコムがいかにCSRやESGといった時代の流れに親和的な企業であるか、それをもっとハッキリと打ち出すべきだと考えていました。 また、環境への取り組みにおいても、サービス業の中でトップクラスの認定を受けています?注3?。ただし、実質主義の会社でもあるので、こうした理念や活動を、これまではあまり公にはしてきませんでした。きちんとやるべきことを、しかも先進的にやっているのに、簡単な環境レポートを発行するに留まっていたのです。 そこで越権ではありましたが、私が手を挙げて社会・環境推進部の創設にこぎ着け、より強力な活動を進めると同時に、社会にも開示し理解してもらうための情報発信を積極的にするようにしました。するとそれを実現する社員一人ひとりの努力が実って、いろんな調査でもセコムは環境保全やCSRで高い評価を得られるようになったのです。 こうしたことを常務時代に、社長的な視点でやっていました。もちろん社長になろうと思ってやっていたわけではなく、あくまで結果としてですが、その準備をしていたといえるかもしれません。注2)セコムの企業理念は、「社会に有益な事業を行う」という基本理念をブレイクダウンする形で、「セコム運営憲法」(事業運営や組織風土づくりのための10カ条)、「セコムの要諦」(社員一人ひとりの行動指針となる10カ条)で構成されている。注3)気候変動などの環境問題に取り組む国際NGO「CDP」による評価で、セコムは最高のAリスト企業に認定されている。 ただ、元日銀マンでしたから、?民間の事業会社の経営をどこまでわかっているのか?と、お手並み拝見とばかりに静観する人たちも社内に少なくなかったはずです。どのようにして掌握感を深めていったのですか。 一番大きかったのは、ガバナンスやCSRを推進する過程で、社内のいろんな部門の人たちと関わったことでしょうね。みずから手を挙げて行動することで、割と早いタイミングでみんなとの対話の機会が増えました。 手前味噌になりますが、私は人との付き合いが好きで、日銀時代から人脈が豊富なほうでした。ちなみにセコムのセキュリティ事業は、14の本部、8つのセキュリティ関連会社から成り、日々懸命に活動を積み上げていますが、そうした現場の人たち、たとえば地域の本部長や関係会社の社長、本社営業部門の経営幹部などから、「一緒にお客様のところに行ってもらえませんか」となぜか声をかけられることが多かったのです。日銀時代に培った私の人脈に利用価値があると思われたのかもしれません?笑?。実際、それが成約につながることもありました。 このように、ガバナンスやCSRの仕事を通じてできたスタッフ部門とのヨコのラインに加え、現場の営業部門とのタテのラインもできあがっていったのです。私の担当は総務でしたが、その仕事の本質は「企業価値の向上」の一言に尽きます。ですから、自分の仕事の枠を狭めることなく、私が動くことで少しでも当社の価値向上に貢献できるならと、積極的に現場にも出ていきました。それで、外部から来た人間にもかかわらず、割と短期間で社内に多くのつながりを持ち、よいコミュニケーションが取れるようになったのだと思います。社長就任後、矢継ぎ早にいろんな施策を打ち出し、幸いにしてそれが浸透していっているのも、やはりその時の信頼感がベースになっていると実感しています。全体最適にかなう決断と重責社長という仕事?社長の責任の重さは、ナンバーツー以下とは、天と地ほど違う?と創業者の飯田さんは著書に記されています。飯田さんからはどんなアドバイスがありましたか。 飯田さんの著書はすべて熟読しており、一語一語に納得して体に沁み込んでいますが、いつも思うのは、すごい経営者であり、言葉の達人だということです。たとえば私がCSRの話をすると、「それは社会と企業の恋愛だね」といった具合に、本質を突いた言葉がポンポンと出てきます。そんな飯田さんから、私が社長に就任するに当たり、3つほどアドバイスをもらいました。 1つ目は、「愉しくやれ」です。これは、