ブックタイトル経営参謀
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経営参謀
第1章 商売繁盛のサイクル049わかりやすく誘導できていればいい」「その通りです」「でも、その気はなかったのに、つい、『あれは何だろう』『良さそうだ、面白そうだ』『ちょっと見てみよう』と思って、売り場や商品に近づいてしまう、こういう経験は誰にでもあるはずだ」「はい、よくあります」「これが小売りの醍醐味だ。そしてファッションビジネスにおいては、まさにこれが肝心なところだ」なるほど、そりゃそうだ。「つまり衝動買いの仕掛けですね」高山は言った。「そうだ。衝動買いというと、なんだか買わなくてもいいものを買ってしまう行為のように響くが、現実的には、来店時には想定していなかった、機能、デザイン、用途など何かに優れた商品に出合うこと。つまり、自身が気づいていなかった潜在的な需要が堀り起こされるということだ」「スーツの販売員をしていた時は、僕自身が入店されたお客様を売り場へ誘導して、商品の提案をしていました」「スーツ販売は、今の小売りでは数少ない接客業のひとつだ。その他の圧倒的多数の小売業は、基本的にお客様が自分で売り場に行き、セルフで買い物をする。ファッションブランドの場合は、販売員が助言やアシストにつくことは多いがな」安部野は一呼吸入れた。「つまり、売り場とそこにある商品は、お客様を引き付ける魅力を発していなければならず、まずは、お