ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

ページ
15/48

このページは ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

13 DIAMOND QuarterlyT A L K I N G P O I N T S新規案件の獲得を有利に導いたりできるはずです。 これもアフターマーケット戦略の一つでもありますが、ゼネラル・エレクトリックのIoTプラットフォーム? Pプ レディックスredix?の例をはじめ、さまざまな業界の企業がビッグデータやAIに注力し、そこから次なるサムシングニューを創造しようとしています。 最新のデジタル技術やAI、ブロックチェーンなどは間違いなく大きな影響を及ぼすでしょうが、歴史的に見ても、技術はあくまで「イネーブラー」、つまり実現の手段にすぎないのではないでしょうか。 ちなみに、技術戦略を考える場合、現在の技術とその競合技術のほか、次世代に支配的になるであろう技術に注目が集まります。現在リーダーの立場にいる企業は、できるだけリプレースを遅くし、下位企業はリプレースを加速すべきです。また、一世代前の技術との競争についても目を配る必要があります。なぜなら、グローバル競争の場では、一世代前?もしくは二世代前?の技術で低価格競争を仕掛けてくる中国企業などがいるからです。「ミドルの雲海」がトップと現場を遮断している ビジネスモデルや新規事業のプロジェクトが頓挫しやすいのは、なぜでしょう。 特に大企業に顕著ですが、部長や本部長クラスに、ビジネスモデルや新規事業開発を経験した人が少ないからではないでしょうか。彼らが若い頃は、先人たちが築き上げた事業がうまく回っていましたから、本業に邁進することが使命でした。将来のある幹部候補が、新規事業開発のようなリスキーな仕事に手を挙げることは稀だったはずです。身をもって経験したことがないわけですから、いくら座学を重ねたところで、他人に説得力を持って教えることはできません。 また、日本企業にありがちですが、ミドルマネジメントの忖度??私は「ミドルの雲海」と呼んでいます??も問題です。かつては「ミドル・アップ・アンド・ダウン」といわれたように、日本企業の強さの秘密は、縦HIDEO YAMADA早稲田大学ビジネススクール(早稲田大学大学院経営管理研究科)教授。慶應義塾大学経営管理研究科修了(MBA)。学術博士(早稲田大学)。三菱総合研究所にて大企業の新規事業開発のコンサルティングに従事した後、1989年より早稲田大学に転じ、現在に至る。アステラス製薬、日本電気(NEC)、ふくおかフィナンシャルグループ、サントリーホールディングス等の社外監査役を歴任。著書に、『ストラテジック・ジレンマ』(講談社、1990年)、『競争優位の「規格」戦略』(ダイヤモンド社、1993年)、『逆転の競争戦略』(生産性出版、1995年、第4版2014年)、『デファクト・スタンダード』(日本経済新聞社、1997年)、『デファクト・スタンダードの経営戦略』(中公新書、1999年)、『ビジネス版 悪魔の辞典』(日経ビジネス人文庫、2002年)、『デファクト・スタンダードの競争戦略』(白桃書房、2004年、第2版2009年)、『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』(日本経済新聞出版社、2012年。2014年に加筆・改題し『異業種に学ぶビジネスモデル』として日経ビジネス文庫に収録)、『 競争しない競争戦略』(日本経済新聞出版社、2015年)、『ビジネス版 悪魔の辞典』(日経プレミア新書、2016年)、『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』(ダイヤモンド社、2017年)、『マルチプル・ワーカー:「複業」の時代』(三笠書房、2018年)などがある。