ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

DIAMOND Quarterly 18掲げた。これは、これまでセコムグループが培ってきたセキュリティネットワークに加え、AI/IoTなどの最新テクノロジーと、他企業とのオープンイノベーションがベースになっており、社会とのつながりをより深めた、新たな成長ステージへと舵を切っている。 日本発のサービスプラットフォーマーであり、ビジョナリーカンパニーでもあるセコムは、この困難な時代にどのような未来を洞察し、みずからをどう進化させていくのか。中山社長の意志と覚悟を込めたセコム流?全員経営?について、闊達に語ってもらった。激変時代に不可欠な一人ひとりの変化適応力編集部?以下太文字?:日銀からセコムに移って9年目の2016年に社長に就任されました。それから2年余り、中山さんは次々と変革の手を打たれています。変えるべきものと変えてはならないものを峻別し、新しい企業の形をつくろうとされているようです。セコムはいま、どんな自己変革が求められていますか。中山?以下略?:7、8 年前から「V U CA?注1 」?という言葉が登場してきました。世の中の変化があまりにも激しく、特にテクノロジーの進化がものすごい。それは大いにプラスに活かせる半面、対応を怠ると大変な脅威にもなる。あっと言う間に、いろんなものが入れ替わってしまう時代です。 こうした激変の中で不可欠なのは、変化にいかに適応するかです。アンテナを高く伸ばし、変化の波頭に立ち、素早く適応しないといけない。セコムは本来、そうした変化適応力を持つ会社ではありますが、それをもっと社員の一人ひとりに認識してもらい、チーム一丸となって高めていかなければならない。これが、セコムの自己変革に当たっての私のスタート地点です。 中山さんは、社長就任前は常務で総務畑の仕事が中心でした。社長になる準備はできていたのですか。 縁があってなりましたが、社長になろうと考えていたわけではありません。ただ、準備といえるかどうかはわかりませんが、私が社長になったのには、2つの要素があったように思います。 まず一つは、私の信条です。それは「常に一つ上の立場で物事を考える」ということ。日銀時代で言えば、係長の時は調査役、調査役の時は課長、課長の時は局長、局長の時は理事……といった具合に、常に一つ上の立場で考えるようにしていました。もちろんセコムに移ってからも、それは変わりませんでした。常務であっても、常に社長の立場で物事を考える。これはけっして思考訓練ではなく、私の譲れない信条です。当事者意識を持ち、主体性を発揮するためには、これが不可欠だと考えています。ですから、部下たちにも「いつも一つ上の立場で考えてくれよ」と言ってきましたね。 そしてもう一つは、積極性です。私は総務畑が長かったのですが、割と"横にはみ出る"のが嫌いではなかった?笑?。特にコーポレートガバナンスやCSRについては、多少の越権も含めて、創業者?現最高顧問の飯田亮氏?や当時の社長に理解を求め、社内に根付かせる努力を続けてきました。その結果が、セコムのこれらへの評価をつくり上げてきた、という自負もあります。 たとえば、ガバナンス。当社は社外取締役制をいち早く導入し、しかもいっきに2人の方に就任いただきました。当時はガバナンス議論の草創期で担当がはっきりしなかったのですが、総務担当役員は取締役会の運営事務局でもありましたので、「企業価値を高める意味でも、早めの対応が不可欠だ」と社外取締役の早期導入を唱え、理解を得て、実現につなげました。 CSRについても、10年ほど前から「これからはCSRやESG?環境、社会、企業統治?の時代になる」と確信していました。もともとセコムは「社会に有益な事業を行う」注1)「VUCA」とは、Volatility=変動、Uncertainty=不確実、Complexity=複雑、Ambiguity=曖昧のイニシャルを取ったもの。先の見えない不安定な現代を象徴するバズワード。