ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly

DIAMOND Quarterly 12スモデルを編み出すうえで、何かコツのようなものはありますか。 異業種の成功事例に学ぶことをお勧めします。異業種で参考になるものはないかを探し、それを自分の業界でも採り入れられないかを検討するのです。冒頭に紹介したビジネスモデルのように、ゼロからつくり上げていくアプローチもありますが、その成功例は極めて少ない。 現実には、大半の人が同業他社のことばかり気にしています。しかし、異業種に視線を移してみると、似たような課題を抱えた会社がそれを解決したという事例があり、そこには有益なヒントや知見が隠されています。 やり方としては、そのような類似例に「気づき」、これを応用するために「抽象化」し、自社に「移植」するのです。 具体的には、テレビ、ネット、新聞や雑誌の記事など、何らかの課題を解決したという話を見聞きした時、「この会社が抱えていた課題は、ウチのあの課題と似てるじゃないか」と気づけるかどうか。そのためには、同業以外の異業種の企業の動きにもアンテナを張っておく。何か引っかかるものを感じた時に、その事例の抽象度を上げてみる。言い換えれば、枝葉末節な部分を削ぎ落としてみると、自社に応用できそうな部分が見えてきやすい。そして、どのように移植すればよいのかを考えるのです。 また日本でも、社会課題の解決という目的を持ったビジネスモデルが今後増えていくと考えられます。つまり、社会の非効率や理不尽に関心を向けてみることも一つのアプローチといえるのです。 先ほど紹介したスタディサプリは、都市と地方の格差、親の収入の多寡によって生じる教育格差を解消する、という社会ニーズが起点になっています。ですから、このニーズのより強い東南アジア、とりわけインドネシアなどでは、爆発的な人気を博しています。 これからビジネスモデルを考えるうえで注目すべき領域、有望と考えられる領域はどこでしょう。 メンテナンス分野には、以前から注目しています。古くから有名なのが、カミソリではなく替え刃で儲ける、すなわち本体を売った後に消耗品の交換で儲ける「ジレットモデル」です。コピー機やプリンターが典型ですね。ただし、純正品とサードパーティの製品との品質差は縮まり、eコマースの普及などにより、価格競争が進んでいます。 しかし、自社でジレットモデルを完結させようという動きも出ています。富士ゼロックスなどが進めているのは、トナー切れや故障が生じる前に、サービス担当者が交換や修理に駆け付けるという方法です。要するに、先ほどのコマツと同じ考え方です。最近の複合機は、メーカーと通信回線でつながっており、トナーの交換時期、故障や不具合の発生について一台一台把握できます。ですから、ユーザーから連絡が入る前にサービス担当者を派遣できるわけです。 エレベーター事業が、定期点検などのメンテナンスで儲けていることはよく知られていますが、そのメンテナンスはいまや想像以上に高度化されています。エレベーターを利用する人がいない明け方に自動運転させて、不具合をチェックできる仕組みを導入したのです。上の階から下の階に落とした時にちゃんとブレーキが効くか、ドアの開閉速度によってゴミを挟んだりしていないかなどをチェックしています。これにより、人手による定期検査を減らせるばかりか、日常的に安全を確認できるようになりました。 メンテナンスの最終形は、人手をかけないことではないでしょうか。エレベーターの構造自体はシンプルですが、その裏側のメンテナンスはハイテクによって支えられ、しかも人間が現場に行って作業を行う以上のパフォーマンスを実現しています。 このようにメンテナンスを進化させることで競争優位をより強化し、競合への乗り換えを防ぐだけでなく、機器の更新を促したり、