ブックタイトルダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
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ダイヤモンドクォータリー(2018年秋号) 顧客創造の実学 DIAMOND Quarterly
9 DIAMOND QuarterlyT A L K I N G P O I N T S現在のビジネスモデルは、金利が上がったりキャッシュレス化が進んだりすると、利益を生み出せなくなります。そこで、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、現金が使われなくなったらどうするのかについて検討しています。これまで築いてきたATM網が、将来大きな負債に変わるかもしれないが、そのATMを使って新しいビジネスを生み出せないかも考えているのです。 その一つとして、銀行口座を持っていないフリーランスの人たちが、セブン銀行で報酬を受け取れるサービスを始めました。銀行口座がなくても金銭の授受ができるサービスは、今後増えていくことが予想される外国人労働者にはありがたいはずです。 また2018年10月から、セブン銀行のATMでSuicaやPASMOなどの電子マネーのチャージもできるようになり、キャッシュレス化への対応も開始しています。 KDDIに200億円で買収されたことで一躍有名になったスタートアップ企業、ソラコムのビジネスモデルも秀逸です。同社は、NTTドコモから回線を借りて、サービスを提供するMVNO?Mobile Virtual NetworkOperator:仮想移動体通信事業者?で、IoTのプラットフォームをグローバルに提供しています。 いまやITベンチャーも、ITへの初期投資額が高くなり、起業のネックになっています。そこでソラコムは、IT費用を固定費から変動費に変えることで、IT投資の壁を一段と低くしました。アマゾンウェブサービス?AWS?のような、オープンで民主的なクラウド・コンピューティングサービスのプラットフォームを、IoTでもできないかというアイデアがそもそもの始まりでした。 AWSの場合、サーバーなどのハードウェアをソフトウェア化し、価格破壊と既存の法人向けクラウドプロバイダーと同等のサービスを提供することで、顧客を一般ユーザーにまで広げ、クラウド市場に破壊的イノベーションを起こしました。 ソラコムは、IoTでそれをやったのです。ソラコムが提供するIoTプラットフォームへの接続は極めて簡単です。「SORACOM Air」というSIMカードを1枚購入すれば、すぐに始められます。初期費用?契約事務手数料?がSIMカード1枚901円、基本料金は1日10円、データ通信料は速度によって異なりますが、1メガビットで0・2円という敷居の低さです。 API?Application Programming Interface:外部からプラットフォーム機能を利用できる仕組み?を利用して、ユーザーみずからがウェブコンソールでサービスの利用開始・変更・統的なビジネスモデルは、預金を集め、それを融資して、利ざやを稼ぐことです。かたやセブン銀行は、セブン-イレブンなどに設置されたATMの利用手数料を主たる収益源としています。このATMも、提携銀行のキャッシュカードが利用できます。提携銀行は一取引当たり150円程度をセブン銀行に支払うことになっており、これが収益の9割以上を占めています。 セブン銀行の成功要因で、表からは見えないけれど重要なのは、紙幣調達コストが極めて低いことです。それはなぜか。セブン-イレブンは創業当初から「売上金入金サービス」、つまり店舗の周辺にある飲食店や中小企業の売上金を銀行の夜間金庫代わりに預かり、あるカードを使って入金すれば、フランチャイズの場合、即座に本部アカウントに入るようにしたのです。 この売上金入金サービスで調達した紙幣のおかげで、コンビニATMは、引き出しの頻度が高いにもかかわらず、月1回ALSOKが入金に来れば十分なのです。このように紙幣調達コストが低く、ATM自体も通帳なし・貨幣なしとしたため、大幅に安く抑えることができました。これが、創業3年で単黒を実現させた低コスト構造です。 また、セブン銀行の優れたところは、今後の環境変化への備えも怠っていないことです。